米インテルのゲルシンガー副社長が来日し、プレス向けにQ&Aセッションを開催――「製品計画に遅れはない」「Pentium IIIは1GHzを超える製品も投入」
2000年04月26日 00時00分更新
米国インテル社の副社長で、デスクトップ製品事業本部長でもあるパトリック・ゲルシンガー(Patrick
Gelsinger)氏が来日し、プレス関係者とのQ&Aセッションが行なわれた。ここでは、その模様をIntel
Espressoでおなじみの塩田紳二氏にレポートしていただいた。
製品計画の遅れについて
--Celeronの発表が遅れたと聞いたが?ゲルシンガー氏「我々の予定としては、第2四半期中に発表する予定だったが、今四半期の早い段階という予想レポートが(一部のマスコミに)出てしまった。実際に発表時期を決めた段階ではその予想レポートよりも遅くなったため、“遅れた”という話になったのだと思う」
--Pentium IIIの供給が厳しいという話だが?
「需要が、例年の季節による変動とは違った動きをしたのが原因の1つ。通常第1四半期は、前年の第4四半期よりも10パーセント程度PCの出荷台数が落ちるというのが通例だったが、それが(今年は)横這いだったこと。また、第2四半期においても第1四半期に比べると10パーセントぐらい落ちるのが例年の動きなのだが、逆に上がってしまった。このような場合には、増産を行なうのだが、現在0.25μmプロセスから0.18μmプロセスへの切り替えと、FC-PGAパッケージへの切り替えの最中であり、この需要の伸びに対応できなかったのが原因である」
パトリック・ゲルシンガー副社長 |
Willamette/CPU関連
--Willametteのモバイル分野での展開は?「熱的な設計条件があるので、モバイルには組み込めない。当面は、モバイルPentium IIIでモバイルに対応し、Willametteは最初デスクトップで展開する。モバイル向けにはWillametteの別バージョンで対応することになる」
--Willametteのステータスは? クリスマス商戦にはどの程度の周波数のものが出るのか?
「IDFで1.5GHzのデモをおこなったが、現在の進行状況は、ファーストシリコンのデバッグの後半段階にある。発表時期は、今年の下半期としか発表しておらず、第3四半期か第4四半期かはまだ明かにしていない。最初の製品の周波数も未発表である。Willametteのサンプルは、評価用として主要ユーザーやソフトベンダーには出しているが、非常によい進行状況である」
--ItaniumとWillametteの動作クロックを比べるとWillametteのほうが早くなってしまうのでは?
編集部注:インテルは、Itaniumは今年後半に800MHz以上で発表、またWillametteについては1GHz以上で発表されるとしている。
「おそらく、現在のデスクトップPC向けのベンチマークを行なえば、Itaniumが負けるだろうし、データマイニングのようなベンチマークを取れば、Itaniumが勝つことになるだろう。この中間のベンチマークを取れば、IA-32がすでに成熟した状態にあるので、最初はWillametteが勝つが、そのうち、Itaniumが勝つことになるのではないか」
--Pentium IIIからWillametteへの移行はどれぐらいの期間を見ているのか?
「アーキテクチャーの変更は、3~8四半期かかるのがいままでの例である。Willametteは、ハイエンド製品で、かつマイクロアーキテクチャーの変更があるので、少し時間がかかるのではないかと思う。市場や競合などの動きによって大きく違ってくる」
--今回は、Pentium IIIが1GHzよりも高速のものはないようなので、いままでと同じ状況ではないのでは?
「Pentium IIIの1GHz以上の製品を出さないとはいっていないし、1GHzより上に伸びない理由はない。いまでも、何百名ものエンジニアがクロックを上げる開発に関わっており、これは、今年も来年も続けられる。上からWillametteが投入されるが、Pentium IIIの性能も当面伸び続ける。また、Celeronもクロックが上がり、さらに下からはTimna(低価格PC向けのチップセット統合型プロセッサー)が入ってくる」
--WillametteとTimnaのブランド名はどうなるか?
「まだ、発表できる段階ではないが、Willametteでは、Pentiumファミリーなので、その名前を活用し名前になるのではないか。また、Timnaは、Celeronブランドを活用した名前になるだろう」
チップセット
--(440BXの後継チップセット) Intel 815Eまで、モバイル用のチップセットが出ないというのは遅くないか? デスクトップにおけるIntel 810のようなモバイル用グラフィック統合チップセットの予定は?「来年からは、1つのチップセットで、デスクトップとモバイルの両方に対応する予定。また来年をめどとして、モバイル用の810チップセットを出す予定」
--(Intel 810の後継となる)Intel 815の出荷が遅れて、夏のデスクトップ製品に間に合わないという話があるが?
「815チップセットは、今年第2四半期中に発表予定で特に予定の変更はない。たぶん、OEMとの情報交換がうまくいってなかったのではないか」
--Intel 815Eチップセットが815出荷の直後に出るという話だが、この両者の違いは?
「まだ、未発表の製品なので、ちょっと話ができない。たしかに発表は第2四半期中であるが、815とは同時ではない。いま話せるはここまでで、これ以上は勘弁してほしい」
--Direct RDRAMへの移行はどれぐらいかかるか? |
「インテルのロードマップと業界の動向によって変わってくる。IDFの資料では、2001年末となっているが、ひょっとすると2002年までかかるかもしれない」
--DDR(Double Data Rate)-SDRAMの採用については?
「DDR-SDRAMはデスクトップではサポートしない。ただし、サーバー用には対応する。来年の第1四半期に対応チップセットを出す」
--なぜデスクトップPCでDDR-SDRAMをサポートしないのか?
「1つには、いますぐに必要としているのに、DDR-SDRAMは利用可能な状態にない。もう1つには、デスクトップPCで通常用いられるバス構成では、Direct
RDRAMのほうが性能が高くなる。2番目の理由と関連して、DDR-SDRAMでRDRAM以上の性能を出すためにバス構成を128bitなどに広げると、基盤面積が大きくなるため、PCのサイズも大きくなってしまう」
その他
--ソニーとの提携では、インテルは、ソニーにどういう製品、動きを期待しているのか?「3点合意している。1つは、メモリースティックのPCインダストリーへの導入である。OEMやライセンスを良い条件で導入すること。もう1つは、デジタルビデオコンテンツの保護機能のPCに向けての展開。最後はネットワーク家電とPCとのHAViやUPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレー)を使い、2つの環境での相互運用性を持たせることである」
--日本では、広帯域インターネット関連企業への投資はないのか?
「インテルは、世界的に広帯域のネットワークを利用できるようにすることに強い興味を持っている。米国やヨーロッパ、中国などで投資や提携を行なっている。日本では、今の段階では言えることはないが、将来的にはこの方向に関しての発表ができるのではないかと思っている」
--X-Boxのビデオ機能入りNorth Bridgeチップ“X-Chip”の開発にあたって、nVIDIAに対して、技術提供を行なうのか?
「X-Boxは、マイクロソフトやnVIDIAの製品に関することなので、インテルからはコメントできない。ただし、協力するので、ライセンスや技術協力はありえると思う」
--インテルがX-Chipの製造はするのか?
「そういうコミットメントに関する質問には答えられない」
(4月24日)