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【Seybold Seminars Boston 2000 Vol.1】デジタルクリエーションの祭典“Seybold”いよいよ開催! 最新情報や技術を求め、プロフェッショナルが集合

2000年02月09日 00時00分更新

文● TERO MODA

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2000年2月7日(米国東海岸現地時間)より、マサチューセッツ州ボストンのMassachusetts Convention Centerにおいて“Seybold seminars Boston 2000”が開催されている。Seyboldは、紙出版、電子出版におけるデジタルクリエーション、DTP、デザイン、印刷などのプロフェッショナルを対象にしたイベント。コンファレンス、チュートリアル、および展示会が催されている。

会場となったMassachusetts Convention Center。奥の入り口は、ショッピングモールにつながっている
会場となったMassachusetts Convention Center。奥の入り口は、ショッピングモールにつながっている



コンファレンスは、3つのテーマに分けられていた。ウェブベースの電子出版をテーマにした“Web Publishing”(7日、8日)、出版全般をテーマにした“Publishing Strategies”(9、10日)、紙出版をテーマにした“Best Practices for Printing Publishing”(1日10、11日)。

コンファレンスとチュートリアルの会場が集まるロビー。それぞれのプログラムは長時間になるため、飲み物や軽食のサービスが用意されている
コンファレンスとチュートリアルの会場が集まるロビー。それぞれのプログラムは長時間になるため、飲み物や軽食のサービスが用意されている



チュートリアル(7日~11日)では、ウェブコンテンツの作成、出版現場へのPDFの導入、DTPやウェブ更新の自動化を行なうアプリケーションの使用(InDesign、QuarkXpress、FileMaker Proなど)などに関する実践的な勉強会が行なわれている。

チュートリアルの1つ“Photoshop 5.5 Tips & Tricks”の会場。ここでは55ページのテキストが渡され、3.5時間にわたって実践的な活用方法を紹介
チュートリアルの1つ“Photoshop 5.5 Tips & Tricks”の会場。ここでは55ページのテキストが渡され、3.5時間にわたって実践的な活用方法を紹介



展示会は、9日から11日までの開催となる。300社以上が参加し、数百点以上の新製品発表が予定されている。

商業モデルとしてのウェブ出版を確立させる重要な要素

7日午前9時、ウェブベースの電子出版をテーマにしたコンファレンス“Web Publishing”(7日、8日)の基調講演が、現場に携わるプロフェッショナルによって行なわれた。

基調講演には、Circle.com社のCEOであるRoger Black氏、マサチューセッツ工科大学Artificial Intelligence LaboratoryのPhiliop Greenspun氏、UserLand Software社のCEOであるDave Winer氏の3人が招かれた。

最初に登場したCircle.com社のRoger Black氏は、電子出版のパイオニアで、『New York Times』や『Rolling Stone』誌といった新聞や雑誌で活躍するデザイナーとしても広く知られている人物。
Black氏は、バナー広告を収入源としたオンラインメディアが成功を収めるための条件について語った。

Circle.com社のCEOであるRoger Black氏。メキシコ、フランス、スペイン、イタリア、ドイツにデザイン事務所を持ち、1年のうち半年は世界各地を飛び回る忙しいデザイナーとして知られている
Circle.com社のCEOであるRoger Black氏。メキシコ、フランス、スペイン、イタリア、ドイツにデザイン事務所を持ち、1年のうち半年は世界各地を飛び回る忙しいデザイナーとして知られている



その中で、ウェブ出版が商業モデルとして確立するのに最も重要なものは、ウェブデザインであることを強調。ウェブベースの電子出版は、コンテンツ、技術、経営、営業の4つの部門を基盤としたものであり、どれが欠けても運営は成り立たない。しかし、それ以前の段階で、ウェブデザインは読者の獲得や広告営業に最も大きな影響を与える重要な要素であると説明した。

ウェブサイトのコンテンツについては、さまざまなニーズを要求する読者に応え、多様化するのは当然のことであるし、またそうあるべきだと主張した。たとえば、同一のサイトに出版、インターネット電話、オンラインストアーなど目的の異なるコンテンツがあっても、それは読者の利便性を高めるのに有効な手段であり、決してマイナスにはならない。

スピーチの最後にBlack氏は、「最近はウェブベースの電子出版がビジネスになることが分かり、闇雲に乗り出そうする企業を多く見掛ける。どんな時流の中にあっても、出版に携わる人々はジャーナリズムの使命を決して忘れないでほしい」と、聴衆に呼びかけた。

ページ更新を簡単に自動化できる最新技術を紹介

スピーカーの2番手は、マサチューセッツ工科大学Artificial Intelligence LaboratoryのPhiliop Greenspun氏。Greenspun氏は、自身が運営するウェブサイト(http://photo.net/)を紹介しながら、膨れ上がったウェブコンテンツの管理や、読者に目的のコンテンツを素早く検索させるために、データベースの導入が必要不可欠であると述べた。

マサチューセッツ工科大学Artificial Intelligence LaboratoryのPhiliop Greenspun氏。饒舌な講演で、会場を一番わかせていた
マサチューセッツ工科大学Artificial Intelligence LaboratoryのPhiliop Greenspun氏。饒舌な講演で、会場を一番わかせていた



最後に登場したのは、UserLand Software社のCEOあるDave Winer氏だ。Dave Winer氏は、'88年にNorton Utilitiesなどで知られるSymantec社を退社したあと、MacOSのスクリプト言語『Frontier』を開発した。AppleScriptの登場で、Frontierはいったん市場から姿を消すが、'96年にインターネットに対応したバージョンの開発を再開した。

UserLand Software社のCEOであるDave Winer氏。'84年にMacintosh対応の『ThinkTank 128』、'85年に『MORE』を開発している
UserLand Software社のCEOであるDave Winer氏。'84年にMacintosh対応の『ThinkTank 128』、'85年に『MORE』を開発している



現在はMacOSとWindowsに対応した『Frontier 6.1.1』が、それぞれ899ドルで出荷されている。

Dave Winer氏は、UserLand Software社のインターネットサーバー『Manila』を紹介した。Manilaは、Frontierにバンドルされる製品で、コンテンツの編集や管理を、インターネットブラウザー上で行なえるもの。たとえば、編集者が取材先の端末からインターネットブラウザーのみを使用して、ページを更新できる。毎日のページ更新をこうした簡単な手段で自動化できるメリットは大きい。


最後に、スピーカー3人が集まっての質問会が行なわれた。「インターネットでもうかるにはどうすればいいですか?」の質問は、Dave Winer氏の文筆(http://davenet.userland.com/)から出たもの

情報や技術を求め、“Web Publishing”コンファレンスに集まる人々

基調講演終了後、“Web Publishing”コンファレンスが開催された。ウェブベースの商取引“Web Commerce and Marketing Web”、デザインをテーマにした“Design/Authering”、ウェブ制作と開発をテーマにした“Web Production and Development”のプログラムが、同時に進行。チュートリアルは、コンファレンスと同じフロアーで8時半に開始していた。

QuarkXpress、Photoshop、InDesignといったアプリケーションの出版物制作現場での使用方法や、ウェブインターフェースデザインに関する実践的な勉強会だ。各チュートリアルは、3時間半から8時間にわたって行なわれた。

新しい出版技術、新しい出版スタイルを求める人々、それを提供しようとする企業が集まり、“Seybold seminars”は11日まで賑わい続ける。

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