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MSと協力し、世界各国で40万人以上の教職員を対象としたパソコントレーニングを――“インテル エデュケーションフォーラム2000”開催(前編)

2000年04月13日 00時00分更新

文● 船木万里

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12日、インテル(株)は、ホテルニューオータニにおいて“インテル エデュケーションフォーラム2000”を開催した。第1部では、来日中のインテル コーポレーション社長兼CEO、クレイグ・R・バレット氏が、全世界におけるインテルの教育への支援活動について講演した。

またインテルの代表取締役社長、ジョン・アントン氏が、日本における支援活動について報告し、筑波大学学長が情報教育への取り組みについて述べた。

子供たちにテクノロジーの楽しさを伝えたい――インテルの3つの取り組み

まず、第1部最初のプログラムとして、インテル コーポレーション社長兼CEOのクレイグ・R・バレット(Dr.Craig R.Barrett)氏が登場した。

インテル コーポレーション、社長兼CEOのクレイグ・R・バレット氏
インテル コーポレーション、社長兼CEOのクレイグ・R・バレット氏



インテルでは社会への貢献事業として“Intel Innovation in Education”というプログラムを発表し、教育界への支援を表明している。このプログラムでは“教職員への教育支援”、“地域単位での教育支援”、“科学コンクール”を3つの柱としている。

まず“教職員への教育支援”においては、Microsoftとの協力により、今後世界各国で40万人以上の教職員を対象としたパソコントレーニングを実現させるという。

また、“地域単位での教育支援”としては、“Intel Computer Clubhouse”というプログラムを実施。コンピューターに触れる機会が少ない地域の子供たちのデジタルデバイドを埋めるため、各地域にClubhouseを開設する。メンバーとなった子供たちには各自の興味に基づいて、テクノロジーを利用した作品制作を指導するというもの。単にコンピューターの使い方を教えるだけではなく、子供たちにテクノロジーの楽しさを伝えることが目的という。現在、米国東部で数ヵ所に設置されており、今後5年で世界に100ヵ所のClubhouse開設を目標としている。

“科学コンクール”としては、米国の高校生を主体とした“Intel Science Talent Search”と、世界的な高校生のコンクールである“Intel International Science and Engineering Fair(ISEF-国際学生科学技術博覧会)”を行なっている。ISEFには世界40ヵ国以上の高校生が参加している。こうしたコンクールは、科学や数学の分野における高校生の才能を認める、世界的にも数少ない場の1つ。学生たちにこのような機会を提供することで、理数系の分野に興味を持ってもらいたい、との考えから行なわれているもの。

バレット氏は、以前大学で教鞭を取っていた時のことを語り、「直接、学生や子供たちに学問の楽しさを紹介し、プログラムを提供していくという形での教育支援は、寄付などの経済的支援と同様に重要と考えている」と述べた。

最後に、マテル社との共同開発による電子顕微鏡『Interl Play QX3 コンピュータマイクロスコープ』を紹介。バレット氏自らデモンストレーションを行ない、「自然界に楽しく簡単に触れることのできるようなツールを提供することで、子供たちの科学への興味を駆り立てたい。それが後には、経済を牽引する力となっていくはず」と語った。

電子顕微鏡のデモンストレーションを行ない、「マイクロスコープを使うことで、子供たちに自然への興味を持ってほしい」と語るバレット氏電子顕微鏡のデモンストレーションを行ない、「マイクロスコープを使うことで、子供たちに自然への興味を持ってほしい」と語るバレット氏



日本での取り組みは始まったばかり。日本各地でのPCスクールキャラバンなどを予定

次に、インテルの代表取締役社長、ジョン・アントン(John Antone)氏が“インテル教育プログラム――日本での活動”と題した講演を行なった。アントン氏は、これまでの取り組みとして、筑波大学への寄付・寄贈、ISEF(国際学生科学技術博覧会)への高校生の授賞式招待、教育読本やビデオの提供、PCスクールの開催などを挙げ、それぞれの映像や写真を紹介した。

インテルの代表取締役社長、ジョン・アントン氏。「日本の子供たちに、テクノロジーに取り組みやすい環境を提供していきたい」と語るインテルの代表取締役社長、ジョン・アントン氏。「日本の子供たちに、テクノロジーに取り組みやすい環境を提供していきたい」と語る



今後は子供たちを対象としたホームページコンテストや、日本各地でのPCスクールキャラバンなどを予定している。現在の年に数回の都内でのPCスクールは、決して多いとはいえないので、これからは週末などに各地でスクールを開催していきたい、とした。

「子供たちがひるまずにパソコンに取り組み、機器の使い方だけではなく、自分なりの楽しみ方を身に付けられるよう、さまざまな機会を提供していきたい。実際、日本では教育支援も始まったばかりで、インテルとしても初めて取り組むプログラムもある。しかし、これまでの活動で得た経験を生かして、積極的に教育支援に取り組み、日本の情報教育の土台を整えていきたい」と、今後に対する抱負を述べた。

情報先進校、筑波大学の現状と今後――関係校との有機的連携を図る

第1部の最後には、筑波大学学長の北原保雄氏により、情報教育の重要性についての講演が行なわれた。

筑波大学学長の北原保雄氏は「現職教員の情報に関する再教育は急務である」と語った
筑波大学学長の北原保雄氏は「現職教員の情報に関する再教育は急務である」と語った



27年前に創立された筑波大学は、当時から最先端の情報技術を取り入れ、先駆的な役割を果たしてきた。開校当初から情報処理の授業を全学生必修とし、図書館では貴重な古書や学位論文など全てを電子化、システム化した。このような教育面や情報発信システムの整備に加え、研究面でも超並列計算機の開発に成功するなど、最先端をリードしてきた。昨年はさらに“情報化推進委員会”を設立し、全学内での情報システムの根本的改善に取り組んでいる。

筑波大学では今後、附属校のインフラ整備や、教職員自身の情報リテラシー教育に力を入れて実験校としての実績を上げ、質の高い教育プログラムを開発したいと考えている。

「特に附属校の教員と、大学・大学院の教育研究科とが有機的連携を図ることによって、現場からのフィードバックを取り入れて一貫性のある教育プログラムを開発し、将来的には日本全体の教育の情報化に寄与したい」と北原氏は結んだ。

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