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ITコスト削減圧力でますます増える?

拡がる企業のGoogle Apps利用

2009年02月27日 04時00分更新

文● 大谷イビサ/ネットワークマガジン編集部

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グーグルのWebアプリケーションをSaaS型で提供する「Google Apps」の企業導入が増えている。もちろん、サービスの信頼性など課題もあるが、ITコストの削減圧力により、今後さらに導入が増えることは間違いない。

富士ソフトが1万人規模で Google Apps導入

 グーグルのWebアプリケーションをSaaS型で提供する「Google Apps」の企業導入が増えている。Google AppsはGmailやカレンダー、スプレッドシート、ワープロなどのWebアプリケーションが含まれ、個人ユーザーは無償で利用できる。既存のWebアプリケーションの常識を覆すようなドラッグ&ドロップの使い勝手や複数ユーザーでのコラボレーションが特徴となっており、日本でも徐々に人気が高まっている。

 こうした中、1月20日、富士ソフトは社員約1万人を対象に「Google Apps Premier Edition」を導入することを発表した。企業導入で、1万人という規模は国内でも初とのことだ。

 企業向けのGoogle Apps Premier Editionでは、通常のGoogle Appsに比べて、有料サービスならではの特徴がある。1IDあたり年額約6000円の利用料を支払えば、Gmailやカレンダー、ワープロ(ドキュメント)など各種アプリケーションが利用できるほか、ユーザー用のカスタマイズWebページも作成可能だ。

Google Apps Standard EditionとPremier Editionとの違い

Google Apps Standard EditionとPremier Editionとの違い

 今回のGoogle Apps Premier Editionの導入により、富士ソフトでは自社で構築してきたメールやスケジュールのシステムや、1万人規模のユーザー管理データベースの保守・運用コストが大幅に削減できると話している。

 同社はGoogle Apps Premier Editionの販売代理店でもあり、今後は自社事例を元に多くのユーザーに紹介していくとのことだ。SIerにもこうしたSaaSを積極的に販売する機運は高まっている。

課題は可用性やセキュリティ? オフライン化は徐々に実現

 今までGoogle Appsの大規模な導入事例は、全学部10万人規模で導入を決めた日本大学や一橋大学など大学が多かった。これらは教育機関向けの「Google Apps Education Edition」であり、あくまでGmailを独自ドメインで利用するという用途がメインであった。しかし、ITコスト削減を迅速に達成しなければならない昨今、冒頭の富士ソフトのように、企業導入が増えるのは必至といえるだろう。

 もちろん、Google Appsにもサービス可用性やセキュリティ面での不安や課題は残っている。2月24日には全世界的なGmailの停止という障害が発生した。これにより、企業向けサービスで提供している99.9パーセントのSLA(Service Level Agreement)は実現できなくなったという。

 また、Google Appsではないが、1月31日には世界のGoogle検索の結果に「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」と表示されたという問題も起こった。こうした人為的なミスをいかに防ぐかも、大きな課題といえる。

 とはいえ、グーグルもこうした課題は認知しており、解決に努めている。その1つである「ネットワークにつながっていないと使えない」という点は、オフラインクライアント「Google Gear」で解決しつつある。現在、GmailとGoogleカレンダーが実験的にオフライン機能を実装している状態だ。

GmailやGoogleカレンダーではオフライン化も推進している

GmailやGoogleカレンダーではオフライン化も推進している。

 多くのユーザーはGoogle Appsを使えば、「意外と使える」という感想を抱き、「自分だったらこう使う」といったアイデアを挙げるだろう。グループウェアや既存のオフィススイートのベンダーは、ターゲットや用途が異なるといった逃げ口上を打つのではなく、本格的にGoogle Appsを競合とみなすべき時期に来ている。

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