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「Fireworksはウェブ作成の基本、作画ツールとしてもニジュウマル」--CGデザイナー飯田HAL氏にFireworks 2の魅力を聞く

1999年04月23日 00時00分更新

文● 千葉英寿/編集部 桑本美鈴

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マクロメディア(株)は、ウェブ向けグラフィック作成ツール『Macromedia Fireworks 2 日本語版』を発売した。価格は、Macintosh版、Windows版とも2万4800円。大きな機能の追加はないが、作成処理における時間の短縮を目的とした機能拡張が随所に盛り込まれている。今回の発売にあたって、同社プロダクトマーケティングマネージャーの金山三保子氏に伺い、FireworksのヘビーユーザーであるCGデザイナーの飯田HAL氏にユーザーの視点から語っていただいた。インタビュアーは、フリーランス編集者/ライターの千葉英寿。

飯田HAL氏(左)と金山三保子氏(右)
飯田HAL氏(左)と金山三保子氏(右)



<新機能>

●画像スライス機能



スライスツールは、スライスする画像領域をドラッグしてオブジェクトを作成できる。スライスはオブジェクトパネル上に表示され、登録や色の指定など詳細設定を行なえる。また、画像の写真部分はJPEG圧縮、テキスト部分はGIF圧縮を利用する、といった異なる圧縮タイプを同時に使用して画像を書き出すことも可能。

●ロールオーバー機能

前バージョンは、シングルロールオーバーしかできなかったが、スワップイメージを使って外部ファイルソースを選択し、別の画像と切り替えるといったことが可能になった。Fireworks 2で作成したスワップイメージビヘイビアは、Dreamweaver固有ビヘイビアとして認識される。また、ビヘイビアパレットを利用して、スライス画像にロールオーバーを適用できる。

●URLマネージャ機能

指定したURLをリスト表示できる。各リストはそれぞれ固有のライブラリーとして認識され、書き出しや共有が可能。ウェブブラウザーのブックマークも読み込める。


●検索/置換機能

作成したファイル、またはサイト全体で、テキストやフォント、色、URLの検索および置換が可能。

●バッチ処理

サイト全体の画像に対し、書き出しやサイズ変更などのバッチ処理を行なえる。

●ストローク

“ブラシ”という名称を“ストローク”に変更。ストロークの編集で、形状や筆圧感知などを設定、保存できる。

●スタイル



300種類以上のスタイルを用意。スタイルはカスタマイズ可能で、画像やテキストに施したデザイン設定を新規スタイルとして登録できる。

●カラーロック機能

画像内で指定したカラーをロックできる。

●Dreamweaverとの連携

FireworksとDreamweaverの連携が強化された。Fireworksを外部イメージエディターとして設定すると、DreamweaverからFireworks を起動でき、Dreamweaver上の画像やテキストをFireworksで編集できる。Fireworks上でで変更されたデータはDreamweaverで自動的に更新される。

■Photoshopに近いユーザーインターフェースに

----以前のFireworksとはインターフェースが変わったイメージがありますが?

金山「Fireworks 2は、Adobe Photoshopに近いユーザーインターフェースとなっています。Photoshopなどを使っているユーザーにも馴染みやすいという意味で、ユーザーインターフェースを変更しました。いいところはいただいていこうということです」

----Fireworksは、ウェブツールのほかグラフィックツールとしても使用している人がいますね。
----Fireworksは、ウェブツールのほかグラフィックツールとしても使用している人がいますね。



飯田「グラフィックツールとしてかなりよくできてます。経験の豊かな人も使えるし、初心者もすぐ使える。レイヤーを使うと、GIFアニメーションも簡単に作れるんです」

■Fireworks、Dreamweaverがウェブ作成の基本

----ターゲットとするユーザーは?

金山「当社の方針でいきますとプロフェッショナルですが、初心者の方でも簡単にさわれるようになっています。ブラシツールひとつにしても、一度さわってみれば簡単に絵を描けるということがわかってもらえると思います」

----マクロメディア製品の中での位置付けは?

金山「ウェブパブリッシング製品として、FreeHand、Fireworks、Dreamweaver、Directorがありますが、ひとつのアプリケーションですべて行なえるという位置付けのウェブ用グラフィックツールはFireworks、もう少しインタラクティブ性を付加したい場合はFreeHandやFlash、Directorを使ってもらえればと思います。これらはファミリー化させていこうと考えています」

----そうすると基本線がFireworks、Dreamweaverという感じですか。

金山「そうですね。ウェブの世界というのは、ドロー系アプリケーションと違って、技術進歩が速いので、できるだけそれに追いつこうと努力しています。FireworksとDreamweaverも今はそれぞれ単独の製品ですが、今後もっとシームレスになるかもしれないし、もしかしたらひとつになってしまうかもしれません」

■Fireworksは作画ツールとしてもニジュウマル

飯田「Fireworksは、やはりウェブ用ツールとして使う用途が多いと思うのですが、僕はこれだけで作画から何から全部やろうと思っているのです。Fireworksは、ウェブツールだけにしておくのはもったいないと思いますね。例えば、すごく平面的な絵も、エフェクトを使うことで立体感を出すなど、かなりいろいろな表現ができるのです。塗りの表現も、テクスチャーを変更することでディテールが変わるので、例えば皮膚感を出したりすることも可能です。プロでなくてもかなり面白い表現ができるますよ。作画ツールとしては非常に有効だと思います」

飯田「その例として、『チャップリン』をモデルにした作品を作ってみました。チャップリン自体はFireworksだけで作成しまして、背景はShadeで作ったものを取り込んだんです。作成時間もそんなにかかっていないんですよ。Fireworksは、アイデアさえあればいろいろなことができます」

飯田氏が作成したチャップリン。飯田氏のホームページ上で紹介されている
飯田氏が作成したチャップリン。飯田氏のホームページ上で紹介されている



----他のツールでやったらどれくらい時間がかかりますか?

飯田「例えばIllustratorだったら、もっと時間がかかるでしょうね。形だけ作る作業がいちばん時間がかかります。ディテールの設定などはFireworksを使うと本当に楽ですからね。僕は主に作画ツールとしてFireworksを使用していまして、ウェブ作成はウェブデザイナーにおまかせしてます。FireworksとDreamweaverがあることで、簡単にウェブを作れますからね。僕の場合、ウェブ作成部分では素人ですが、素人でも簡単にすぐに作れるというのはすごく楽ですよね。ウェブを作るという意味では素人であるグラフィックデザイナーが、FireworksとDreamweaverを使えばスムーズにウェブの世界に入っていけます」

----Fireworksの今後に期待するものは?

飯田「パスが多くなってくると、やはりまだ表示が重い。それから、ドローデータだけ扱っているにも関わらず、拡大/縮小に時間がかかるときがありますね。そういうところを改善してほしいと思います」

----初心者がグラフィックを行なう上でのアドバイスをお願いします。
----初心者がグラフィックを行なう上でのアドバイスをお願いします。



飯田「あまりあれこれと複雑に考えないことです。例えば丸だけ描いてそれを重ねるだけで、結構面白いものができます。もっと簡単に考えるのもコツではないかと思いますね。Fireworksにはスタイルがたくさんありますから、すでにある画像を使って組み合わせていくだけで、具体的な形を作らなくても結構面白いものができると思います。いろいろなものを組み合わせて作っていったらいいのではないでしょうか。見栄えがいいですからね。使ってて面白いですよ」

金山「操作することが楽しくなりましたね」

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