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ウンコから始まる英雄の旅「FableII」

2008年12月18日 20時00分更新

文● 内田幸二

誘惑の多い世界で試される
あなた自身の心の形

 オルゴールの資金を集めるために、主人公達は街の人の手伝いをすることになる。その手伝いの種類はさまざまで、「なくした逮捕礼状探し」から、「倉庫に潜入した害虫駆除」、そして「画像記録装置のモデル」などなど。しかし、中にはお金にならないような手伝いもある。困っている人を助ける「善意」の気持ちからの手伝いも求められるのだ。

衛兵に頼まれた逮捕礼状探し。5枚集めれば1ゴールドの報酬となる

逮捕礼状探しを全部終えると現われる誘惑。すぐにお金を得るために指名手配書を渡してしまうこともできる

 ただし、プレイヤーの善行を邪魔する「悪意」のある持ちかけをされる場合がある。「夢を叶えるために、目前にあるお金を取るべきか」、それとも「夢よりも、自分の心を支える善意に従うべきか」、あなた自身の心の形が試されるのだ。

アル中のピートが、奪われた酒を探して欲しいと依頼してくる。見つけたら報酬もくれるそうだ

見つけたお酒を誰に渡す? 酒の力でしか心の安住を手に入れられないピートに渡すべきか、お酒の力を借りずに自分自身の力で立ち直って欲しいと望むベティに渡すべきか

害虫駆除を頼まれ倉庫の中に入ると、倉庫の持ち主に恨みを抱く男から、「虫でなく倉庫の荷物を壊せ、壊したら1ゴールドやる」と持ちかけられる。頼まれたとおり危険な害虫駆除を行なうか、楽に報酬を得られる荷物破壊を行なうか、あなたの判断が求められる

どこかヘンテコな社会、そして本能的に生きる人々

 街の治安を守る衛兵や、珍しいモノを取り扱う行商人など、バウワーストーン旧市街の生活は、現実の社会にも近い構造を持っている。しかし、物語を進めていくと、「おや?」と思えるヘンテコな構造に遭遇するのだ。例えば、逮捕礼状をみると、公的機関の作成した書類としてはなんとも不可解な内容が書かれていたり、商人の言葉に耳を傾けると「あなたをキレイに映し出す鏡です。ただし、明るいところでは効果を発揮しません」など、なんとも怪しい雰囲気。

逮捕礼状の一枚。ここに書いてあることは、誰にでも当てはまるような……

美しくなる鏡。しかし効果は暗闇の中だけ。この効果って意味があるのだろうか!?

 そして、そんなヘンテコな世界観に住んでいる住人は、非常に本能的な生き方をしている。逮捕礼状をなくした衛兵は市民の平和よりも、自分の保身を心配し、「これがばれたら、一生保安官にはなれないぞ」と愚痴をこぼす。衛兵という、市民の平和を守る人であるはずの立場の人でさえこうなのである。他にも、現実逃避したいからと酒におぼれる中年男性や、泥棒することを寝言で自己弁護するコソ泥など、自分に素直というか、本能のままにとでも言うべきか、まさにプリミティブな人間性が丸出しの人々ばかりなのである。

心配するのは、自分のことばかり。衛兵の本分である「治安の維持」はいずこへ

ローズも苦笑するモンティの恋文。彼の愛情表現は、ある意味で自分に素直ともいえ、どこかほほえましい

寝言で「泥棒じゃないただのコソ泥だよ」と自己弁護するコソ泥。でも、泥棒には変わりないかと……

(次ページへ続く)

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