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LinuxWorld Conference & EXPO 99 in San Joseに行ってみる

1999年08月26日 02時17分更新

文● 宮原 徹

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 み。です。
 なんだか、み。のコラムは全然「ソフトベンダーから見たLinux」じゃなくて、「Linuxイベント探訪記」みたいになってしまっているけど、まぁ、それ(いろいろなLinuxイベントに行ってマーケットリサーチをしてくる)がソフトベンダーにいる、み。の仕事なので、自分としてはいいのではないかと思っている。ある程度書き溜まってきて、もっといいタイトルが思いついたら変えてみようと思う。


 で、今回のお題とおり、San JoseのLinuxWorldに行ってきたわけですが、現地のようすは毎日、夜遊びもせずにせっせとデジカメで撮った画像にコメントを付けてレポートしたので、そちらをご覧いただくとして、思ったこと感じたことを、特に日本とアメリカでのLinuxビジネスについての違いという点でまとめておこうと思います。

 まず大きいのは来場者の層の違いです。3月のときもそうでしたが、アメリカではLinuxを自分の仕事の「ツール」として使うための情報収集に来ているという感じ。だから服装も大体がTシャツに短パンという感じです(笑)。展示側もそういう人達がシステムを構築する際の「ツール」や「パーツ」を見せるという感じです。ですので、そこかしこでやたらと突っ込んだ議論を繰り広げているおかげで、こっちはもっと近くで展示が見たかったり、写真を撮りたかったりしても、邪魔なことこの上ないわけです(笑)。日本だったら、最近ではエンドユーザーに当たる人達が多数展示会を見に来たりしていますから、展示にも「ソリューション」を要求する傾向が強いように感じます。なので、剥き出しの、素材のままの状態に近い「パーツ」はなかなか見向きもされない、せいぜい黙ってカタログを持っていかれるぐらいなのが実情でしょう。この傾向は、ハード寄りになればなるほど強まるような気がします。

 Linuxを利用した事例紹介ということで、「Coat Factory」という全米250店舗のコート販売チェーンのシステムの事例紹介セミナーがありました。このセミナーは、会場が広すぎたということを差し引いても、それほど人が集まっていませんでした。日本だったら事例紹介セミナーならきっと満員になるだろうに。

 大小取り混ぜて、新しいLinux用のソフトウェアの新製品が出てきていました。日米の差をもっとも感じる部分です。理由は大きく2つあるでしょう。1つは作り手としてのベンチャー企業が日本では成り立ちにくい。そして日本語処理の問題。特に後者はある意味余計なことまで考えなくてはいけない日本語環境の大きなハンディキャップです。この部分をどうしていくか、真剣に考えないといけない時期に来ているような気がします。

 このように、いくつかの点で日米のLinuxビジネス状況を感じるイベントとなりました。アメリカのほうがビジネス的に進んでいる、ということは現時点ではありませんが、可能性としては一歩二歩先んじているような気がしました。この差を埋めるような動きが、日本で9月末に行なわれるLinuxWorldで出てくることを期待したいですね。

宮原 徹

プロフィール

宮原氏の写真

1972年生まれ、神奈川県出身。中央大学法学部卒。現在、日本オラクル(株)Linux事業推進部に所属。日本国内でのビジネス用途でのLinux利用促進の為、日夜活動を行なっている。

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