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XboxはいかにしてPS2やGAMECUBEと戦うのか!?

XBOXの日本戦略

2001年04月04日 02時21分更新

文● 月刊アスキー 編集部 小西・大槻

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[アスキー編集部] 先ほど子供ではなく若者、ヤングアダルト層をまずターゲットとすると言われましたが、PSでクローズアップされたいわゆる「ライトユーザー」は、今ゲームから離れていってしまっています。彼らの目をXboxに向けさせることは可能だとお考えですか?
[大浦] どんな製品でも、まずはコアユーザーをその気にさせなくちゃいけないのは、パソコンでもゲーム機でも同じだと思います。コアな人たちに「これは違うぞ!」と、「この環境の中でネットワークゲームが立ち上がったらすごいことになるかも」という期待感を持たせたい。

 しかし今ゲーム業界があまりビジネス的に思わしくないので、その救世主的な存在として「ネットワーク」というものが騒がれすぎていると僕は思っています。本来なら爆発的な影響力を持つネットワークという要素が、あまり早く無理にシフトさせることで「結局こんなことしかできないのか」と思われてしまうんじゃないかと。慎重に準備を整えて新たなゲーム感といったものを作り出さないと、プラスよりマイナスの影響のほうが大きいとさえ思います。

 一方これがうまくいけば、今は灰皿程度の大きさのゲーム市場が灰皿を乗せたテーブルくらい大きく広がるかもしれない。さらに話を広げると、すべての人がネットにつながった世界で何かをするときに遊び感覚、ゲーム的な要素を加えてみる。たとえばショッピングサイトで5000円のものを買うときに、普通に5000円払ってもいいけど、200円払ってゲームをして勝つと4000円で買える。そしてそんなゲームをゲームメーカーだけでなく楽天のような企業でも作れるようになると、ゲームのマーケットはテーブルサイズを超えて部屋のサイズまで広がっていく可能性がある。我々の役割は小さな灰皿の中でSCEや任天堂と戦って灰皿をひっくり返すのではなく、灰皿をテーブルのサイズに、テーブルを部屋のサイズに広げていく。
[アスキー編集部] 今のゲームの市場が灰皿サイズで、ネットワークによってテーブルのサイズに広がる。それがさらに広がった世界ではXboxはゲーム機の枠を超えるものになる。これはXboxがいずれはゲーム機以外のものになることを狙っているということですか。
[大浦] Xboxだけでなく、ゲーム機がスタンドアロンの世界からネットワークにつながったときのゲーム業界がどうなるかという話です。ゲーム業界が部屋のサイズに広がるには、ゲーム業界以外の人たちが「遊び」を個人個人の生活にいかに取り込んでくるかが重要です。

 僕が「部屋」というたとえを出したのは、マイクロソフトの「.NET」戦略の中に「Any where Any device」という言葉があります。今はリビングルームにPCが置かれていない限り、リビングにはマイクロソフトの製品って一切ありませんよね。でもXboxならリビングに広く入り込める可能性が出てくる。またXbox System SoftwareはWindows 2000をベースにしていますので、そのOSを使った他社製のSTBとか電子レンジとか、iモード携帯電話にJavaをリプレースして使われることもあるかもしれない。リビングにあるすべてのデバイスが互いに対話しインターネットにもつながるのが.NET構想です。

 リビングは我々にとって大きな氷の壁に覆われていて、どうしても動かない世界だった。そこにXboxというアイスピックが登場した。このアイスピックで氷に穴を開けて徐々に穴を広げていけば、それ以外への可能性も広がります。Xboxが第1のアイスピックでYが第2、Zが第3といった具合に穴を開け続ける。絶対にうちのOSが入ったデバイスをリビングに送り込む。1度で氷に穴が開かないなら、何度でも刺し続ける。どれほど出血しようともね。

 でもXbox自身がゲーム機である路線は変わりません。それ以外の世界には他のデバイスを使う。ただ他のデバイスにゲーム感覚の遊びを与えて世界を広げるのは、今のゲームメーカー以外の人たち、リクルートや楽天、あるいはMSNなのかもしれない。今まではゲーム、遊びの世界に入れなかった会社が入り込まなくちゃいけない世界がこれから出てくるんじゃないかと思うのです。Xboxはゲーム機です。これはビル・ゲイツも変えるつもりはない。まあZboxくらいになったら、いろんなものにつながるかもしれないけどね(笑)。
大浦氏写真


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