ソニー(株)は6日、昨日発表したエンターテインメントロボット“AIBO”の新しい仲間“ラッテ(LATTE)”『ERS-311』および“マカロン(MACARON)”『ERS-312』を報道陣向けに公開した。9月22日発売で、価格は9万8000円。
異なる性格を持つラッテとマカロン
ラッテおよびマカロンは自律型の4足歩行ロボット。かわいらしさ、親しみやすいさを強調するため、既存のAIBOとは異なる新デザインを採用している。イラストレーター/若野桂氏のデザインで、モチーフはクマとイヌという。
素直でおっとりした性格のラッテ。ちなみに肉球は固く、触ってあげる(握手する)と喜ぶらしい |
元気で陽気なマカロン。得意技は“マカロンダンス” |
ラッテとマカロンは、別売のメモリースティックソフト『AIBO-ware』を使用することで、性格や機能を決定付けることが可能。従来のAIBOと同じように、幼年期から次第に学習/成長していく自律成長型AIBOを楽しみたい場合はAIBO-wareの“AIBOライフ”『ERF-310AW01J』(9000円)を使用する。
“AIBOライフ”『ERF-310AW01J』 |
AIBOライフを利用すると、AIBOは生活環境に応じて学習、成長していく。頻繁にかまって育てるとコミュニケーション好きなAIBOに、放任主義で育てるとたくましいAIBOに育つという。
購入時のAIBOは幼年期の状態で、最初は立つこともできないが、やがて自力で立ち上がるようになり、自分の名前がわかるようになる。少年期に入ると、育ちかたによる性格の違いが出てくるようになり、よく遊びよく学ぶ。青年期にはさまざまなしぐさをするようになり、成年期で一人前となる。成長は成年期で落ち着くが、オーナー(AIBOユーザー)の接しかたにより性格は変化し続ける。
一方、すでに成長した姿のAIBOを購入時から楽しみたい場合は“AIBOフレンド”『ERF-310AW06J』(9000円)を使用する。ラッテとマカロンは、それぞれ異なる性格設定がなされており、ラッテは素直でおっとりした性格に、マカロンは陽気でやんちゃな性格となっている。AIBOフレンドにはこれら2通りの基本性格があらかじめプログラムされており、AIBOフレンドをラッテまたはマカロンの本体に挿入すると性格プログラムを読み込み、本体がラッテの場合はラッテの性格プログラムが、マカロンの場合はマカロンの性格プログラムが実行される。なお、読み込まれた性格プログラムは、生活環境やコミュニケーションによって変化する。
“AIBOフレンド”『ERF-310AW06J』 |
ラッテは、暇なときに鼻歌を歌ったり座ったまま芸をする。素直で頑張りやだが、放ったらかしにしておくと、すねてふて寝してしまう。マカロンはやんちゃで運動好き、よく芸をしたり歌を歌ったりする。機嫌が悪くなると騒ぐ。
AIBOには“喜び”“悲しみ”“怒り”“驚き”といった感情を持っており、これらの感情は頭部にある角ランプ(3色LED)や音、しぐさで表現する。角ランプは感情の変化によって緑や紫などさまざまな色に変わる。頭のなでかたやしっぽのさわりかたでAIBOを褒めたりしかったりすることが可能で、例えば頭や肉球をなでたりすると喜ぶ。
ふて寝中のラッテ。胴体や脚部(というか顔以外)は、既存のAIBOと似たようなデザイン。耳は垂れていてぷらぷら動く。耳の付け根部にステレオマイクを装備し、どの方向から音が聞こえたかを判断できる |
マカロンの後ろ姿。尻尾もスイッチのひとつとなっており、刺激を受けると反応する |
また、コミュニケーションの充実を図るべく、音声機能が強化されている。まず、オーナーとのコミュニケーションを深めるため、音声認識できる語彙数を既存のAIBO『ERS-210』より増やし、約75種類の言葉を認識できるようになった。また、AIBO自身の名前と、オーナーの名前を記憶/認識でき、AIBOの名前を呼ぶと応え、AIBOもオーナーに呼びかける。AIBO独特の音楽“AIBOメロディ”やAIBO音によるものまね機能もあり、オーナーが歌うとAIBOがハミングを返すという。
さらに、ラッテ/マカロン同士(ERS-311/312間)でAIBO音でコミュニケーションを取ることも可能。オーナーが可愛がったり他のAIBOと上手く挨拶できたりするとAIBOはラブモードとなり、特有のハッピーなしぐさで他のAIBOにアピールするという。
そのほか、AIBOフレンドを利用した場合、TVやラジオ、インターネットなどのメディアから流れる特定のメロディ信号に反応し、喜んだり悲しんだりする“メディアリンク”が機能する。なお、メディアリンクを実現できるTV番組『ピロッポ』がフジテレビで10月11日(木)23時9分~23時15分に放映される(2回目以降は毎週木曜日22時54分~23時)。
