機能の練り込みに不足を感じるものの、
良好な画質と使い勝手の高い各種機能
ハンドル付きのボディーは持ち歩きも簡単で、フタにあたる部分を開けばそのまま給紙トレイになって操作部が現われ、本体前面をワンプッシュで開けば、排紙トレイとなってカードスロットが現われる、というシンプルなしくみは非常に分かりやすい。例え初心者でもメディアの挿入や用紙セット方法、排紙トレイのオープンなど、液晶ディスプレーに常時表示されるので、操作法に迷うことはないだろう。
今回は特にテレビ出力機能が追加されており、画像再生時にはスライドショーモードも備わっているが、最近のデジタルカメラなどのスライドショー機能などに比べると、BGMもなく写真を順に再生するだけなのはやや物足りない印象だ。また、再生画質の点では液晶ディスプレーに表示した場合とあまり変わらず、欲を言えばS端子やD端子、HDMIなどにも対応してより高画素デジカメで撮影した高解像度写真は、それに見合う高画質での表示も可能にしてほしかった。
顔認識機能による明るさ補正や色調補正はうまく動作し、逆光写真などの補正を画面上だけでなく印刷しながら確認できるのは面白い。ただし、顔認識といっても認識するまでにはやや時間(5~8秒程度)がかかり、さらに正面の顔でないと認識しにくく、複数の人が並ぶようなケースではかなり認識率は下がってしまうなど、デジタルカメラに搭載されている同様の機能ほどには認識率が高くないのが残念だ。デジタルカメラの顔認識が、最近は認識率/認識速度ともにどんどん向上してきていることを考えれば、プリンター側の顔認識機能も今後高性能化は期待できそうだが、現状では「きっちりしたポートレート写真」でないとなかなか思い通りに使えないのは物足りなさを感じる。今後の改善に期待したいところだ。
画質的には非常にしっかりしており、コントラストや階調性、薄い色のところでも粒状感をほとんど意識させることなく見られるなど、4色機ならがかなり満足できる仕上がりが得られる。印刷速度に関しては、パソコンから「きれい」を選んだ場合が1分25~28秒程度、「標準」では36秒で出力された。メモリーカードからダイレクト印刷した場合は35~38秒となる(いずれもL判ふちなし印刷)。印刷結果を見るとメモリーカードでの印刷は、パソコンからの「標準」品質とほぼ同等となっている。メモリーカードからの印刷では用紙は選択できるものの品質は選択できないのだが、例え印刷時間が伸びてもパソコンレスで最高品質で印刷したい人のために、ダイレクトプリント時の高画質モードをメニューなどで用意してほしいところではある。
コンパクトフォトプリンターはホームユースに特化したモデルだけに、各社のプリンターラインナップの中でも非常に力が入った機種となっている。本機も同社の上位機と同様の顔認識を含む最新画像補正技術を盛り込み、DVD/CDドライブやメモリーカードスロット、テレビ出力など機能の豊富さが大きな魅力と言えるだろう。
“Colorio me”E-720の主なスペック | |
---|---|
製品名 | E-720 |
印刷方式 | MACH方式インクジェット |
印刷解像度 | 最高5760×1440dpi |
インク | 4色(CMYK)染料 |
インクノズル | 各色90ノズル |
印刷サイズ | カード/L判/ハイビジョン/KG |
給紙容量 | 最大20枚(L判用紙) |
液晶ディスプレー | 3.6インチTFT液晶ディスプレー |
電源 | AC100V(AVアダプター付属) |
ドライブ | DVD/CDコンボドライブ |
インターフェース | USB2.0×2、IrDA、ビデオ出力 |
本体サイズ | 幅215×奥行き165×高さ178mm |
重さ | 約3kg |