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コネクサント、来年独立するネットワーク・アクセス部門の事業概要を説明

2000年10月06日 23時07分更新

文● 編集部 佐々木千之

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コネクサント・システムズ・ジャパン(株)は、米コネクサント・システムズ社から、来年分離独立するネットワークアクセス部門の責任者が来日したのを機に、報道関係者向けに、同部門の事業概要について説明会を開催した。

コネクサント・システムズはロックウェル インターナショナルの半導体部門(ロックウェル・セミコンダクタ・システムズ)が'99年1月に独立して誕生した会社で、通信関連半導体の専門メーカーとしては世界最大規模の企業。世界中の総社員数は約9500名で、2000年度('99年8月~2000年9月)の予想売り上げは21億ドル(約2290億円)。

社内はパソコン向けモデムチップなどを担当するパーソナル・コンピューティング事業部門、携帯電話向け無線チップなどを担当するワイヤレス・コミュニケーション事業部門、ファクスやプリンター関連のチップを担当するパーソナル・イメージング事業部門、デジタルセットトップボックスのMPEG-4チップなどを担当するデジタル・インフォテイメント事業部門、およびxDSLチップやWAN向けチップを担当するネットワーク・アクセス事業部門の5つにわかれている。同社はこの5部門のうち、ネットワーク・アクセス事業部門を2001年1月に分離し、6月には完全に独立した2つの企業にすると9月13日にアナウンスしている。

今回来日したのは米コネクサント・システムズ上席副社長でゼネラルマネージャーとしてネットワーク・アクセス事業部門ゼネラルマネージャーを兼務するラウフ・ハリム(Raouf Halim)氏。

米コネクサント・システムズのラウフ・ハリム上席副社長兼ネットワークアクセス部門ゼネラルマネージャー

ハリム氏によると、ネットワーク・アクセス部門は、HDSL/SDSL製品などの“ブロードバンド・アクセス”、T1/E1トランシーバーやSONET/SDHトランシーバー製品などの“WANトランスポート”、音声/データ/ファクス/ISDNの統合製品などの“マルチサービス・アクセス”の3つの分野に分けられ、それぞれの分野で業界の1位または2位のポジションを占めているという。

ネットワーク・アクセス部門全体としては非常に好調で、売り上げも'99年度第3四半期(3~5月期)に8300万ドル(約90億円)だったものが、2000年度同期は1億5500万ドル(約168億円)と88パーセント増、前期比でも24パーセント増と24期連続で拡大している。9月に締め切られた2000年度の総売り上げ予測では6億ドル(約653億円)に達すると見られ、今後も大きな伸びが期待できるとしている。

同社は今年度、この事業をさらに強化するため約20億ドルを投資して関連企業6社を買収(※1)している。

※1 ネットワークプロセッサー関連技術を持つ米Maker Communications社、光ネットワーク関連のCMOS半導体技術を持つ英Microcosm Communications社、ATMハードウェア製品技術を持つ米Applied Telecom社、スイッチファブリックやバックプレーントランシーバー技術を持つ米HotRail社、SONET/SHD互換のインターフェースデバイス技術を持つイスラエルのNovanet Semiconductor社、大規模通信事業者向けネットワーキングソフトウェア技術を持つ米NetPlane Systems社の6社。なお、コネクサントはネットワーク・アクセス部門関連以外の企業買収も行なっている。

ハリム氏は来年に控える分離独立に関して、「新しい2社ではそれぞれの事業により特化した経営を行なえる。投資家にとっても事業を絞って投資ができる」というメリットがあると述べた。なお、“コネクサント”という名前をどちらの会社が引き継ぐか、新社長は誰になるのかといったことは、現時点ではまだ決定されていないという。

コネクサントは、半導体製造工場も持っているが、ネットワーク・アクセス部門の新会社は、完全なファブレス企業で、半導体の製造に関してはもう一方の新会社と長期の製造供給契約を結ぶほか、台湾のTSMCをはじめとしたファウンダリーを利用するとしている。

日本市場の展開については、「日本市場は現在上昇機運にあり、インターネット機器の需要も増えているので、迅速な市場への製品投入を目指すメーカーに対して我々の製品群を売り込んでいきたい」と述べ、ネットワーク・アクセス部門において「世界全体の10パーセントに満たない売り上げを、15パーセント程度にまで引き上げたい」(コネクサント・システムズ・ジャパン営業本部長の村山氏)とした。

具体的には営業、マーケティング、サポート体制を強化し、ADSLチップなど現在日本の仕様に未対応の製品については「優先して日本の仕様に合う製品を開発する」(ハリム氏)などして、新規顧客の開拓やパートナーシップの確立を目指すとしている。

日本でも、ADSLによる常時接続や各戸にまで光ファイバーを引くといったことが、現実のものとなりつつある。ADSLモデム用チップから、光ファイバーやATMネットワーク用チップまで幅広い製品ラインアップを持つコネクサントが、製品を売り込む余地は大いにあるといえる。

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