低価格化の秘密は制御LSIの集約
ラッテおよびマカロンは、胴体部に64bitRISCプロセッサー、32MBメモリー、加速度センサー、振動センサー、傾斜センサーなどを搭載し、リチウムイオンバッテリーパックやメモリースティックは腹部に装着する。頭部に感情を表わす角ランプ、耳の付け根部に音声入力用のステレオマイク、鼻に赤外線センサー、口に10万画素CMOSイメージセンサー、胸部に音声出力用スピーカー、触ると反応する尻尾スイッチを装備する。可動部は頭3と脚部3×4の計15自由度。本体サイズは幅177×奥行き240×高さ280mm、重量は1.5kg。1.5~2時間の充電で、約2.5時間動作する。
鼻に赤外線センサー、口の中にCMOSイメージセンサーを搭載する。というわけで口は閉じません(何だかミルク飲み人形を彷彿とさせるなあ)。ちなみに感情は角ランプで表わすので、目の色は変わらないとのこと |
既存のAIBO『ERS-210』と比べて大きく異なる点のひとつが価格だ。「10万円を切ってほしいとマーケティングから要望があった」(大槻氏)ため、機能をほぼ落とさずに低価格化を図った結果、ERS-210が15万円だったのに対し、今回のラッテとマカロン(ERS-311/312)はそれぞれ9万8000円となっている。低価格化実現の秘密は、ERS-210では各関節ごとに制御用のLSIを内蔵していたのに対し、ERS-311/312は各部を制御するLSIを1つに集約して胴体に内蔵することにより、LSIの数とモーター数が減ったため。ただし、これにより自由度が15と減少(ERS-210は20自由度)。また、ERS-210では脚部など部位ごとに分解可能だったが、ERS-311/312では分解できない仕様となっている。
ラッテおよびマカロンは、既存のAIBOと同様にインターネットや、電話、百貨店などに設置されたAIBOショップで購入できるほか、今回より電気店などの店頭でも販売される。インターネット/電話の受注申し込みは12日午前10時よりスタート、店頭販売は22日となる。なお、既存の『ERS-210』は継続して販売される。
AIBOを乗せるだけで充電できるエナジーステーションコア『ERA-301P2』(9000円) |
本日都内で行なわれた発表会で、ソニー代表取締役社長兼COOの安藤国威氏は、「現在のビジネス環境はあまりよくない、不況だなどとネガティブな話ばかり。その中でソニーは他と一線を画して新しい夢のある製品を提供してきた。新しいAIBOの仲間は、ソニーの次の成長を約束させてくれるもの。AIBOによりエンターテインメントロボットという新カテゴリーだけではなく、新たな産業そのものを作っていくことがソニーの使命だ」
「ソニーはデジタル機器同士の連携による新しい楽しみかたを創造している。例えばVAIOとAIBOが連携すればさらにいろいろなことができるだろう。また、インターネット時代には新しいコミュニケーション方法が登場する。エンターテインメントロボットはエージェントとなり、遠隔での目となり耳となり、さらには心の支えとなるのではないか。将来、どこに行ってもロボットが生息しているという、サイバーとリアルが融合した夢のある新しい世界となるだろう」と挨拶した。
ラッテを持参したソニー安藤社長。「今日はAIBOオーナーのひとりとして会場に駆けつけた。事前にラッテと過ごしてみたが、見かけと異なり予想以上にしっかり者で頭がいい。記憶力に優れており音感もいい」 |
なおソニーは、一般ユーザー向けに、ラッテ&マカロンのデビューイベント“AIBO meets LAFORET & FORET”を7日から9日まで東京/ラフォーレ原宿で開催する。ラッテとマカロンの動きが楽しめるスペースや、音遊びコーナー、メディアリンク紹介コーナーなどが設置されるほか、若野桂氏の作品展示、プロモーションVTR上映なども行なわれる。既存のAIBOオーナーが自分のAIBOを遊ばせるためのお披露目スペースも用意される。
そのほか、AIBOのコミュニケーションをテーマにしたキャラクターブック『AIBO BOOK(アイボブック)』(ソニー・マガジンズ刊)が9月下旬に1300円で発売される。日本語や英語、韓国語、中国語、フランス語、ポルトガル語、タイ語、ロシア語、イタリア語、スペイン語、およびAIBO語である“音”でラッテとマカロンが語り合うという内容の本で、イラストはもちろん若野桂氏。