VAIO最高のスピーカーとウーファーを搭載
type Rには両サイドに薄型スピーカー「リニアラインドライブ」を搭載。本体裏面中央に出力11Wの「ダイナミクスウーファー」を内蔵している。
湯川 リアシャーシにはウーファーとB-CASスロットが載っています。今回は11WというVAIO最大のウーファーを積むということで、振動によるデバイスへの影響を重視して、シャーシの中に別構造で付けました。
HDDもケースで囲むだけでなく、ケース自体をダンパーで浮かせてシャーシから分離しています。ウーファーの音は聞いていただくと分かるのですが、ものすごい音量と音質が出ますよ。
近藤 ウーファーを搭載したパソコンは、今までもいろいろ手がけてきました。ですが、ここまで大きなウーファーは初めてです。最高の音が出ていると自負しています。
湯川 以前のtype Lでは、スピーカーが3W×2、ウーファーが5Wでした。それがスピーカー5.5Wにウーファー11Wなので、質的にも量的にもダントツですね。
――ウーファー搭載のような音にこだわる要素は、他社との差別化に必要ということでしょうか。
近藤 やはりソニーの強みですので。絵と音は我々の原点でもあって、強いところで勝負することをまず考えますね。
湯川 type Rの場合、まずは狭額縁化といい音の実現をしたいということで、リニアラインドライブがまず決まりました。これに見合ったウーファーとなると、かなりいいものでなければならない。そこで、スピーカーに見合ったバランスと出力を持つ大きなウーファーを採用しました。
――そしてリニアラインドライブですが、一般的なスピーカーが大きなコイルを使っていたところを、薄い板状に変えたのがポイントですね。
近藤 通常スピーカーでは、コイルを円形に巻いて磁界を作り、振動板を揺らせています。するとどうしても、巻いた径の分だけ幅を取る。リニアラインドライブのフラットボイスコイルは、巻きの方向を90度横倒しにしたわけです。
――円環状のコイルを板状にして振動板に直交する向きで置き、コイルの上側と下側でそれぞれで発生する力で振動板を動かす。これは御社のオーディオ研究部門の成果ですか。
近藤 弊社がパテントを持っている技術です。磁界の向きを90度変えて、細い幅でも必要な振動を作れる。
湯川 大きい音を出すためには、より強い力で大きいものを動かさなくてはならない。今まではボイスコイルを巻くという考え方だったので、円形が一番理想だった。それを、細長いものに入れたいとなったときに、違う向きに磁界を動かすという大きな磁石を使って、大きい出力を作れたということです。
近藤 現在のソニーは、各事業部間の垣根を取り払おうと取り組んでいます。このスピーカーがいい例で、オーディオ事業部は自分たちの製品のために開発していたわけではないんです。テレビや液晶ディスプレーが大きくなってくると、狭額縁化のニーズが絶対に出てくる。そうしたニーズが出てくるテレビやVAIOの事業部向けに開発していたわけです。
狭額縁化を求める時代の波と、技術がベストにマッチした好例ですね。