グーグルは中国において、親しみやすい漢字名「谷歌」を持っている。これに対し北京の「北京谷歌科技有限公司」が、「紛らわしい名称で間違い電話が多発し、業務に支障が出ている。名称権侵害を止めよ」と、Google中国を訴えた。
裁判所は訴えを棄却
北京市海淀区人民法院はその訴えを棄却した。
「Google中国は谷歌の名前について権利侵害をしていない」というわけでなく、「法の範疇外であるため判断できない」というわけである。今月26日のことであった。
裁判所は「わが国の『企業名称登記管理規定』と『企業名称登記管理実施辧法』の規定により、企業の登記に関する争いは登記日と有名度によって決まるが、企業名称が使われ始める段階での争議は対象外である」とコメントしている。
実はグーグルよりもあとに登記されていた
では、Google中国はいつ「谷歌」と命名したのか?
同社は「Google黒板報」という自社のブログを持っていて、最新ニュースや新サービスなどを紹介しているが、2006年4月13日のエントリーで「昨日、グーグルは世界で唯一の非英文の名称『谷歌』を発表した」と書かれている。
すなわち2006年4月12日に名乗ったということだ。
一方原告の北京谷歌科技有限公司は、会社登録をその1週間後の2006年4月19日に行なっている。つまり原告による後出しジャンケンで、先に谷歌を名乗ったグーグルを訴えたことになる。
Google中国は「原告はグーグルの登録後に登録しており、悪意のある登記だ。訴訟を棄却されることを望む」とコメントしている。
というか、このサイトなんですか?
ところで北京谷歌科技有限公司は「科技」というからにはテクロノジー関連の会社だろうが、いったいどんな会社なのか?
同社は別の会社と共同で、北京限定のショッピング情報やレストラン情報を提供する「北京購物網」(意訳すれば「北京ショッピングサイト」)というサイトを運営している。
このサイトを見る限りではデザイン、内容ともにGoogleを全く意識していないと判断できるが、同サイトは以下の「なんともまあ」な検索サイトのようなものを開設している。
「検索サイトのようなもの」と書いたのは、検索が実際できるわけではなく、検索ボタンを押すと前述の北京購物網に飛ばされるのである。どうも北京谷歌科技有限公司は同社のホームグラウンドである中国で外国企業のグーグルと裁判沙汰を起こして、ビジネス的に成功し、グーグルからも裁判で金を巻き上げようという魂胆があるのでは、と思えてしまう。