松下電器産業(株)は8日、SD/DVD戦略についてのプレスセミナーおよび新商品内覧会を都内で開催した。
松下は、21世紀の記録デバイスとして、配布や記録/編集用途の“ライブラリーメディア”(DVD)、製品間の橋渡しを行なう“ブリッジメディア”(SD)、一時的な蓄積のための“ストックメディア”(AV HDD)という3デバイスを展開しているが、今回はこのうちDVDとSDに関する同社の取り組みについて説明した。
DVDワールドのベースが整う
DVDプレーヤーは、全世界での累計出荷台数が2001年度で5000万台、2003年には1億台になる見込み。DVDプレーヤーは低価格化が進んでいるが、同社はDVDレコーダーやDVD-RAM/Rディスクについても普及価格化を実現するとし、5月29日付でDVD-RAM/Rレコーダー(13万5000円)やDVD-RAM/Rドライブ(6万7000円)、DVD-RAM/Rディスク(4.7GBディスク5枚パックで5500円など)を発表した。また、RAM再生互換機の拡大や、レコーダーのDVD-R記録対応、プレーヤーの30Pプログレッシブへの対応などがDVDの拡大と普及に必要だとしている。
松下電器の大坪氏 |
セミナーで説明を行なった同社常務取締役AVC社副社長の大坪文雄氏は、DVDへの取り組みについて、「松下はDVD事業においてハードもメディアも一貫生産できるメーカー。DVDワールドは製品とメディアでリンクし、民生機器と互換が取れる。DVDワールドのベースが構築できた。また、任天堂とのGAMECUBEにおけるDVD技術の協業が、われわれのインフラに活力を与えている」
「DVDワールドによりAVとPCがつながり、ネットワークであらゆるデータが流れる。DVDメディアには、AVデータだけでなくPCで扱うデータも記録できるため、AVデータとPCデータを意識して使い分ける必要がなくなった。DVD-RAMディスクは唯一AVとPCデータを混在して扱えるメディアであり、ユーザーに最高の利便性を提供できる」と語った。
SDメモリーカードの価格を大幅値下げ
SDメモリーカード事業に関しては、昨年はファミリーメンバー作りに力を注いだと説明。SDアソシエーション参画会社は、2000年2月1日発足時の71社から、5月末で265社に増加したという。
SD対応製品第1号機であるSDオーディオプレーヤーが2000年6月に発売され、以後、パソコンやデジタルカメラ、PHS、カーナビ、電子レンジなどSD対応製品を次々と市場に投入、現在松下が提供しているSD対応製品は19カテゴリー37モデル。また、他メーカーが発売または発表しているSD対応製品に関しては、現在12社から提供されており、10カテゴリー36モデルとなっている。
同社は、SD対応製品ラインナップが充実してきたことから、SDメモリーカードの生産能力向上を図るとし、現在の月産平均30万枚を、10月から70万枚に上げるという。
さらにSDワールドの普及に向け、SDアプリケーションを拡大、SDメモリーカードの大容量化やSDカード規格の推進、SD I/Oカードの展開を行なう。同社は、2001年度に256MB容量タイプと512MB容量タイプを、2002年度には1GB容量タイプをそれぞれ市場導入し、その後も大容量化を進めるという。
SDメモリーカードの大容量化計画 |
SDカードの規格は、音楽、音声、静止画、プリントについては既に策定済みで、現在動画(MPEG-2/4)、出版、地図、情報管理、プログラム、MIDI、著作権対応静止画について規格策定中だという。SD I/Oカードは、SDに通信やGPSなどの拡張機能をもたせたもの。また、SDメモリーカードとSD I/Oカードの機能を両方兼ね備えたSDコンボカードも展開するという。
SD I/Oカードのイメージサンプル。左上の2つ並んでいるものがBluetoothカード、続いて時計回りに、GPSカード、指紋認証カード、カメラカード、チューナーカード、スキャナーカード、電話接続カード。SD Bluetoothカードは、パソコンやPDA、携帯端末などの機器同士を接続可能。またSDカメラカードはパソコンやPDA、携帯端末などに装着し、画像入力機能として利用できる |
また、SD対応商品の拡大に向けて、PC以外のプラットフォームを構築するべくSDレコーダーの開発を行ない、オーディオ機器やビデオ機器、携帯電話など連携させるとしている。さらにMPEG-4にも対応するという。
