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シャープ、低温CGS液晶を次代の中核技術に──年頭記者会見から

2001年01月12日 23時51分更新

文● 編集部 佐々木千之

シャープ(株)は12日、報道関係者を集めて年頭記者会見を開催し、同社代表取締役社長の町田勝彦氏が今年の事業見通しや戦略について説明した。席上、同社の独自技術である低温CGシリコン液晶(※1)の試作パネルが紹介され、同社の液晶戦略の中核をなす製品とすることなどを明らかにした。

※1 低温CG(Continuous Grain:連続粒界結晶)シリコン液晶。シャープと(株)半導体エネルギー研究所が開発し、'98年1月に発表を行なったもの。低温ポリシリコン液晶の1種だが、シリコン結晶を規則的に並べることで、原子レベルで連続性を持たせ、シリコン半導体内を移動する電子速度を、TFT液晶で一般的なアモルファスシリコンの600倍、低温ポリシリコンの2倍と、単結晶シリコンに近い速度を実現したという。これによって、これまで単結晶シリコン上でしか形成できなかったLSIなどを液晶ディスプレーのガラス基板上に形成できるようになる。液晶ディスプレーに関する部品を減らすことができ、アモルファスシリコン液晶よりも安く、きれいな液晶デバイスが製造できるとしている。

低温CGシリコン液晶を使ったワイドXGAディスプレー
記者会見会場に展示された、低温CGシリコン液晶を使ったディスプレー。7インチで1280×768ドットの透過型液晶。1インチ当たり210ピクセルと非常に精細な画面となっている(一般的な液晶ディスプレーは1インチあたり80~100ピクセル)
低温CGシリコン液晶を使った2インチディスプレー
同じく低温CGシリコン液晶を使ったディスプレー。携帯電話を想定したもので、2インチで320×240ドットの透過型液晶。1インチ当たり200ピクセルとなっている
低温CGシリコン液晶デバイスとアモルファスシリコン液晶デバイスの比較
左がアモルファスシリコンによる液晶デバイスとその周辺回路。右は同等の回路を備えた低温CGシリコンによる液晶デバイス。ガラス基板上に、液晶の駆動に必要な、コントローラー回路、電源回路、信号処理回路、I/Oインターフェース回路を形成することで、実装面積や部品を大幅に減らすことができるという

町田社長は席上、シャープ独自の生産技術、品質管理技術を生かした製品作りを目指すとしたが、なかでも同社が得意とする液晶技術をさらに磨いて、同社の独自技術による製品で、韓国や台湾などの液晶メーカーに対抗していくとした。その技術として同社が期待を寄せている低温CGシリコン液晶を紹介した。液晶のガラス基板上に周辺回路を作り込むことができ、低消費電力化、低価格化が図れることから、2003年以降は同社が製造する液晶デバイスを低温CGシリコンのものに変えていくという方針を明らかにした。本格的量産は2002年末で、当初は携帯電話やPDA、サブノート向けの7ないし8インチ以下の製品から投入する。この計画を進めるため、2001年2月に低温CGシリコン液晶事業推進室を設置、2002年には事業本部化するとしている。

代表取締役社長の町田勝彦氏
代表取締役社長の町田勝彦氏

町田社長は数字をあげながら、2000年度の業界動向と2001年度の予測について説明した。それによると、2000年度(見通し)は、家電売り上げが'96年以来5年ぶりに前年比で増加(4%)となり、2001年度も引き続き104%の成長が見込めるという。この理由としては、2001年末にはCS放送もデジタル化され、1つの衛星受信機でBS、CSが視聴できるようになり、このため需要が増大することをあげた。これとあわせ、PDP(プラズマディスプレーパネル)テレビ事業を本格的に立ち上げる。同社がソニー(株)と共同研究を行なっているプラズマアドレッシング液晶(PALC)については、今後の開発動向を見ながら、PDPよりさらに明るく高精細画像を提供できる製品として位置づけているが、まずは実用段階にあるPDP製品の立ち上げを急ぐ。

このほか町田社長が明らかにした事業展開や製品投入計画の主なものは以下の通り。

  • 10万円程度の録画再生が可能なDVD機を年末に発売する。
  • 昨年発売したエンターテイメント指向のザウルス『MI-E1』を海外でも販売する。
  • (パソコンで利用する)液晶ディスプレー製品を全世界で本格的に販売する。
  • 携帯電話について、W-CDMAが世界的標準となったことを機に海外の携帯電話市場に参入する。
  • パソコンのメビウスシリーズでは、AVメーカーの作るパソコン、使いやすいものを作っていきたい。
  • 将来、画像蓄積やインターネットへのゲートウェイ機能を備えた家庭用サーバー製品を発売する。
  • 無線で接続され、家中どこでも見られるワイヤレス液晶テレビを年内に発売する。
  • 低温CGシリコン技術は有機ELディスプレーにも応用でき、引き続き平行して開発を行なっていく。
  • リアプロジェクションテレビでは、低温CGシリコンパネルを使った高精細で明るい製品を開発し、2002年に世界市場でシェア1位を目指す。

町田社長は、産業界でいわれる“空白の90年代”に対する反省として、「かつて工場の海外進出が進んだ結果、国内の生産技術の進歩が止まったのではないか。日本でしか作れないような商品を開発していくということにこだわりを持っていきたい。それがメーカーの誇りであり、存在価値」と述べた。そして「生産管理や品質管理は日本が進んでいるが、ITを道具としてうまく使うということになると弱いというのが現状だ。ただ、かつて海外に工場が進出した最大の理由であった人件費の高さについては、製造技術の進歩により部品点数が減り、製造原価に占める材料費の割合が8割を超えるまでになるなど、高まる一方で労働者の賃金が製品価格に与える影響が減ってきている」と、日本でもの作りをすることに強い意欲を示した。

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