ソニー(株)は1日、デジタル一眼レフカメラのエントリー機「α350」と「α200」を発表した。価格はともにオープンプライス。店頭での販売価格はα350が9万円台、α200が6万円台になる見込み。発売はα200が先行して今月15日、α350は3月7日を予定している。
ペンタミラー切り替え式で高速なライブビューを実現
発表された2製品のうち上位のα350は、同社として初めてライブビュー機能を搭載した。デジタルカメラの背面ディスプレーで構図を決められるライブビュー機能は、一眼レフ機での搭載が相次いでいる。先鞭を付けたのは、オリンパスが2006年1月に発表した「E-330」。その後パナソニック、キヤノン、ニコン、ペンタックスなどが続々と搭載機を発売してきた。
ライブビューは、ハイアングル/ローアングルの自由な姿勢で撮影できる点が特徴だが、課題のひとつに高速なAFをどうやって実現するかがあった。
一眼レフ機では一般的に撮像素子の前に設けられた2つのミラーを使い、肉眼で像を確認するためのファインダー(上部)と位相差検出式のAFセンサー(通常底部)に光を導いている。撮影時にはこれらのミラーをアップさせ、撮像素子に光を当てる仕組みだ。
ライブビュー時にも通常このミラーはアップした状態になるが、上のような機構のためAFセンサーに光を導けなくなる。そこで、これまでの一眼レフ機では、シャッターが押された際に一度ミラーを落としてAFセンサーを作動させた後、再度露光用にミラーをアップしたり、ピントは正確に合うが合焦速度の遅い「コントラストAF」を利用するのが一般的だった。
α350では、ペンタ部に撮影用とは別にライブビュー専用のCCDを収める「クイックAFライブビュー」という機構を採用している。この方式では、撮像素子の前に置かれたメインミラーを上げずにライブビューが実現できるため、高速なAFとライブビューの両立が可能だ。
ライブビュー用のCCDは接眼レンズの直上に内蔵されている。ファインダー内部に設けられた可動ミラーを手動で前後に倒すことによって、光を「光学式ファインダー」(OVF)または「ライブビュー専用CCD」に切り替えて導ける仕組みだ。
さらにα350では、このCCDを1200分割(40×30エリア)の分析測光にも利用している。逆光補正などに効果を発揮する「D.レンジオプティマイザー」とその仕組みを利用したシーン分析の精度が大きく向上するという。これによりライブビュー撮影時には、従来(ハニカム40分割センサー)より厳密な露出決めが可能だ。なお、OVF使用時は従来と同じAEセンサーを使用するため、露出値に差が出る可能性がある。また、ライブビュー使用時の視野率も90%と狭くなる点も注意したい(光学式ファインダーでは視野率95%/0.74倍)。