このページの本文へ

ウワサの“3倍すごい”仮想化ソフトが登場――日本オラクル、「Oracle VM」を正式発表

2008年03月13日 22時07分更新

文● アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本オラクルは3月13日、サーバ仮想化ソフト「Oracle VM」を正式発表した。米オラクルのWebサイトから無償ダウンロードが可能。日本オラクルによる保守サポートの提供も同日から開始する。米オラクルが昨年11月に「Oracle OpenWorld 2007」で発表(関連記事)していたもので、今回初めて具体的な日本国内での展開が明かされた。


「安い」「速い」が武器、支援策も充実へ


ウワサの“3倍すごい”仮想化ソフトが登場――日本オラクル、「...

米オラクルのチーフ・コーポレート・アーキテクトのエドワード・スクリーベン氏

ウワサの“3倍すごい”仮想化ソフトが登場――日本オラクル、「...

Oracle VMの保守契約の価格。

ウワサの“3倍すごい”仮想化ソフトが登場――日本オラクル、「...

付属するWebベースの管理画面「Oracle VM Manager」。

 「Oracle VM」は、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」をベースにしたサーバ仮想化ソフト。ソフトウェアライセンスは無償で、米オラクルのWebサイトからダウンロードが可能。ユーザーは必要に応じて、日本オラクルと有償の保守契約を結ぶ。仮想マシンにインストールできるゲストOSは、RedHat Enterprise Linux、Oracle Enterprise Linux、Windows Server 2003/XP。すでに、Oracle DatabaseやEnterprise Manager、E-Business Suiteなどの主要なオラクル製品について動作を検証済みとしている。

 Oracle VMの強みは、パフォーマンスとコストにある。米オラクルのチーフ・コーポレート・アーキテクトのエドワード・スクリーベン氏は「(競合の)VMwareはさまざまな機能を持つ優れた製品だ。だが非常に高価で、パフォーマンスもよくない」と指摘する。

 たとえば、パフォーマンスに関しては、VMwareを使用した場合、非仮想化環境に比べてオーバーヘッドが30%だったのに対して、Oracle VMの場合は10%程度だったという(同社のベンチマーク)。「VMwareに比べて3分の1。VMwareでは統合できなかったシステムも、Oracle VMであれば統合できる」(スクリーベン氏)。

 コストについても、「ソフトライセンスが無償で、保守も非常に画期的な価格設定」(日本オラクル常務執行役員の三澤智光氏)と自信を示す。同社が提供する保守サービスは、24時間265日のグローバルサポートを行なう「Premier Support」が年間6万2400円/2物理CPU、12万4900円/CPU数無制限から(いずれも税別)。三澤氏は「他社とは大きなコスト差があるが、単なるディスカウントではない。TCO削減を仮想化の技術によって提供したいというのがオラクルの考えだ」と強調した。

 機能面では、Webベースの管理コンソール「Oracel VM Manager」を提供するほか、物理サーバ間のリアルタイムな移行を実現する「Live Migration」も標準で利用が可能。また、オラクルやISVのパッケージソフトとOSなどをイメージにまとめてテンプレート化する「ソフトウェア・アプライアンス」と呼ばれる機能も提供する。同機能を使うと環境構築にかかる時間を短縮でき、「丸1日かかったSiebel CRMのセットアップが数分で済む」(三澤氏)という。テンプレートはオラクルが用意するほか、国内のISVに対しても参加を呼びかけ、100製品にまで拡充していく計画だ。

 オラクルがVMで狙うのは、開発・検証環境、Webサーバ、エンタープライズといった市場。特にOracle製品を使ったシステムの開発・検証を行なう技術者層に対して訴求していく。具体的には、1000名規模の技術者向けキャンペーンの展開、企業向けの仮想化環境の構築支援、ベストプラクティスの公開などを予定。また、同日にはオラクルとパートナーを結ぶデルが、同社のサーバとオラクルのOS、DB、VMをセットにした「スタートアップキット」を発売した。三澤氏は「Oracleの開発においてはOracle VMがデファクトになるのではないか」と話している。

■関連サイト

カテゴリートップへ