日本電気(株)パーソナルC&C事業グループ支配人で、NECパーソナルシステム(株)取締役パーソナルコンピュータ販売本部長の片岡洋一氏に、『Mobile
Gear ll』の売れ行きについて伺った。
----コンピューター業界全体として、ノートパソコンの売れ行きが好調だが。
「高性能デスクトップは、ゲームを楽しみたい人、ハイエンドユーザー向けとしての用途しかない。最近のノートパソコンは、メモリー、ハードディスクなど、普通のデスクトップ並みに性能が向上した。拡張性に欠けているという面で劣るが、普通に使うのならばノートパソコンで十分。今年のコンピューター販売台数のうち、ノートパソコンの占める率はおよそ43~45パーセントぐらいだと思っている。今後2、3年以内に、ノートパソコンの占める率は50パーセントに達するのではないか」
「ノートパソコンの次は、PDA(携帯情報端末)の占める率が上がると考えている。ただ、現状として仕事の仕方、電子メールを利用したり、スケジュール管理をしたりと、企業のシステムがPDAの利用に適していないため、まだまだ普及率は高まっていない」
NECは、Windows CE2.0日本語版に対応したPDAとして、カラー液晶搭載モデル『Mobile
Gear ll MC-R500』、モノクロ液晶搭載モデル『Mobile Gearll MC-R300』の2機種を3月20日に出荷した。
----『Mobile Gear ll』の売れ行きは。
「おかげさまで、好調。店頭に並んでいる見本まで売り払うぐらい、売れている。受注が追いつかないぐらいだ。でも、生産を続け、お客様の注文に応えるよう努力している」
----先日、ソニーは『VAIO』の受注を中止したが。
「これはあくまでも私見だが、ソニーの戦術としか考えられない。絶対におかしい。100作れるのに、70しか作らないなんて考えられない。簡単に生産の量を増やすことはできないかもしれないが、お客様の注文に応えるため、生産を続けることは可能なはず」
「製品がヒットしているときは、増産するのが普通だ。今はどこも苦しいとき。販売店も儲けられるときに儲けたいはず。ヒット製品なら、なおさらだ。ソニーは販売店を絞って、選別して、差別化して、製品を流通している。販売店の中には、悔しい思いをしているところもあるはず。いざ、ソニーがVAIOを大量生産して、いろんな販売店さんに売ってくださいと言っても、悔しい思いをした販売店の中にはそっぽを向く店もあるはず。このような方法を続けると、販売店の反感を買うだろう」
これまで、ウォークマン、ディスクマン、最近ではプレイステーションと数々のヒットを生み出してきたソニー。今回の『VAIO』受注中止も、確実なヒットにするための戦術なのか。
「戦術以外の理由があるのかもしれない。たとえば、生産過程に問題が生じたとか、資材が調達できなくなったとか」
「ノートパソコンの7割ぐらいは、29万~30万円台の製品。VAIOのように25万円を切る値段は、正直言ってきついと思う。この価格帯のノートパソコンは、たとえばディスプレーがTFTでなかったり、必ず何らかの機能を排除しているもの。おそらく、今人気のあるVAIOは利益が出にくい商品なのでは。だから、受注を中止したのかもしれないね」と、同氏は語った。
(報道局 西川ゆずこ)
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