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【PC EXPO 2000レポートvol.9】PDA百花繚乱――Palm Computing Platform強し!

2000年07月04日 00時00分更新

文● 菊地 薫

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Palmはサードパーティ製品が充実

PC EXPOで一番来場者の関心が高かった製品は、PDAに間違いないだろう。特に注目されたのはPalmをプラットフォームにした、アプリケーションやドッキング型ハードウェアが増え続けていることだが、本家本元のPalm社のブースも3日間、終日人が絶えることがなかった。

余談になるが、どのビジターも根ほり葉ほり質問するものだから、写真を撮れる最前線の位置までなかなか出られない。やっと前に出たかと思うと、誰かがわきから手を伸ばして製品をかっさらっていくので、ほんとに撮影者泣かせのブースだった。

必ずしも本イベント初公開の製品ばかりではないが、目立ったものを(お見せできる程度に絵が撮れたものに限り)いくつか紹介してみよう。

PalmにあらずんばPDAにあらずといった風潮がなきにしもあらずの昨年の米国市場だったが、今年は日本のメーカー各社の製品も入り乱れ、百花繚乱に転じつつあるといった印象がある。PDAも安定したプラットフォームがあるにこしたことはないが、ほんとに重要なのはユーザーにとって必要な一芸に秀でていることだろう。

書籍地図やCD-ROM地図の老舗、RAND McNALLY社のGPSレシーバー。同社のCD-ROM全米地図ソフト『STREET FINDER』を、GPSを使ってPalm上で利用可能にする。レシーバーの値段は、CD版の地図、車載用マウント、バッテリー、シガレット電源アダプター、キャリングケース込みで、PalmV用が199ドル(約2万900円)、Palm III用が179ドル(約1万8800円)(いずれもPalm本体は別売り)と非常にお手頃 書籍地図やCD-ROM地図の老舗、RAND McNALLY社のGPSレシーバー。同社のCD-ROM全米地図ソフト『STREET FINDER』を、GPSを使ってPalm上で利用可能にする。レシーバーの値段は、CD版の地図、車載用マウント、バッテリー、シガレット電源アダプター、キャリングケース込みで、PalmV用が199ドル(約2万900円)、Palm III用が179ドル(約1万8800円)(いずれもPalm本体は別売り)と非常にお手頃



Fiarepad社のPalm用イメージビューワー、FireViewerのイニシャル画面。Palmではそのディスプレー画面のサイズゆえ、大きな画像や地図データを表示するのは難しいが、このソフトでは画面上の一点にペンを置き、ドラッグすることによりスクロールさせて、画像のどの部分でも簡単に表示させることができる。データは一度、FireViewer形式で格納する必要があるが、同製品のProバージョンでは、160×160ピクセルの50倍までの画像を扱えるほか、360度のドラッグ機能を持つ(また、ブースには参考出品の動画対応版もあった)。Palmの各モデルのほか、『Visor』および、TRG Products社のコンパクトフラッシュスロットを備えたPalm OS機『TRGpro』上で動作する。 Fiarepad社のPalm用イメージビューワー、FireViewerのイニシャル画面。Palmではそのディスプレー画面のサイズゆえ、大きな画像や地図データを表示するのは難しいが、このソフトでは画面上の一点にペンを置き、ドラッグすることによりスクロールさせて、画像のどの部分でも簡単に表示させることができる。データは一度、FireViewer形式で格納する必要があるが、同製品のProバージョンでは、160×160ピクセルの50倍までの画像を扱えるほか、360度のドラッグ機能を持つ(また、ブースには参考出品の動画対応版もあった)。Palmの各モデルのほか、『Visor』および、TRG Products社のコンパクトフラッシュスロットを備えたPalm OS機『TRGpro』上で動作する。



資料やデータがまったくなかったため、詳細は不明だが、参考出品と思われるSonic Innovations社のExpressfitキット。一見するとよくできたビジネスマン用キットにも見えるが、そうではない。Sonic Innovations社は、耳の不自由な人や難聴者向けのヒアリング・エイド・ウェアのパイオニアで、スピーチのデジタル解析技術を用いて音声を文字化する技術や機器を提供している。このキットは、Palm上でそれを実現するためのものとみられる
資料やデータがまったくなかったため、詳細は不明だが、参考出品と思われるSonic Innovations社のExpressfitキット。一見するとよくできたビジネスマン用キットにも見えるが、そうではない。Sonic Innovations社は、耳の不自由な人や難聴者向けのヒアリング・エイド・ウェアのパイオニアで、スピーチのデジタル解析技術を用いて音声を文字化する技術や機器を提供している。このキットは、Palm上でそれを実現するためのものとみられる



アクセサリー類の出展も多かったが、これはLandware社のPalmV用バッテリーチャージャー、『BattPac』。単3乾電池や単3型充電式電池を使えるのがミソ。価格も50ドル(約5300円)程度と安く、Palm常用者には必携の一品
アクセサリー類の出展も多かったが、これはLandware社のPalmV用バッテリーチャージャー、『BattPac』。単3乾電池や単3型充電式電池を使えるのがミソ。価格も50ドル(約5300円)程度と安く、Palm常用者には必携の一品



Palm社自体からは新しいハードウェアの発表はなかったのだが、珍しかったといえば、特別版のブルーメタリックのハードケース(PalmV用)。頑丈で保護性が高く、取り出しもスムーズ。そして、やっぱりお洒落
Palm社自体からは新しいハードウェアの発表はなかったのだが、珍しかったといえば、特別版のブルーメタリックのハードケース(PalmV用)。頑丈で保護性が高く、取り出しもスムーズ。そして、やっぱりお洒落



