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日本HP、ハイエンドUNIXサーバー“superdome”発表

2000年09月13日 20時24分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本ヒューレット・パッカード(株)は13日、従来のハイエンドUNIXサーバーの2倍の性能を持つ新製品『hp 9000 superdome(スーパードーム) サーバ』を発表、販売を開始した。同社からのOEM供給を受け、日本電気(株)、沖電気工業(株)、日本ユニシス(株)、(株)日立製作所、三菱電機(株)も同日発表した。出荷は11月中旬以降。CPU16基と8GBのメモリーを搭載し、各種サポートがバンドルされた標準構成で2億7200万円から。

『hp 9000 superdome』2キャビネット構成(64CPUの最大構成)+I/O拡張キャビネット(右)

superdomeは、同社の64bit RISC CPU『PA-8600』(552MHz動作)を最大で64基、メモリーを最大256GB(1CPUあたり4GB)搭載可能な、企業の基幹業務やインターネットデータセンター向けのハイエンドサーバー。同社の従来のハイエンドサーバーである『HP 9000 Vクラス』(CPUは最大で32基)と比較して、2倍以上のオンライントランザクション処理(OLTP)性能を持つとしている。OSは7月に発表された、最新の64bit UNIX OS『HP-UX 11i』を採用している。

日本HPによれば、superdomeは「高可用性、高性能、拡張性、将来性を持つサーバーとして、まったく新設計された」という。開発にあたっては日本電気と日立製作所の持つメインフレームのノウハウを生かしたとしている。4基のCPUと16GBのメモリーを搭載した“セル・ボード”を単位として、最大16のセル・ボードを、最大帯域幅が毎秒51.2GBのクロスバー・バックプレーンで相互接続する。

superdomeのセル・ボード。画面右手のクーリングフィンはCPUのもの。中央がメモリー、左手は電源部

来年夏をめどに次世代CPU『PA-8700』を搭載したセル・ボードを出荷予定で、このボードを搭載したsuperdomeでは1.5倍の性能となる見込みという。さらにインテルのIA-64プロセッサーで構成される製品も予定されている。メモリーについても、将来大容量のメモリーモジュールが出荷されれば、最大1TB(テラバイト)まで搭載可能という。

また、セル・ボード単位でハードウェア的にもソフトウェア的にも独立したシステム(最大16)として動作させるハードウェア・パーティション機能“nPartitions”をサポートする。この機能を利用することで、従来複数のサーバーで構成されていたシステムを、superdomeに集約できるという。さらにセル・ボード上のCPU単位でパーティション機能を実現する“HP Virtual Patitions”を2001年中にサポート予定としている。これらのパーティション内では、複数のOS環境が構築可能で、IA-64を搭載したセル・ボードを利用した場合には、HP-UXに加えてLinuxやWindows 2000もサポートするという。

本体電源モジュール、バックプレーン電源モジュール、本体冷却ファンなどの主要コンポーネントは冗長構成となっており、ホットスワップが可能。来年リリース予定のHP-UX11iの次期バージョンでは、セル・ボードのホットスワップもサポートされるとしている。メインメモリーとCPU上のキャッシュメモリーはECC機能により保護され、ビットエラーは自動的に修正されるほか、I/Oデータパスもパリティチェックにより信頼性を向上しているという。キャッシュやメモリーでエラーが頻発した場合に、全体のシステムダウンを防ぐためにそのCPUやメモリーの割り当てを自動的に解除するDPR(Dynamic Processor Resilience)機能とDMR(Dynamic Memory Resilience)機能を搭載している。

ハイエンドシステムは全体として非常に高価なものとなるため、企業が導入を考えた場合のネックの1つとなる。また、Eビジネスを運営する場合において、ユーザーの増加が著しく、システムの拡張が追いつかないといった問題もある。これらの問題に対し、superdomeにおいて“ユーティリティ・プライシング”と呼ばれる方式を採用する計画があると明らかにされた。従来日本HPでは、システムを納入する際に注文を受けた以上のCPUをあらかじめ搭載して出荷し、ユーザーが必要となってそれを使いはじめたときに追加料金を請求するという“iCOD(instant Capacity On Demand)”という料金システムを導入している。ユーティリティ・プライシングは、これをさらに進めたもので、サーバーに搭載されているメモリーやCPUを実際に使った分だけを月々“使用料”として支払うというもの。毎年ある時期に集中的に負荷が高まるようなサイトにおいて、メリットがあるという。

superdomeの正式出荷は11月中旬だが、すでに評価用として米amazon.comをはじめ、世界で12の顧客にシステムを出荷したという。この出荷は、納入してから実際にシステムとして稼働するまでいかに短い期間でできるかの“ベンチマークテスト”を兼ねており、amazon.comではsuperdomeを使用したシステムを年末商戦に間に合うように稼働させる予定としている。

発表会では、“仮想敵”として、サン・マイクロシステムズやIBMといった名前が挙がったが、特にサンの“Starfire(『Enterprise 10000』)”との比較について言及された。それによると、現時点ではOLTP性能、メモリーのレイテンシー、I/O性能などすべてに渡ってsuperdomeのほうが優れており、将来サンが次世代CPU『UltraSPARC III』を投入したシステムを投入したとしても、PA-8700の搭載などにより優位性を保てるという。

(左から)NECの河村執行役員常務、沖電気の前野エグゼクティブバイスプレジデント、日本HPの寺澤社長、日立の加藤CEO、日本ユニシスの堀川部長、三菱の並木部長

superdomeのようなハイエンドのUNIXサーバーは、前述のIBMやサンのほか、富士通、コンパックからも発表され、それぞれにシステム構築面や運用面などに渡る多様なサービスと合わせて提供され、激戦となりつつある。iCODの“システム拡張が必要になったらすぐ使え、お代は使ってから”というサービスで他社を驚かせたHPだが、ニックネームまで付けて発表したsuperdomeがどのように市場に受け入れられるか、他社は戦々恐々としてみているに違いない。

OEM各社の製品名

・日本電気『NX7000/superdome』
・沖電気工業『OKITAC9000 superdome』
・日本ユニシス『hp 9000 superdome』
・日立製作所『HITACHI 9000V superdome』
・三菱電機『hp 9000 superdome サーバ』

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