「Internet Explorer 8」や「Firefox 3.0」のオープンβ版の提供が始まり、ウェブブラウザーの世界に活発な動きが出ている。Operaブラウザーもそのひとつだ。現在βテスト中の「Opera 9.5」は、β2が近々登場する予定で、その後約1ヵ月のテストを経て正式版となる見込みだ。
今回は米国から来日した同社シニアバイスプレジデントの冨田龍起氏にお話をうかがった。
「シームレスにつなぐ」がキーワード
Kestrel(ケストレル)のコードネームで呼ばれてきたOpera 9.5の特徴は大きく3つ。
1つ目が「Opera リンク」と呼ばれるブックマークの同期機能(関連記事)、2つ目が過去に表示したウェブページをインデックス化して後から全文検索できる「履歴検索」、最後が「メール機能」でIMAPのサポート強化(高速化や迷惑メール対策、未受信メールへのアイコン追加)だ。これ以外にも細かなチューニングを施し、全体的なパフォーマンスが向上。定評あるHTMLやCSSの再現性やレンダリング速度もさらに向上した。
冨田氏は、Opera 9.5の重要なコンセプトのひとつに機器や利用する場所を問わない「シームレスなブラウジング体験」があると話す。
冨田 個人でもウェブブラウジングできる機器を複数台持つのが当たり前になっています。ケータイとかiPhoneのようなものから、ゲーム機やSTBなどもある。
ユーザーから見るとそれぞれの機器を通じた体験は独立したものになっています。しかし、Operaはそれではいけないと思っています。会社では机、家に帰ったらソファーの上で、と使う環境が異なっても同じ仕事ができるように、あるいは家で見つけたニュースの続きを、電車でも読みたいといった体験をシームレスに朝から晩まで続けられる。そんな体験をOperaとして改善していきたいのです。
クロスプラットフォームを強力に推進している点は、従来のOperaからの特徴だが、使用する機器が増えれば、設定や環境を統一する手間も増える。この点を解消しようというのがOpera リンクのコンセプトだ。インターネット上に置かれたOperaのサーバーを利用して、これらの情報を共有し、機器が変わっても設定の手間なく、同じ利用体験が得られるようにしている。
現状で提供しているのは「ブックマーク」と「スピードダイヤル」の共有機能だ。スピードダイヤルはOperaオリジナルのブックマーク機能で、よく使う9つのウェブサイトをサムネイル付きで保存でき、Ctrl+数字キー(またはアドレスバーへの数字入力)でカンタンにサイトを呼び出せる。
Opera リンクの利用には同社アカウントの取得が必要で、ログイン状態でブックマークやスピードダイヤルの追加/削除を行なうとその情報がOperaのサーバーに送信され、別のマシンでログインした際に情報の同期が行なわれる。ログイン時には2~3分に一度Operaブラウザーが変更がないかを確認にいく仕組みで、特に面倒な設定はない。