普及に向けた最大の課題は価格だが、同社は6月よりSDメモリーカードの価格を引き下げると発表した。64MB容量のSDメモリーカードの店頭価格は2万2000円だったが、現在同社が運営するECサイト“PanaSense”では、1万1480円と、ほぼ半値の価格設定となっている。そのほかのPanaSense価格は、32MBが6480円、16MBが3980円、8MBが2680円となっている。同社は今回の価格引き下げにより、SDメモリーカードは高いというイメージを払拭し、将来的にはこの新価格のさらに10分の1にしたいとしている。
SDメモリーカードの値下げにより、他メモリーカードとの価格差がさほどなくなった |
また、ソニーのメモリースティックとの比較について、大坪氏は、「Panasonicとしては、SDメモリーカードを導入したのは昨年下半期からで、現在は25万枚弱。東芝やサンディスクのSDを入れるともっと大きな数字になるだろうが、PanasonicのSDメモリーカードとメモリースティックとの対比については今年の下半期に明確になると考える。2005年度のメモリーカード市場規模は1億6000万枚と見込まれており、SDメモリーカードとしてはその半分のシェアを取りたい。SDメモリーカード提供3社の中では最大のシェアホルダーになりたい」としている。
内覧会にお掃除ロボットが登場
商品内覧会では、今夏から秋に向けて発売予定のNational/Panasonic製品が一堂に展示された。
内覧会で最も注目を集めていたのは、現在同社が開発中というNationalブランドの家庭用掃除ロボット。既存の掃除機と同程度の大きさだが、あのごみを吸い込むノズルがない。電源ボタンを押し、液晶パネルに表示される掃除モードを選択するだけで、ひとりでに動き出し掃除をしてくれるというロボットだ。ニッケル水素充電池を使用しており、もちろんコードレス。
掃除モードに入ると、まず壁に沿って動き出し、本体底面のごみ吸い込み口からごみを吸い取る。壁に添って部屋を一周すると、今度は部屋の中央部に向かって縦方向に、続いて横方向に往復しながら進み、掃除を行なう。障害物を避けるための赤外線センサーや、進路方向を検知するためのジャイロセンサーを搭載しており、家具を避けながら掃除が可能。音も既存の掃除機並みで、上手に家具をよけつつ、黙々と掃除を続けるお利口さんである。
本体は未来をイメージしたというトランスルーセントボディーで、カラーはブルー。本体四隅にランプがあり、障害物を検知すると青ランプが点灯、さらに大きなごみを見つけると赤ランプが点灯し、吸引力がアップするという。
ロボットといっても手足や顔がついているわけではなく、既存の掃除機の本体部分だけが勝手に動き回っているような感じなのだが、なぜかかわいいと思ってしまうのは私だけ? 今回参考出展された試作機は、2時間の充電で1時間駆動するという。2001年度中の商品化を目指すとしているが、価格は数十万円にはなってしまうとのこと。(撮影禁止のため外観がお伝えできません。申し訳ありません)
IMT-2000に対応した携帯端末も参考出展された。写真は試作機モデルで、GPSとSDスロットを備えている |
こちらもIMT-2000端末の試作機モデル。高画質の映像やゲームを楽しめる |
写真はIMT-2000端末上でインターネットのウェブサイトをフル画面表示している様子。スクロールキーで一部を拡大表示することも可能という |
IMT-2000端末とIMT-2000カメラを利用したホームセキュリティーのデモ。家の中にIMT-2000カメラを設置し、カメラに電話番号を付与することで、外出先のIMT-2000端末からカメラに接続し、家の様子を映像で確認できる。IMT-2000カメラでとらえた私の映像が、中央のIMT-2000端末に表示されているのですが、わかりますか? |
SD対応製品のイメージモックも数多く出展された。写真はSDカメラ(左)とSDウェアラブルムービー |
SDラジカセ(左)とSDビデオレコーダー |
SDスロットを搭載したパソコンのイメージモックアップ。AV機器と見間違えてしまうようなデザイン |
なんとSD/GPS杖。取っ手部分にGPSによる位置情報が表示されるため、迷子になったお年寄りも無事に家にたどり着ける、らしい |