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帳簿の電子保存で1社平均4000万円の経費削減?--“電子帳票と文書管理セミナー”

1998年12月17日 00時00分更新

文● 報道局 伊藤咲子

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 (株)野村総合研究所は16日、“電子帳票と文書管理セミナー”を開催した。同社は、法人の経理やシステム担当者を対象に同内容のセミナーを不定期で企画しており、今回はその4回目である。内容は、国税関係帳簿書類の規制緩和と電子帳簿の紹介、同社の文書管理ソフトを利用している企業ユーザーの事例紹介など。

法廷帳簿電子化の動きと電子帳票『ILF/Powered』

 今年7月1日より、“電子計算機を利用して作成する国税関係帳簿書類の保存法方法に関する法律”が制定された。この法律について、同社商品事業部の児島紀久氏が解説した。

児島紀久氏。同社の電子起票システム『ILF/Powered』を紹介。このシステムの特徴は、OLE2対応でLotusNotesなどの文書や電子メール上にオブジェクトとして埋め込む事が可能、Active Xドキュメント対応で、Webブラウザー上でILF/Poweredの帳票を表示できる点
児島紀久氏。同社の電子起票システム『ILF/Powered』を紹介。このシステムの特徴は、OLE2対応でLotusNotesなどの文書や電子メール上にオブジェクトとして埋め込む事が可能、Active Xドキュメント対応で、Webブラウザー上でILF/Poweredの帳票を表示できる点



 同法律は、会計処理に際しコンピューターを利用した帳簿書類作成が普及したことをにらんで、平成10年度税制改正の一環として制定された。国税関係帳簿書類の保存義務者は、電磁的記録の保存をもってその関係帳簿書類の保存、備え付けに代えることができるとされた。

 保存に際し、いくつかの要件がある。まず、“可視性の確保”である。保存場所にディスプレーやプリンターを備え付け、速やかに出力できること、帳簿書類の主要な記載項目(後述)を条件として、and・or検索ができることが必要条件となる。

※帳簿書類の主要な記載項目とは、取引年月日、勘定科目、取引金額その他帳簿の種類に応じた記録項目をさす

 次に“真実性の確保”として、訂正・削除個所の履歴の確保、帳簿間の関連性の確保、システム設計書やプログラム仕様書などコンピューター会計処理システムの開発関係書類の備え付けが条件となる。これらをすべて満たす必要がある。

 日本情報処理開発協会推計では、上場企業2138社全体の国税関係帳簿書類のスペース賃貸、出力などの保存コストは812億円。1社あたり約3800万円の計算だ。各企業の帳簿関連コストに国税関係のものが占める割合は20パーセント未満。帳票が紙であるがために人が関わるコストは、その20から30倍ともいわれている。同氏は、「国税帳簿の電子化を足掛かりに、企業における全帳簿の電子化が進むでしょう」と述べた。

帳簿類電子化へ移行するためのスキャニングデータ活用事例~菊地プレス工業

 菊地プレス工業(株)取締役、宮本豊氏が“「入力の容易化」を1歩進めたグループウェアリング”というタイトルで講演した。同社は、自動車用部品の製造と販売、金型・治工具等の製作と販売が中心業務。国内外に9拠点を構え、昨年株式の店頭公開をした。

菊地プレス工業(株)取締役、宮本豊氏
菊地プレス工業(株)取締役、宮本豊氏



 '96年、情報の共有化による生産性の向上を目指し、ロータスの『Notes』を利用したグループウェアの活用を始めた。企業活動の海外展開、現場での技術がデータとして残されていないことが導入を後押しした。

 同氏は、「いまだキーボードにアレルギーがある社員も多い。さらにデジタルに対する誤解から、“人の情報は見るけど、自分の情報は提供しない”という状況もありました。そのため、入力障壁をなくすよう務めました」と語る。

 スキャンデータをそのままファイリングでき、内蔵OCRでワープロや表計算ソフト用のデータに変換することが可能ということから、野村総研の文書管理ソフト『PowerBinder』を採用。また、コピー機をスキャナー、FAX、プリンターの統合機にしたり、システムのページをグラフィカルにしたりするなど、入力の容易化には注意を払っている。今後は、手書き入力や音声入力、ビデオデータなどの画像情報の入力システムを改善したいと述べた。

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