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[特別企画]ビジネス情報を活かすためアーカイブツール「Symantec Enterprise Vault」の実力 第1回

アーカイブはなぜ必要か?

2008年09月30日 16時00分更新

文● 大谷イビサ(ネットワークマガジン編集部)

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バックアップとアーカイブの違いは?

 Enterprise Vaultは、Exchangeやファイルサーバなどのデータをアーカイブするツールである。

 アーカイブと似たような概念として、バックアップが挙げられる。バックアップとは、機材の障害や災害時のためにある時点のデータをコピーして、別のメディア等に取り置くことだ。ユーザー自身がバックアップされたデータを直接利用することは想定しておらず、データ自体もある時点のスナップショットに過ぎない。一方、アーカイブも過去のデータをまとめて保存するのだが、ポリシーに合わせてインデックス化や圧縮、タイムスタンプの埋め込みなどの処理を行なう。これは単に保存するだけではなく、ユーザーが利用するのを前提としているからだ。

バックアップとアーカイブ

バックアップとアーカイブ

 たとえば、目の前に書類の山があるとしよう。バックアップの場合は、この書類の山をまとめてコピーして、金庫に保存しておくようなものだ。本物が破損したり、紛失した場合には取り出して復旧すればよいが、普段は利用するものではない。一方、アーカイブの場合は、たとえば書類にラベルをつけて分類し、キャビネットや倉庫に保存したり、同じ書類は印鑑をついてオリジナルのみ保存する、といったとてもインテリジェントな処理を行なう。

 こうした処理により、アーカイブされたデータは単に溜められるだけではなく、改ざん不可能な状態で集中管理される。その一方で、ユーザーや管理者からの検索にも対応し、たとえば訴訟対策の証拠や顧客からのリクエストで該当のメールを素早く取り出すといった作業がすぐに行なえる。さらに、アーカイブされたデータは高度な重複排除技術により、サイズが圧縮されているため、バックアップをとる時間も大幅に短縮できるというメリットが生まれる。

 電子メールのアーカイブというと、すぐにコンプライアンス(法令遵守)というニーズに直結するが、実際は死蔵しているビジネス情報を有効活用するという面もある。活かされていないメールやファイルを再利用するためのツールとして、Enterprise Vaultのようなアーカイブツールは現在大きな注目を集めているのだ。

さまざまなEnterprise Vaultの使い方

 さて、実際のEnterprise Vaultについて見ていこう。Enterprise Vaultは、アプリケーションのデータベースと、キャビネットや倉庫にあたるストレージとの間にEnterprise Vaultサーバを設置することで、利用可能になる。ストレージは「Vaultストア」と称され、Enterprise Vaultの管理コンソールから設定する。

 Enterprise Vaultのアーカイビングは、①アプリケーションデータをリアルタイムにアーカイブする、②スケジュールを設定して、アーカイブする、③クライアントPCにあるメールデータ(PSTファイル)を集めてアーカイブする、といった利用形態がある。このうち自社の用途に最適なものを選択したうえで、管理者がマネージャからアーカイブのポリシーを設定する。これはアプリケーションのデータからVaultストアに移す際にどのような処理を施すのか、アーカイブされたデータをどのように利用させるのか、などを決める作業である。

Enterprise Vault for Exchange

Enterprise Vault for Exchange

 今回はアーカイブとはそもそもなにか?という話を中心に、シマンテックのEnterprise Vaultの概要について見てきた。次回からは、GUIの管理コンソールやクライアントの画面を見ながら、Enterprise Vaultの実際の使い勝手を体験してもらおうと思う。

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