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クラウド連携も強化し、対応プラットフォームも拡大!

電子情報開示を強化したEnterprise Vault 9.0

2010年09月08日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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9月7日、シマンテックは企業向けの情報アーカイブ製品の新バージョン「Symantec Enterprise Vault 9.0」を発表した。国内販売開始は9月17日の予定。

電子情報開示への対応強化

 Enterprise Vaultは、もともとは電子メールのアーカイブを目的とした製品だ。増大する一方のメールを効率よく整理/保存し、ユーザーの使用感を低下させることなくメールサーバーのストレージ量の増大を抑制できるというところを狙っていた。

発表会で登壇し、電子情報開示の状況について語るシマンテック 執行役員マーケティング本部長 石崎 健一郎氏

 そのあと、対象とするデータを拡大して企業内の非構造化データ全般をカバーするアーカイビング・ソリューションに発展。近年では、「アーカイブしたデータをどう活用するか」という観点からの機能強化に注力しており、その結果として電子情報開示への対応を大幅に強化してきている。

Enterprise Vaultの基本機能

 同日開催の発表会で同社の執行役員 マーケティング本部長の石崎 健一郎氏は、eDiscovery(電子情報開示)について、「日本では、これまではグローバルに事業を展開している企業で、特に米国市場での訴訟対応として利用するのが中心だったが、最近は米国での訴訟ではなく、日本国内での訴訟対応としてのニーズが高まってきた」と指摘、調査会社の市場データでも「2010年の日本国内のeDiscovery関連市場規模は前年比成長率91.0%増」という結果が出ていることを紹介した。

eDiscovery対応の意義について解説する牧野総合法律事務所弁護士法人 弁護士の牧野 二郎氏

 続いて、牧野総合法律事務所弁護士法人 弁護士の牧野 二郎氏が法律家の観点からeDiscovery対応の意義について解説を行なった。牧野氏は、すでに日本国内の訴訟においても「電子メールは証拠能力があり、証拠価値も高い」という認識が前提となっていると指摘しつつ、企業側の認識がまだ追いついていないことから訴訟準備の際に重要な証拠となる電子メールを提出することができない例が多々あり、「勝てる訴訟も証拠の欠如で敗訴ないし不利な和解に」なってしまう例もあると語った。

 次いで同氏は企業内に蓄積された大量の電子情報からどのような手順で裁判所に提出する証拠を作成するかについて一般的な作業の流れを紹介し、ITによる効率化の導入がまだまだ立ち後れている現状について指摘した。同氏によれば、企業側の大量の情報を社外に出すことへの抵抗感から必要な情報が得られなかったり、逆に未整理の大量のデータを弁護士が精査する必要が生じることで多額のコストが発生してしまう問題点もあるという。

牧野弁護士が紹介した、電子メールの証拠化のプロセス

 同氏は、アーカイブの意義について、訴訟のためのツールとしてのみならず、過去に企業内で行なわれた意志決定や判断の根拠を正確な記録として残し、後の吟味に耐える形に整理しておくことで企業の現状の正確な分析が可能になり、成長戦略策定の基礎となるとして、企業経営の合理化のためにもシステム化された電子記録の確立が必要だとした。

対応プラットフォームも拡大へ

 ほかにEnterprise Vault 9.0では、コンテンツのサポート範囲拡大としてマイクロソフトの「Exchange Server 2010 SP1」や「SharePoint Server 2010」、IBMの「Domino 8.5.1」といった最新世代のアプリケーションへのサポートが追加された。さらに、マイクロソフトのクラウド型サービスである「BPOS(Microsoft Business Productivity Online Suite)」との併用も可能になっている。このほか、ファイルサーバー向けのアプライアンス・ソフトウェア「FileStore」やバックアップ・ソフトウェア「NetBackup」など、同社の他製品との連携も強化されている。

Enterprise Vault 9.0では対応プラットフォームが追加された

 Enterprise Vault 9.0は販売パートナーを通じた間接販売で提供される。参考価格は、Enterprise Vault E-Discovery Suite Standard Editionを1000ユーザーで利用する場合に約1000万円(保守料別)。

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