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【PC EXPO 2000レポートvol.3】Palm生みの親ジェフ・ホーキンス氏のキーノート――モバイルデバイスの将来像はスマートフォン

2000年06月28日 00時00分更新

文● 塩田紳二

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PC EXPO 2000初日(27日)のキーノートスピーチは、Handspringの創業者で会長兼Chief Product Officer、Palmの生みの親の1人でもあるJeff Hawkins(ジェフ・ホーキンス)氏。ハンドヘルドデバイス市場では、Palm Computing Platformが大きなシェアを占めているとはいえ、PC市場に比べるとそれほど大きくない(700万台程度)ので、一般ユーザーに対する知名度としてはいまひとつだったのか、会場を満席にするほどの人は集まらなかった。

キーノートスピーチを行なうHandspringのJeff Hawkins氏
キーノートスピーチを行なうHandspringのJeff Hawkins氏



メインフレームからはじまり、コンピュータは小型化することで、ユーザーを増やしていったという導入から始まったスピーチだが、ハンドヘルドデバイス、携帯電話、インターネットアプライアンスサーバーにより、今後は、モバイル環境での生産性と接続性が向上することになるという。いままでにさまざまなモバイルデバイスが登場したが、結局Palmが(とはいっても、Hawkins氏のスライドでは『VISOR』なのだが)が、ユーザーにわかりやすいスタイルが受けて定着したのだという。

過去に登場したが消えていったワイヤレス通信対応のマシンたち
過去に登場したが消えていったワイヤレス通信対応のマシンたち



そして、その将来像を考えると携帯電話とハンドヘルドが結びついた“スマートフォン”という形が見える。そしてそれには、
1.よりよい通話機能
2.PIMとの統合
3.メッセージング
4.ブラウジングとトランザクション

がキラーアプリケーションになるという。

1は、2と重複するが、たとえば登録した氏名を指定することで簡単に電話をかけられたり、誰からかかってきたのかという履歴に電話番号でなく名前が表示されるような機能のこと。3のメッセージングはメールなどを指しているが、現在の携帯電話のようにテンキーからの文字入力より、グラフィティのほうがはるかに便利という話だった。最後の4は、ウェブ経由でニュースを読んだり銀行手続きをモバイルデバイスでオンライン処理するなんてことで、これは、なんか日本のiモードが実現しているような機能だ。

PIMと音声通話機能が正しく結びついた例。アドレス機能をダイヤル、呼び出し履歴、会議電話機能と結びつけている
PIMと音声通話機能が正しく結びついた例。アドレス機能をダイヤル、呼び出し履歴、会議電話機能と結びつけている



ブラウズ・トランザクションの例。ニュースページの表示(コンテンツ)、Amazon.comでの買い物やリモートバンキングなど
ブラウズ・トランザクションの例。ニュースページの表示(コンテンツ)、Amazon.comでの買い物やリモートバンキングなど



HandspringのVISORは、独自の拡張スロット“Springboard”を備え、こうしたスマートフォンにもなりうる製品であることを示し、そのイメージを公開した。VISORは、本体の正面下部にマイクが用意されているが、これは、Springboardスロット直接接続されており、VISOR単体では利用できない。以前に聞いた話だと、携帯電話のようなモジュールを作成可能にするためにSpringboardを考えたのだという。

VISORでスマートフォンを実現したもの。Springboardはこういう構造が可能なように作られているVISORでスマートフォンを実現したもの。Springboardはこういう構造が可能なように作られている



VISORのSpringboardのスロットは、背面側が開いている。これは電池を搭載するなど厚みのあるモジュールを作成可能にするためで、スロットが本体上部にあるのも、上にスピーカー部分などが飛び出す構造の製品を可能にするためだという。

ある意味で、電話にもなれるハンドヘルドデバイスを実現するために構想された、といってもおかしくないのがVISORなのである。今回のスピーチでは、そうした構想をより具体的な形で示したが、後は、こうしたモジュールの登場を待つのみといった感じである。

Handspringは、展示会場の自社ブースにおいて、Springboard製品のメーカーを集め、その製品を展示させているが、ワイヤレスモデムやMP3プレーヤー、デジタルカメラといった製品があった。ハンドヘルドデバイスではあるが、さまざまな“機能”(つまり携帯電話やデジタルカメラ)のユーザーインターフェース部分をVISORが受け持ち、さらに、それらの機能とVISORが持つPIMデータを組み合わせて使うというのが、Handspringの基本構想のようである。

キーノートスピーチのあとはパネルディスカッションになった。Palm社長のAlan Kessler(アラン・ケスラー)が最初に登場
キーノートスピーチのあとはパネルディスカッションになった。Palm社長のAlan Kessler(アラン・ケスラー)が最初に登場



写真左からAvantGo会長のFelix Lin(フェリックス・リン)、Tivoli Systems副社長のDavid Murphy(デビッド・マーフィー)、Jeff Hawkins、Alan KesslerとCnet.comのSteve Fox(スティーブ・フォックス)
写真左からAvantGo会長のFelix Lin(フェリックス・リン)、Tivoli Systems副社長のDavid Murphy(デビッド・マーフィー)、Jeff Hawkins、Alan KesslerとCnet.comのSteve Fox(スティーブ・フォックス)

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