このページの本文へ

松下技研社長、テクノロジーを語る注目は“ミリ波通信技術”

1997年12月19日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


 松下電器産業(株)は、12月度の“マスコミと松下が、技術(テクノロジー)を語り合う会”(MMT会)を行なった。松下技研(株)の山下貞彦社長や、'96年に設立された松下技研・移動体通信研究所の牧本三夫所長らが出席、無線通信技術に対する取り組みをはじめとして、同社の概要や今後の展望を説明した。ちなみに、“MMT”とはマスコミ、松下、テクノロジーの頭文字をとったもの。

 MMT会では、同社が力を注いでいる無線通信技術が中心的な話題として取り上げられ、山下社長は、「無線の周波数帯域は飽和状態にある。高周波数の“ミリ波”に対応した通信技術に注目している。これは30年前にも独自で試みていた技術で、当時は実用化にこぎつけることはできなかったが、再び日の目を見る可能性が高い」などと語った。

 そのほか、ドイツで開始されているマルチメディア無線伝送サービス“DAB(Digital Audio Broadcast)”用の受信機や、有料道路料金所で一時停止しなくても自動的に通行料金の支払い手続きが行なえる“ETCシステム”、電波強弱や通信方式の変化に適応する“アダプティブ制御通信技術”などが紹介された。

 山下社長によると、松下技研は'60年の発足以来、「ものをつくる前に人をつくること」をモットーにしており、鍛えられた技術者による半導体部門や情報システム部門が同社から分離し、松下グループに貢献してきたという。現在は、新素材研究所、情報・ネットワーク研究所、超機構研究所、移動体通信研究所、国際技術開発部などで構成され、松下グループからの委託研究や国家プロジェクト参加により年間約60億円の収益を上げているという。

 「松下技研は松下グループではあるが、独立会社だからすばやく独自の決断ができるところがメリット。外部の有識者や世界各国のビジネスパートナーとも競合しながら、常に10年先を見据えた戦略を立ててゆきたい」(山下氏)

 山下社長は、社員には常に一流の技術者を目指すこと、ただ研究すればいいのではなく、採算をシビアに捉えることなどを言い聞かせているという。語りにはしばしば松下幸之助氏の言も引用され、夢やロマンが強調されていたのが印象的であった。(報道局 浅野広明)

http://www.mrit.co.jp/

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン