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西田 宗千佳のBeyond the Mobile ― 第18回

シャープの電子辞書が「ザウルス」になる?

2009年02月06日 15時15分更新

文● 西田 宗千佳

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Brain PW-TC980-B
電子辞書「Brain」 PW-TC980-B

 シャープは現在、「電子辞書」のオープンプラットフォーム化を進めている。同社の電子辞書「Brain」(ブレーン)シリーズで、広範なWindows CEベースのアプリケーションをインストール可能にするほか、今春には「エディター」などの実用アプリケーションを公開すべく、準備を進めている。

 「電子辞書のオープン化」とはどのような戦略なのか? そして、なぜそのような戦略をとるのか? 事業責任者の方に話を聞いた。


踊り場にさしかかる電子辞書市場
Windows CE採用がオープン化の引き金

 シャープの電子辞書には、2つの製品ラインナップがある。一つは「Papyrus」(パピルス)。モノクロ液晶ディスプレーを使い、シンプルな電子辞書として開発された製品で、従来の主力商品である。

Brain PW-TC980 Brain PW-TC980。カラー液晶搭載のモデルで、今回の「オープン化戦略」の代表的な製品になる。写真の黒以外に、シャンパンゴールドのモデルもあり

 もうひとつが今回の主役である「Brain」。カラー液晶ディスプレーを採用した高付加価値モデルにあたる。市場では「ワンセグ内蔵電子辞書」として人気の製品である。

 「電子辞書の次の飛躍のためには、オープン化を進めねばならない」。シャープで電子辞書製品ビジネスを手がける、情報システム事業本部副本部長兼事業企画推進センター所長の名井哲夫氏はそう話す。

 「適度なディスプレーサイズで、可搬性も良好。これだけ立派なキーボードとディスプレーがついているのに、辞書機能しかなくて、文字入力もデータ表示もできない。この事業部にきた時、それが私自身、不思議だったんですよ」(名井氏)

 名井氏は元々、ザウルスやメビウスなど、同社の様々なIT関連製品を手がけてきた人物である。2008年夏、事業責任者としてこのビジネスに着任した時に感じたのが、このような疑問であったという。

Brainのキーボード 高画質なカラー液晶ディスプレーを採用
Brainのキーボード。ストロークが小さく、決して「良好なタイプ感」とは言えないが、携帯電話などに比べれば容易に長文が打てそうな印象を受ける電子辞書としては少数派だが、高画質なカラー液晶ディスプレーを採用。ビューワーとしての能力が開花した時に本領を発揮するか?

 だからといって、電子辞書のオープン化がすんなりと進んだわけではない。この路線に進むには、技術面とビジネス面、それぞれの背景がある。

 電子辞書ビジネスは現在「苦戦している。ここ数年、年間の出荷台数は270万台で踊り場状態。非常に厳しい状態が続いている」と名井氏は話す。

 他方で、技術的には大きな変化も生まれている。以前はシンプルな組み込み向けOSで開発されていたのだが、現在は汎用OSで開発されることが多い。シャープの場合も、ちょうど1年前に発表された「Papyrus PW-AT770」以降、OSにはWindows CEを採用しているという。とはいえ、あくまで「電子辞書」なので、Windows CEの存在が表に出てくることはない。

 Windows CEを採用したことによって生まれた「柔軟さ」と、ビジネス環境の「厳しさ」。その両方から、シャープはBrainをオープンな存在にしていくことを決断する。

 「テストとして、Windows CE用に公開されているAcrobat Viewerを組み込んでみたりしたんです。そうすると、意外と簡単にいい感じで動いた」と、名井氏は笑いながら語る。

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