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【インタビュー】ルナーCEO 高須賀 宣氏

仮面ライダーカードから生まれたサービスで世界一を目指す

2007年11月12日 11時16分更新

文● アスキービジネス編集部

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――なるほど。シリコンバレーで口コミを狙うんですね。

高須賀氏: それから、招待制ならではの、新しいマーケティングをいろいろと考えています。その1つがLUNARRのファーストユーザーを絡めたプロモーションです。

 LUNARRを最初に使っている第1世代のユーザーは、インターネットやビジネスの世界の著名人ばかりを集めてあります。第1世代から第2世代、第3世代……と裾野が広がっていくわけですが、通常の招待制では第3世代以降のユーザーはいったい誰が“種の起源”なのかは分からない。そこで、LUNARRの招待メールに、LUNARRへの直リンクだけでなく、もう1つ別のリンクをつけました。ユーザーがそのリンクをクリックすると、最初にLUNARRを始めた第1世代ユーザーのブログに繋がるようにしてあります。一般のユーザーはブログを読むことで、有名人がこのサービスをどのように感じ、使いこなしているのかを知ることができる。もちろん、やらせではなく自由に書き込んでもらっています。

 これによって、LUNARRというサービスは単なる“友人のオススメ”というだけでなく、“有名人の御墨付”だと感じてもらえるのです。

LUNARRの「招待メール」のイメージ図。通常、招待メールは右の矢印のようにサービスそのものに行き着くリンクしかないが、LUNARRでは左の矢印のようにカリスマブロガーなどの第1世代のブログにつながるリンクをつけておく

LUNARRの「招待メール」のイメージ図。通常、招待メールは右の矢印のようにサービスそのものに行き着くリンクしかないが、LUNARRでは左の矢印のようにカリスマブロガーなどの第1世代のブログにつながるリンクをつけておく

 アメリカではメディアよりもブロガーの影響力のほうがはるかに強いので、著名人のブログはプロモーション効果を高めてくれることでしょう。


コラボレーションと言えば「LUNARR」になる


――LUNARRの有償版は2009年初頭に出る予定ですが、売上が立つのが会社設立5年後とかなり遅いように感じられます。

高須賀氏: 正直言って開発には思ったより時間はかかっています。でも、製品開発から売上を形上するまで2~3年というのは当初の予定通り。サイボウズ設立の10年前と違って、いまはインターネットの新しい商売でも多額の資本がいるということです。

――ビジネスの拠点は日本よりもアメリカのほうが有利なのでしょうか?

高須賀氏: 将来的な成長を考えるとそうなります。実際、世界のソフトウェア産業の3~4割のシェアをアメリカは占めていますし、製品やサービスに関しても、1~2年は日本よりも進んでいます。アメリカから情報を発信すれば世界に届きますが、日本から発信して世界に届けるのは無理でしょう。

――最後にLUNARRの究極の目標を教えてください。

高須賀氏: 今後、ソフトウェアの世界はSaaSしかなくなると思います。そして、将来的にはSaaSのプラットフォームベンダーが世界で5社くらいに収斂されていく。プラットフォームにはいろいろなアプリケーションが集まってくるし、その結果サービスのバリューが高まるわけです。我々は基本的にプラットフォームになることを目指しています。 プラットフォームというのは、世間の常識になるということですよね。たとえば、データベースと言えば「Oracle」、ワープロソフトと言えば「Word」ってたいていの人は答えます。僕の成功の定義は「コラボレーションって言えば?」と聞くと「LUNARR」と誰もが答えるような世界にすることです。

名刺を使って、表と裏のコンセプトを説明する高須賀氏

名刺を使って、表と裏のコンセプトを説明する高須賀氏

高須賀 宣(Toru Takasuka)


LUNARR Inc. CEO。1966年、愛媛県生まれ。広島工業大学卒業後、1994年に松下電工へ入社。1996年、社内ベンチャー制度で、イントラネットシステムの構築会社、ヴイ・インターネット オペレーションズを設立し、取締役副社長に就任。1997年8月、愛媛県松山市でサイボウズ設立し、代表取締役兼CEO就任。2000年8月東証マザーズに上場。2002年3月、東証2部に市場を変更。2005年4月に同社取締役を退任し、2006年1月にアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにてLUNARR.Inc設立。

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