Palmを手軽にデジタルカメラに変身させるモジュール、コダックの『PalmPix』(左側の幅約6cmの部分)この5月に市場に登場したばかり。解像度は最大640×480(VGA)だが、重さが45g(バッテリーは含まない)しかないことと、その手軽さを考えれば、十分であろう。会議中にホワイトボードの内容や図面を取り込み、ノートPCに転送して整理するといった使い方を想定した製品だが、それ以外にもいろいろ使い道がありそうだ。Palm IIIシリーズ以降のほとんどに対応。実勢価格は、現在、180ドル(約1万9000円)前後
Palmを手軽にデジタルカメラに変身させるモジュール、コダックの『PalmPix』(左側の幅約6cmの部分)この5月に市場に登場したばかり。解像度は最大640×480(VGA)だが、重さが45g(バッテリーは含まない)しかないことと、その手軽さを考えれば、十分であろう。会議中にホワイトボードの内容や図面を取り込み、ノートPCに転送して整理するといった使い方を想定した製品だが、それ以外にもいろいろ使い道がありそうだ。Palm IIIシリーズ以降のほとんどに対応。実勢価格は、現在、180ドル(約1万9000円)前後



米国におけるPalm用GPSデバイスとしては、StreetFinderと人気を二分するDELORME社の『Earthmate GPS Receiver』。こちらは、ドッキング型ではないが、Palm OS機のほかにWindows CE 2.0搭載の、NEC『Mobile Pro 700/750C』、コンパック『810/200C』、シャープ『HC-4000/4100/4500』、カシオ『CASSIOPEIA A-20』、ヒューレット・パッカード『360LX/620LX』、フィリップス『Velo 500』に対応する。また、同社の地図以外にも数社のものが利用できる。標準的な『Street Atlas 7.0』とのパック価格は、約160ドル(約1万6800円) 米国におけるPalm用GPSデバイスとしては、StreetFinderと人気を二分するDELORME社の『Earthmate GPS Receiver』。こちらは、ドッキング型ではないが、Palm OS機のほかにWindows CE 2.0搭載の、NEC『Mobile Pro 700/750C』、コンパック『810/200C』、シャープ『HC-4000/4100/4500』、カシオ『CASSIOPEIA A-20』、ヒューレット・パッカード『360LX/620LX』、フィリップス『Velo 500』に対応する。また、同社の地図以外にも数社のものが利用できる。標準的な『Street Atlas 7.0』とのパック価格は、約160ドル(約1万6800円)



異彩を放つeBookMan

そんな中で目を惹いたのは、Franklin Electronic Publishers社の『eBookMan』だ(残念ながら写真データを消失したので、http://www.franklin.com/ebookman/をご覧ください)。同社は、インターネットを通じた電子書籍の販売(ダウンロード)を手がけている。

現在は、Palm OS用の専用リーダーソフトを使って読書できるだけだが、今秋発売予定のeBookManでは機能がぐっと増える。まず、LCDが200×240ピクセルへと文字表示量が87%増となるほか、Audio bookプレーヤーやMP3プレーヤーの機能、各種の電子手帳の機能などが追加される。OSはFranklin独自のもの。ただし、本体自体にはネットワーク機能がないので、書籍/音楽データは他のマシンにダウンロードしてから転送することになる。

Visorは価格と拡張性で勝負

さて、製品の販売開始が'99年10月というまだ若い会社ながら、すでにPalm社に大きな脅威を与えつつあるのが、日本でも2週間前に出荷が始まったばかりのハンドスプリング社の『Visorシリーズ』。OSはPalm OSを採用しているので、Palm用ソフトの大半が問題なく使用できる。米国での販売価格は、2MB RAMを搭載したベーシック・モデルが179ドル(約1万9000円)(黒のみ)。8MB RAMを搭載したデラックス・モデルが249ドル(約2万6500円)(半透明5色)となっている。クレイドルはUSBポートを標準でサポートするほか、PCと簡単にデータの同期を取ることができるHotSyncソフト、スプリングボードと呼ばれる拡張スロット(Visorでは背面の上部に位置する)により、Palmよりも拡張が容易な上に柔軟性が高いといった印象を受ける。

それもそのはず、ハンドスプリング社は、Palm Computing Platformの立て役者3人(『PalmPilot』開発者のジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)、販売会社創設者のドナ・ダビンスキー(Donna Dubinsky)、マーケティングのエド・コリガン(Ed Colligan))が、Palmを超えるPDAを目指して2年前に設立した会社であり、信頼性も志も最初から高いレベルに設定してあるのだから、当然といえば当然かもしれない。米国での知名度も日増しに上昇しており、若々しさと柔軟な操作性前面に打ち出したVisorが、半年後にはPalmにどこまで迫っているか興味津々だ。

PalmにあらずともPDAここにあり、といった主張を展開していたのは、ハンドスプリング社のVisorシリーズ PalmにあらずともPDAここにあり、といった主張を展開していたのは、ハンドスプリング社のVisorシリーズ




カートリッジを装着する感覚で気軽に拡張できるスプリングボード対応の拡張モジュールは、すでにモデム、MP3プレーヤー、GPSレシーバー、キーボード、ゲームなどかなりのものが製品化されている。写真は、ちょっと変わったところで、Symbol社のバーコードスキャナーを装着して読み取りを実演しているところ。この距離、この角度でもちゃんと読み取れる。3500件程度のデータを本体にストアできる。拡張モジュールの写真は、下のURLでどうぞ
(http://www.symbol.com/products/consumer_systems/
consumer_csm150_flyer.html
)

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