実はこの方法、自分の著作物がオリジナル作品であると主張する際の証拠となる場合もある。たとえばあるイラストレーターが盗作疑惑をかけられたとする。盗作していれば別の作品をコピー&ペーストしたか、スキャンしたものを下絵としてトレースするといったプロセスがあると疑われたときに、そのイラストレーターが作業途中のファイルを逐次保存していれば、他者の作品のコピーではなく自分でゼロから描き込んでいったオリジナル作品だということを証明する証拠となりうるのだ。
デジタルゆえに、コピーが容易だったりその痕跡がわかりにくかったりする。だからそれを補うために、創作途中のファイルを保存する。半面、デジタルだからこそ、途中のファイルを複数保存しても小さなコストですみ、それによってデジタルをめぐる時の流れを時間軸の上につなぎ止めておくことができる。デジタルメディアの「失われた感触」を意識して補いながらデジタル情報とつきあうとともに、今後の進歩を楽しみたいと思う。
筆者紹介─塩澤一洋
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「難しいことをやさしくするのが学者の役目、それを面白くするのが教師の役目」がモットーの成蹊大学法学部教授。専門は民法や著作権法などの法律学。表現を追求する過程でMacと出会い、六法全書とともに欠かせぬツールに。2年間、アップルのお膝元であるシリコンバレーに滞在。アップルを生で感じた経験などを生かして、現在の「大公開時代」を説く。
(MacPeople 2007年10月号より転載)









