Boot CampがあってもFusion、Parallels
ところで、単にMacでWindowsを使いたいのであれば、Intel MacにWindowsをインストールできる「Boot Camp」もあります。なぜ、BootCampではなく、FusionやParallelsなのでしょうか。
「Boot CampだとWindowsかMacか、どちらか片方を切り替えて使うしかありません。特に技術者が中心ですが、複数の環境を同時に動かしたい、あるいはMacやLinux、Windowsを全部使いたい、というニーズがあるのです」。
そのほかにも、仮想マシンの作業状態を保存しておける「スナップショット」機能や、ホストOSとゲストOS間で簡単にファイルのやり取りができるといった点も、メリットとして大きいのだそうです。特定のソフトをインストールしたらOSが不安定になった――という経験は誰しも少なからずあるはず。スナップショットは確かに魅力ですね。
「Macユーザーだけでなく、“普段はWindowsユーザーだけどちょっとLinuxサーバを立ててみたい”といった人にも仮想化はウケていますね。以前なら古いPCを用意してサーバにしていたのが、今なら仮想マシンを使えばいい。Windowsなら、『VMware Server』のような無償の仮想化ソフトもありますし」。
ハードウェアの進化とVista登場がブレイクポイントに
とはいえ、ヴイエムウェアが仮想化ソフト「VMware Workstation」を最初に世に送り出したのは1999年のこと。その間にもいくつも仮想化ソフトがありました。なぜ、最近になってブレイクしたのでしょうか。
宮原さんが考える理由は大きく2つ。1つにはハードウェアの進化。CPUはマルチコア化が進み、デュアルコアが当たり前になり、メモリは4GBまで搭載できるようになりました。ところが、「現実にはそこまでマシンパワーを必要とするような用途はほとんどない」(宮原さん)。ところが、仮想化ソフトならばリソースを最大限利用できる。豊富なマシンパワーの活用法として、その価値が見直されてきた、というわけです。
もう1つは、昨年1月のWindows Vistaの発売。対応ソフトや周辺機器などの事情から、Windows XPを使い続けたい、というユーザーがいる一方で、すでにXPを搭載したPCは店頭から姿を消しています。「メインはVista、それでもXPを使いたい、という場合には仮想化が使えます。Vista登場も大きなきっかけ」と宮原さんは見ています。
「“仮想化”というキーワードは確かにずっと前からありました。それが最近になって、実用期に入り、実際に使われるようになった。コンシューマの世界の仮想化は、技術者からパワーユーザーへ、さらにその少し下の層にまで広がり始めている。それが今の現状だと思います」。
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ところで、そのコンシューマ(パソコン)の仮想化と、もう1つの大きなトレンドであるエンタープライズ(サーバ)の仮想化は何か関係があるのでしょうか。次回は、そのあたりを引き続き宮原さんに伺っていきます。
■取材協力: EARTH CAFE(五反田)
日本に数台しかないというドイツ・ノボ社製の最新式焙煎機を使った自家焙煎が自慢のカフェ。店頭では常時、煎りたての新鮮なコーヒー豆の販売もしています。
品川区東五反田5-22-33 TK池田山ビル1F
TEL 03-5789-4800
営業時間 10時~23時(平日)/10時~20時(日祝)