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クイックロジック、DSPやMIPSなどのアプリケーション製品戦略について発表

2000年06月22日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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クイックロジック社は去る6月15日、都内のホテルにおいて、同社の事業戦略説明会を開いた。

同社は、MMI社でPALの開発に携わっていた技術やグループによって'88年に設立されたFPGA専業メーカー。'99年には、香港に続き、アジアの拠点となる日本オフィスを横浜に設置したり、ASIC設計者向け評価用デバイス(最大3個まで)として、48時間から72時間以内に無償でデバイスを提供する“WebASIC”サービスなども始め、日本市場に向け積極的な展開をしている。

同社のFPGAは、“Vialinkアンチヒューズプロセス”という独自技術によって、面積や寄生容量、抵抗値が小さく、低消費電力で高速に動作できる特徴がある。'91年に最初のFPGA製品『pASICファミリー』(0.65μmプロセス、2層メタル構造)を発売し、『pASIC2ファミリー』(0.65μmプロセス、3層メタル構造)、『pASIC3ファミリー』(0.35μmプロセス、4層メタル構造)というアンチヒューズ型のFPGAのラインナップをそろえてきた。

また、FPGAをベースに、ハードマクロ、プログラム可能なロジックアレイ、インターフェースの3ブロックをワンチップ化し、大規模システムに対応できるESP(Embedded Standard Product)も製品化している。ESP製品には、エンベデッドRAMを搭載したアンチフューズ型のFPGA製品『QuickRAMファミリー』や、RAMとPCIコアを搭載した『QuickPCIファミリー』などがある*

*最近のFPGA製品は、単にデバイスを高集積化し、拘束にするだけでなく、メモリーや、バスインターフェース、クロックなどの機能を埋め込んだり、開発ツールやハードマクロまでサポートしているものが多い

同社のCEO、トーマス・ハーツ氏は、今後のESP製品ラインナップと戦略について、「今年後半には毎秒80億回の処理速度を持つDSPアプリケーションを発売する。また、2001年にはMIPSコアをオンチップにした製品も出す予定だ」と語った。同社では今後、ネットワーク分野、DSP分野、シリアルおよびパラレルI/O分野での展開も進めていくという。

「昨年の売上げは4000万ドル、前年比30パーセントの伸びを示した」。クイックロジック社CEO、トーマス・ハーツ氏。「昨年の売上げは4000万ドル、前年比30パーセントの伸びを示した」。クイックロジック社CEO、トーマス・ハーツ氏。



また、日本支社のゼネラルマネージャー、鈴木英一氏は、同社の製品と他社製品の相違について説明した。

「我々の製品は、書き込みが1回だけで、再書き込みができない点においては他社と比べて柔軟性はないかもしれない。しかし、ローパワーで発熱が少ない点に大きなアドバンテージがある。我々のターゲット市場は、どちらかというと産業用システムよりもコンシューマー分野に近いところ。コンシューマーに近いほどASICの需要が高くなるので、ASICの置き換え用として“ASCIライク”なFPGAを提供していくという方向性だ。したがって、スペックの変更が何回もあって書き換えをする必要がある場合は、他社のFPGAを使ったほうがいいかもしれない。我々の戦略は、再書き込みができる競合メーカーと、まっこうからぶつかっていこうというのではない」と語り、それぞれのメリットを活かしたところで勝負していくとした。

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