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マイクロソフト、日本法人社長に樋口泰行氏が就任

2008年02月28日 16時23分更新

文● 編集部 小西利明

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 マイクロソフト(株)は28日、4月1日付けで同社代表執行役社長のダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏が退任し、現代表執行役兼COOの樋口泰行氏が代表執行役社長に就任することを発表した。

4月から代表執行役社長に就任する樋口泰行氏(中央)

4月から代表執行役社長に就任する樋口泰行氏(中央)と、現代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏(左)、米マイクロソフト インターナショナル担当プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏

 同日、東京都内にて開かれた記者会見には、ヒューストン氏と樋口氏に加えて、米マイクロソフト社インターナショナル担当プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ(Jean-Philippe Courtois)氏が出席し、日本法人の戦略である“Plan-J”による取り組みの今までと今後について説明した。

 樋口氏は2007年に同社に入社。過去にはアップルコンピュータ(株)、コンパックコンピュータ(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)にて勤務した経歴を持つ。マイクロソフト入社後はヒューストン氏とともに、エンタープライズビジネスや中小企業向けビジネスなどを主に担当していた。なお、退任するヒューストン氏は以後、米本社に新設されるコンシューマー&オンライン インターナショナルグループ担当のコーポレートバイスプレジデントに就任する。

 ヒューストン氏時代の同社は、Plan-Jを旗印に日本に対する投資と取り組みを進め、特に企業ユーザーに向けた強い取り組みを行なっている。会見の中でヒューストン氏は、全国をカバーできる支店の設置や国内企業11社とのクロスライセンス契約締結など、さまざまなパートナーシップの確立を成果として挙げた。また、国内CRM市場への参入やWindows Mobileの急速な伸びなども、実績の例として述べられた。

 樋口氏はPlan-Jのコンセプトを、「日本のお客様、パートナー、社会全体から信頼され尊敬される会社になる」ことと定義。それを引き継いで、顧客やパートナーから顔の見える、信頼される会社になるための取り組みを続けると述べた。具体的な就任後の戦略については、今年7月に予定される戦略ブリーフィングにて説明したいとして、具体的なプランについては語られなかった。

 質疑応答で、企業ユーザー向けのWindows Vistaの導入が遅れているのではないかと問われた樋口氏は、「遅れているとは思っていない。大手企業ほど検証に時間がかかる。Vistaには企業向けにもいい機能が満載であり、コンサルティングや営業を通じて、できるだけ早く導入いただけるように取り組んでいる」と述べるなど、予定どおりであることを強調した。

 一方で、冷え込んだままのコンシューマー向けパソコン市場への取り組みについては、ヒューストン氏が「世界的にはVistaは非常に好調、日本市場も復活の気配が見られる。世界全体で見られる状況が、日本でも見られると信じている」と述べるなど、日本市場も好転しているという楽観的な見方を示した。

 樋口氏はコンシューマー市場動向については言及しなかったが、日本のコンシューマーの特殊性に触れ、先進的な携帯電話機とそのユーセージモデルなどに言及。好調なWindows Mobileなどを背景とした携帯電話機との連携など、パソコンとそれ以外のデバイスとの連携による付加価値の強化に可能性があると述べた。

 しかし、電子情報技術産業協会(JEITA)等の統計を見ても、国内パソコン市場がはっきりと好転している様子はなく、“世界で唯一パソコンの売り上げが伸びていない市場”とまで揶揄される国内コンシューマー市場の改善を期待できるような言葉はなかった。

 携帯電話や他のデバイスとの連携と言っても具体例は示されず、何をイメージしているのか疑問を覚える。Windows Mobileが好調とはいえ、コンシューマー向けの携帯電話ビジネスでは存在感も小さいし、Windows MobileとPCをつなぐ「Windows Liveサービス」自体が、普及を見せているとは言い難い状況だ。懸案のひとつであるデジタル放送との連携についても、“ダビング10の実施”という“今よりはマシ”程度の話題以外に好材料は皆無である。

 具体的な施策については7月の発表を待つしかないが、今後のコンシューマー向けパソコン市場の活性化については、いささか不安を感じざるを得ない。

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