ジェイビートゥビー(株)(以下JBtoB)は7日、属性付きのPOSデータを小売店や卸売り店から受け取り分析結果を提供するASPサービスを本格的に展開していくと発表した。価格は月額数百万円~。初年度に百貨店やスーパーなど30社の利用を見込んでいるという。
JBtoBの奥島晶子社長と出資企業の代表ら |
同社は昨年9月に設立された企業で、上記のASPサービスのほか、メーカー向けにデータを販売する事業やコンサルティング、マーケットプレイス事業の展開を予定している。筆頭株主は(株)ハドソンで、そのほか富士通(株)やキリンビール(株)、(株)アサツーディ・ケイ、サイベース(株)が出資を行なっている。
属性で購買購読を分析
通常、POSデータには顧客の性別や年齢、住所などを示す属性は付いていない。そのため、データを収集し十分に分析したつもりでマーケティングを実施しても、必ずしも購買につながるわけではなかったという。
そこでJBtoBでは、会員制度をとることで顧客の購買行動を把握しようというマーケティング戦略“FSP”(Frequent Shoppers Programanalysis)に利用される会員カードと組み合わせる形で属性付きPOSデータを集め、それを分析する。これにより、「“ほかのだれでもない私、私のニーズをわかった提案をしてくれる”というベネフィットを考えたサービスを展開できる」(JBtoBの奥島晶子代表取締役社長)という。
奥島晶子社長 |
「POSデータを蓄積、分析しようとすると費用がかかる。ASPだと開発期間も短く、月々かかる費用も約6分の1に抑えることが可能」(奥島社長)と、ASPサービスの利点を説明した。
リカーショップのすぐれたオーナーの代用?
JBtoBは、同サービスにより蓄積できたデータをメーカー側にも提供する予定だ。その効果をキリンビールの専務取締役営業本部長の榎本良夫氏は次のように説明した。
「以前には顧客の行動はリカーショップのオーナーの頭の中に入っていた。ところが購買の主体がリカーショップからディスカウントストアやスーパーなどの非対面プル市場になり、オーナーに比べて知識も劣り、お勧めを紹介するようなことができなくなってきた面がある。そこに対してこのサービスで蓄積されたデータを活用すれば、リカーショップの優れたオーナーがやっていたようなサービスができるのではないかと期待している」
キリンビールの榎本専務 |
ASPサービスはすでに開始されており、福島県いわき市を中心に66店舗を出店している(株)マルトが第1号で利用しているという。JBtoBでは同サービスをまず小売店や卸売り店に広め、全国の大小の店が偏りなく利用するようになった時点で、メーカー側の利用を推進していく戦略という。それにより「2001年に1億5000万円、2003年に売り上げ13億円とIPOを目指す」(奥島社長)と語った。