このページの本文へ

【INTERVIEW】NEC、『Mobile Gear ll』の売れ行き好調、ソニー『VAIO』受注中止は戦術か

1998年04月07日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


 日本電気(株)パーソナルC&C事業グループ支配人で、NECパーソナルシステム(株)取締役パーソナルコンピュータ販売本部長の片岡洋一氏に、『Mobile Gear ll』の売れ行きについて伺った。



----コンピューター業界全体として、ノートパソコンの売れ行きが好調だが。

 「高性能デスクトップは、ゲームを楽しみたい人、ハイエンドユーザー向けとしての用途しかない。最近のノートパソコンは、メモリー、ハードディスクなど、普通のデスクトップ並みに性能が向上した。拡張性に欠けているという面で劣るが、普通に使うのならばノートパソコンで十分。今年のコンピューター販売台数のうち、ノートパソコンの占める率はおよそ43~45パーセントぐらいだと思っている。今後2、3年以内に、ノートパソコンの占める率は50パーセントに達するのではないか」

 「ノートパソコンの次は、PDA(携帯情報端末)の占める率が上がると考えている。ただ、現状として仕事の仕方、電子メールを利用したり、スケジュール管理をしたりと、企業のシステムがPDAの利用に適していないため、まだまだ普及率は高まっていない」

 NECは、Windows CE2.0日本語版に対応したPDAとして、カラー液晶搭載モデル『Mobile Gear ll MC-R500』、モノクロ液晶搭載モデル『Mobile Gearll MC-R300』の2機種を3月20日に出荷した。

----『Mobile Gear ll』の売れ行きは。

 「おかげさまで、好調。店頭に並んでいる見本まで売り払うぐらい、売れている。受注が追いつかないぐらいだ。でも、生産を続け、お客様の注文に応えるよう努力している」

----先日、ソニーは『VAIO』の受注を中止したが。

 「これはあくまでも私見だが、ソニーの戦術としか考えられない。絶対におかしい。100作れるのに、70しか作らないなんて考えられない。簡単に生産の量を増やすことはできないかもしれないが、お客様の注文に応えるため、生産を続けることは可能なはず」

 「製品がヒットしているときは、増産するのが普通だ。今はどこも苦しいとき。販売店も儲けられるときに儲けたいはず。ヒット製品なら、なおさらだ。ソニーは販売店を絞って、選別して、差別化して、製品を流通している。販売店の中には、悔しい思いをしているところもあるはず。いざ、ソニーがVAIOを大量生産して、いろんな販売店さんに売ってくださいと言っても、悔しい思いをした販売店の中にはそっぽを向く店もあるはず。このような方法を続けると、販売店の反感を買うだろう」

 これまで、ウォークマン、ディスクマン、最近ではプレイステーションと数々のヒットを生み出してきたソニー。今回の『VAIO』受注中止も、確実なヒットにするための戦術なのか。

 「戦術以外の理由があるのかもしれない。たとえば、生産過程に問題が生じたとか、資材が調達できなくなったとか」

 「ノートパソコンの7割ぐらいは、29万~30万円台の製品。VAIOのように25万円を切る値段は、正直言ってきついと思う。この価格帯のノートパソコンは、たとえばディスプレーがTFTでなかったり、必ず何らかの機能を排除しているもの。おそらく、今人気のあるVAIOは利益が出にくい商品なのでは。だから、受注を中止したのかもしれないね」と、同氏は語った。

(報道局 西川ゆずこ)

http://www.nec.co.jp/

・関連記事
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/issue/980327/hard01.html

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン