このページの本文へ

IBMの技術ライセンスと独自管理ソフトで堅牢性と簡単さをアピール!

レノボ、SMB向けサーバーはじめました

2008年10月30日 04時00分更新

文● 新 淳一/企画報道編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
RD120

レノボはタワー型「ThinkServer TD100」やラック型「ThinkServer RD120」など5モデルを発表

 レノボといえばご存じの通り、かつてIBMのPC事業を買収し、現在「ThinkPad」「ThinkCentre」「ThinkStation」といったPC/ワークステーションのブランドを展開している企業だ。レノボはこれまで、PC市場で一定の存在感を示す一方で、サーバー市場に対してはビジネスをほとんど展開してこなかった(中国市場を除く)。

 状況が変わったのは2008年1月だ。IBMとサーバー技術に関するライセンス契約を結び、世界市場向けのx86サーバーを12カ月以内(およそ年内)に投入すると宣言。そしてレノボは2008年10月29日に約束通り、「ThinkServer」というブランド名でタワー型3モデルとラック型2モデル、計5モデルの提供を開始した。

原田洋次氏

レノボ・ジャパン マーケティング・広報本部 執行役員 原田洋次氏

 レノボ・ジャパン マーケティング・広報本部 執行役員の原田洋次氏は「ThinkServerは、SMB(中堅、中小企業)をターゲットとした製品」と紹介。規模的には、従業員が1000名以下、特に500名以下の企業が中心になるという。販売経路は、パートナーを経由しての販売となる。

 原田氏は、ThinkServerをひと言で言うと「とにかく簡単に使える、簡単にセットアップできる、パートナー企業にとっても簡単に取り扱える商品」だという。具体的には、サーバー環境の設定を支援する基本的なハードウェア設定ツール「EasyStartup」や、ユーザーがハードウェアやファームウェアの更新を容易に識別し、さらにダウンロードやインストールができる更新ツール「EasyUpdate」、レノボとLANDesk社が共同開発した、ネットワーク上の1つまたは複数のサーバーのパフォーマンスを単一コンソールで監視できる「EasyManage」といったレノボ独自の管理ソフトが付属。専任のシステム管理者がいない、あるいはいても1人しかいないといった企業の技術的知識が限られているユーザーでも容易に扱えるとアピールする。

ThinkServerのサービス体系。3つのパッケージと、個別に追加できるオプション(Stand alone Offering)を用意している

 また、保守面では、3つのサポートパッケージを用意。要するに松竹梅の3パターンなのだが、梅にあたる基本保証にも、2009年3月末出荷分までのキャンペーンとして、竹(ThinkPlus Priority 4)のサービスにあたる「Priority Support 90日間トライアル」を無償提供するという。なぜ90日間なのかといえば、「サーバーをあまり使ったことがないSMBのユーザー様などは、特に最初の設定や、使い始めて3カ月くらいの期間にいちばん苦労される」(原田氏)ためだ。3カ月の間に“お試し”ながらもサポートを経験してもらって満足度につなげたいという狙いがあるわけだ。

 原田氏は、発表中、何度も「SMB向け」に力を注いでいくことを強調していた。確かに製品ラインアップを見ても、タワー型に1ソケットの「TS100」と2ソケットの「TD100/TD100x」、ラック型に1ソケット「RS110」(1U)と2ソケットの「RD120」(2U)と、あるのは2ソケットサーバーまで。4ソケットサーバーのようなハイエンドサーバーが含まれていない。また、規模の拡大が容易なブレードサーバーも含まれていない。最大の理由としては、IBMとのライセンス契約に含まれていないから、ということのようだ。ライセンスの供給元であり、大企業ユーザーに強いIBMとの競合を避ける意図がうかがい知れる。

 実際、レノボには、少なくとも現時点では、基幹業務への対応やプロフェッショナルサービスといったものを提供できる組織や経験がないことから、「まずはSMB市場で勝てる製品、勝てる価格戦略、そして顧客に信頼してもらえるサポート体制を作ったうえで、次のステップへ」(原田氏)という考えのようだ。とはいえ、SMB市場でのブレードサーバーへのニーズの高まりは認識しており、「将来的にはブレードサーバーの投入も検討している」という。ただ、現時点では、IBMからライセンス提供を受けるのか、といったところも含めてまだ検討段階にあるとのことだ。

 最後に価格についてだが、たとえばCPUにCore 2 Duo E7200(2.53GHz)×1、1GBのメモリーを搭載したタワー型サーバーの「TS100」が10万6000円(1年翌営業日オンサイトモデル)などとなっている。もちろんいずれの製品もCPUやメモリー、HDDなどはカスタマイズ可能。対応OSは、Windows Server 2003/2008およびノベルのSUSE Linux Enterprise Severとなっている。Red Hat Linuxについても動作検証は済んでいるそうだが、レノボが当初提供するのは、Windows ServerとSUSEのみとなる。

■関連サイト

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中