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マイクロソフト、家庭用ゲーム機『X-Box』の説明会を開催、関係者400名が参加

2000年03月31日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は、3月10日に発表した家庭用ゲーム機『X-Box』に関する情報をパートナー企業や報道関係者向けに紹介する説明会“X-Boxパートナー・ミーティング”を幕張メッセ近郊のホテルで開催した。同説明会は、3月10日の発表後、各方面からの反響が大きく、“説明を直接聞きたい”という関係各社の要望に応える形で実施したもので、10日に発表された内容をベースにデモンストレーションを交えてX-Boxの概要が紹介された。ゲームショウ2000春のブースにはX-Box関連の展示はないこともあって、説明会会場には、パートナー企業300社を含む約400人の関係者が集まった。

説明会場に展示された『X-Box』試作機。3月10日の発表会に登場したものと同じ
説明会場に展示された『X-Box』試作機。3月10日の発表会に登場したものと同じ



X-Boxは、CPUにインテルのPentiumIII-600MHzのカスタム版を採用し、マイクロソフトとNVIDAI社との共同設計による3Dグラフィックプロセッサー『X-Box GPU』を搭載する。OSはWindows 2000カーネルによる専用OSで、64MBのメモリーと8GBのHDDを搭載する。さらに、4倍速のDVD-ROMドライブ、ゲームコントローラー用ポート×4、USB拡張ポート、外部AV出力端子、10/100MbpsのEthernetインターフェースを装備している。

説明会場では、同社代表取締役会長の古川亨氏が、3月10日に行なわれたビル・ゲイツ氏の米国での発表内容を元に、X-Boxの説明を行なった。



「'75年設立当時のマイクロソフトのビジョンは“すべての机に家庭にコンピューターを”だったが、それから25年経ち、ビジョンを“いつでもどこでもデバイスを問わず優れたソフトウェアを通じて人々に力を与える”に変更した。ビル・ゲイツはX-Boxについて、“PCの経験をコンソールのデバイスに適用したものではなく、OSの起動やソフトのインストールの必要がないものにする”と発表し、会場から歓声を浴びた」

「X-Boxは、CPUにPentiumIII-600MHzを超えるものを採用し、OSはWindows 2000カーネルをシンプルにまとめて提供する。HDDとDVD-ROMドライブを標準搭載し、DVDの映像をHDDにキャッシュさせることで、これまでと違ったパフォーマンスが得られるだろう。グラフィック処理能力、HDDの拡張性、広帯域ネットワークを生かしたゲームが実現できる。パートナー企業といっしょにこれからルールを作っていきたい」

また同氏は、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)のPlayStation 2(以下PS2)について、「すばらしい機械で、技術点においてもほれぼれする。新しい可能性を広げていくものだろう。昨日、国際フォーラムでSCEIの久夛良木さんにお会いし、“参入を期待します、あなたがたもようやく本気になりましたね”と言われた。今後PS2も普及するだろうし、X-Boxも普及させたい。100しかないパイを取り合うのではなく、PS2やX-Boxによってすそ野を広げ、パイを200、300にできるだろう。双方の刺激になる。久夛良木氏には“(来年秋発売は)遅いよ”とも言われた。両方を買うか、どちらか片方を買うかは、ユーザーに委ねたい」と語った。

続いて、NVIDIA社の共同創業者、プレジデント兼CEOであるJen-Hsun Huang(ジェン・サン・ハン)氏が登場し、グラフィックチップ『X-Box GPU』について説明した。



「X-Box GPUは、6500万トランジスター(インテルItaniumの3倍)、毎秒10億以上の命令処理能力(スーパーコンピューター『Cray YMP』の1500倍)、140Gflops(既存ゲーム機の20倍)といった性能を持つ。Geforce2はPS2の7倍の処理速度能力があるが、X-Box GPUはGeforceよりもっとパワフルだ。

Huang氏が行なった3Dグラフィックのデモ。水面の複雑な波形や、光の映り込みが美しく表現されている。実際の製品の10分の1程度のパフォーマンスという
Huang氏が行なった3Dグラフィックのデモ。水面の複雑な波形や、光の映り込みが美しく表現されている。実際の製品の10分の1程度のパフォーマンスという





米マイクロソフト社のマネージャーSeamus Blackley(シェームス・ブラックリー)氏によるX-Boxのデモ。使用されたゲーム機は3月10日にも登場した“X”を象ったデモ用の試作機で、3DグラフィックチップはGeforce2を利用している。性能は実際の製品の10分の1程度。デモ内容は、これまた3月10日に紹介されたものと同じ
米マイクロソフト社のマネージャーSeamus Blackley(シェームス・ブラックリー)氏によるX-Boxのデモ。使用されたゲーム機は3月10日にも登場した“X”を象ったデモ用の試作機で、3DグラフィックチップはGeforce2を利用している。性能は実際の製品の10分の1程度。デモ内容は、これまた3月10日に紹介されたものと同じ



また同社は、4月1日付けで、X-Box専任部門“X-Box事業部”を発足すると発表した。同事業部は、日本市場における戦略的パートナーシップおよびマーケティング活動を展開する。事業部長には同社常務取締役の大浦博久氏が就任し、事業部の統括を行なう。

説明会場で挨拶に立った大浦氏は、「4月1日付で、これまでのX-Box企画室を昇格させ、事業部として活動を行なう。X-Boxの発売タイトルや販売方法は未定で、発売までの間に、X-Boxに関する説明会を定期的に行ない、最新情報を随時提供していく」



「X-Boxは、限りない可能性を秘めた最強のコンソール。マイクロソフト全体で1番重要なビジネスイニシアティブとして位置づけられており、WindowsやOffice以上のリソースをかけて成功させていく」と語った。

また、来場者からの質問にも応じ、「HDDやEthernetを装備していることから、ネットワークゲームに威力を発揮するようだが、インフラの整備はどうするのか」との問いには、「来年秋には日本全体でインフラ整備の動きが出てくるだろう。われわれだけでインフラを構築しようとは思っていない」と回答。さらに、X-Boxのゲーム機以外の利用価値については、「X-Boxはゲームコンソールと位置づけている。当分はゲーム専用機として開発し、ゲームコンソールとしての地位が確立した後、次の段階で違う分野での使い道を考えていきたい」としている。

説明会に登場した面々と、X-Box事業部スタッフ
説明会に登場した面々と、X-Box事業部スタッフ

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