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アップル純正表計算ソフトで業務から家計簿まで何でもこなせ!

Numbers '08集中講座

2008年02月17日 00時59分更新

文● 田中 亨(Office Tanaka)、MacPeople編集部

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iWork '08」の目玉として、アップルが満を持して投入した表計算ソフト「Numbers '08」。必要十分な表計算機能に加えて、デザインや操作性を重視した設計は、「表計算ソフト」というよりも「表をベースにした書類作成ソフト」に近い。気になるのは、「Microsoft Excelの代替になるのか?」「互換性に問題はないのか」といった部分だろう。そこで、Numbersを使うにあたって気になる要素を徹底的にチェック! アップル純正ソフトならではの機能とともに、使い方からTipsまでとことんレクチャーしよう。これであなたもNumbersマスターだ!!

Numbers '08


CONTENTS:


iWork Numbers '08(iWork '08に収録)
開発/販売元●アップルジャパン(株) 価格●9800円(通常版)、1万1800円(3ライセンス付きファミリーパック) 備考●「iWork」にはそのほか、ワープロソフト「Pages」、プレゼンテーションソフト「Keynote」が付属する
http://www.apple.com/jp/iwork/

対応システム●OS X 10.4.10以上(Leopard対応) 対応機種●PowerPC G4以上、またはインテルCPUを搭載したMac

1. Numbersの基礎知識


純正ソフトとして鳴り物入りで登場した「Numbers '08」。しかし冷静に考えると、Macには「Microsoft Excel」やオープンソースの表計算ソフトもすでに存在する。果たしてNumbersは、それらのソフトに置き換わったり、共存したりできるのだろうか。Numbersの立ち位置を考えてみよう。



Excel互換のレイアウトソフト

 Numbers '08は、ビジネスよりもパーソナルなユーザーをターゲットにした表計算ソフト。デザイン性や操作性などが重視され、Excelにはない斬新なアイデアや機能が盛り込まれている。もちろんこれは、ビジネスの現場で使えないという意味ではなく、パーソナルでも十分満足できるデザイン性や操作性を目指しているという意味。Excelはビジネス用としての性格からか、用意されたデザインなどが味気ない。

Numbers '08

オープンソースの「OpenOffice.org」とそれをベースにしてJavaで動作する「NeoOffice」、強力な編集機能を備えるウェブサービスの「ThinkFree てがるオフィス」に比べると互換性はいまひとつ。「Google Spreadsheets」はNumbersより低機能だが、そのぶんウェブ上での共同作業という特徴がある

 Numbersを起動すると、最初にテンプレートの選択画面が現れる。そこには結婚式の日程や予算を検討するための「イベントプラン」や、旅先の写真や地図を並べたしおりのような「旅行プラン」など、通常の表計算ソフトでは作らないようなテンプレートが並ぶ。

Numbers '08

Numbersを起動すると表示されるテンプレート選択画面。「ファイル」メニューの「テンプレートセレクタから新規作成」を選んでも表示可能だ

 それらを選んで新規書類を作れば、表はもちろん配置されているが、写真やグラフがふんだんに使われていることに驚くだろう。

 確かに表計算ソフトなのだが、Numbersはどちらかというと、「Excelと互換性がある表計算機能を持ったレイアウトソフト」と考えるとしっくりくる。表さえもオブジェクトとみなし、ひとつのシートを「キャンバス」のように扱って、写真や動画、音声までも張り付けられる。とはいえ、Excelとの互換性については抜かりはない。昔からMacに付属していたオフィススィートであるAppleWorksのように、実質そのソフトでしか編集できないという心配はないだろう。


NumbersがあればExcelはいらない!?

 では、MacではもうExcelはいらないのだろうか。実際にExcelファイルを読み込んでみると、さまざまな機能差があり、Excelのほうが圧倒的に計算/分析に長けているのは明白だ。細かい機能差は後述するが、利用できない機能をあらかじめ把握し、Excelユーザーへの受け渡しの際にはNumbers側が互換性に配慮する必要がある。

Excel→Numbersへの読み込み結果
機能 評価 内容
シートのレイアウト ほとんど違いはない
セルの塗りつぶし 一部色合いが変わることがある
セルの罫線 斜め罫線や一部の罫線は変換できない
セルの書式 ほぼ問題ないが「\」マークなどは変換できない
オートフィルタ × 削除される
グラフ 問題なく変換できる
オートシェイプ 問題なく変換できる
コメント 問題なく変換できる
テキストボックス 問題なく変換できる
一般的な関数 AVERAGEやSUMIFなどの関数も問題ない
高度な数式 × 配列数式などは値に置換される
ピボットテーブル × 値に置換される
オブジェクト × セル内のリストなどは変換されない
ワードアート 簡素化された図として変換される
シートに挿入した画像 問題なく変換できる
実際にExcelファイルをNumbersに読み込んで比較した。高度な計算や分析ができない点はソフトの性格の違いといえる

 そう考えると、ビジネス用途やWindowsユーザーとのやり取りには、Excelはやはり必須。Numbersでは、毎回Excelファイルの読み込み/書き出しを行って変換する必要があり、微妙に内容やレイアウトが変わってしまう可能性もある。

Numbersのファイル(左)をExcel形式で書き出して、Excel 2004で開いたところ(右)。後述する複数の表を配置したシートのレイアウトは維持できないが、このように写真やグラフ、テキストボックスなどを配置した書類はExcelユーザーに渡しても問題はなさそうだ

 単にExcelファイルの中身を開くだけなら、オープンソースの互換ソフトという選択肢もあるが、信頼を持って使うには本家Excelがベストだ。



(次ページに続く)

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