ズームレバーの小ささが最大のネック
T200を実際に手に取ってみると、液晶画面の大きさからくるインパクトは驚くほどだ。「サイバーショット DSC-G1」(関連記事)の3.5インチ液晶ディスプレーのほうが、高さもあるため“大きい”印象を受ける。
しかし、G1のようにやや厚みのあるボディーではなく、Tシリーズの薄型ボディーに搭載しているので大きさが際だって見える。「全面が液晶ディスプレーだから持ちにくい」という意見も聞かれるが、実際に持ってみると大きなストラップフック部のおかげで、いわゆる薄型機としてはさほど持ちにくいわけではない点は評価できる。
T100と撮像素子やレンズ、画像処理プロセッサーなどが同じということもあり、撮影画像の品質はそれほど変わっていない。オートで撮っても露出を大きく外すことはめったになく、彩度は高めながら単に鮮やかなだけでなく、深い色味の被写体も濃い目に写りこむ。周辺部の色ズレなど画質の劣化は屈曲光学系レンズの特徴で、とくに広角時には色ズレがやや目立つものの、コンパクトスナップ機としては平均的といったところだろう。
実際に使用した際に、非常に使いにくい印象を受けたのがズームレバーだ。電源ボタンやシャッターと並んで、本体上面右上にズームレバーが配置されているのだが、動作ストロークよりも小ささを重視しているためか非常に操作しづらい。ボタン表面がぎざぎざ(W/Tのモールド)にはなっているものの、指が滑りやすく思ったズーム位置で止めるのも難しい。
デジタルカメラの操作の中でも、アナログ的な操作を要求されるズームレバーは機械的レバーのほうが適するのは当然としても、使いにくいほど小さくなったのでは本末転倒だろう。露出補正やISO感度、記録画素数やフラッシュのON/OFFなど、カメラを操作するうえで1回設定すればほとんどいじらない項目に対して、ズームレバーはほぼ必ず毎回操作するものであり、その使い勝手が悪いのでは、カメラを使っていて楽しくない。いっそ液晶タッチパネル上でズーム操作を実現(iPod Touchのような独特なインターフェースを使って)したほうが、割り切り方、新鮮味もあったようにも思える。
一方のタッチパネルは使いやすい。全面液晶ディスプレーを採用しただけあって、タッチパネル操作用に練られたインターフェースの工夫がうかがえる。特にオートモードで撮る場合でも、タッチでAF点を簡単に指定できるのはかなり使いやすい。
デジタルカメラの進歩のおかげで、オートモードで撮っても露出やホワイトバランスなどが大幅に狂うことは少なくなった。しかし、AFはまだまだ意図したところ以外にピントが合うことも多い。顔認識技術など“カメラまかせであとはシャッターを押すだけ”という技術が進む一方で、オートモードでも手軽に撮影意図をカメラに伝えられるというのは、タッチパネルという直観的インターフェースならではと言えるだろう。
タッチパネルがデジタルカメラのインターフェースとして妥当かどうかは賛否両論ある。だが、コンパクト機でも大画面のタッチパネルを搭載することで、直感的なインターフェース操作や各種機能への専用ボタンを実装することができる。複雑な階層化メニューを小さなボタンで選ぶような操作に比べれば、利点もそれなりにある。
これまでのデジタルカメラのタッチパネルは、大画面液晶ディスプレーを搭載するための理由付けや、単に目新しさ/デザイン性重視といった、どちらかといえばカメラとしての必然性に欠ける印象があったのも確かだ。しかしT200を見ていると、タッチパネルもデジタルカメラのインターフェースのひとつとして確立したと言えそうだ。
DSC-T200のスペック | |
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製品名 | サイバーショット DSC-T200 |
撮像素子 | 1/2.5インチ 有効810万(総830万)画素CCD |
レンズ | 光学5倍ズーム、F値 F3.5-4.4、焦点距離 f=5.8~29mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~175mm) |
静止画撮影 | 最大3264×2448ドット |
ISO感度 | オート、ISO 80/100/200/400/800/1600/3200 |
動画撮影 | 最大640×480ドット、30fps、MPEG-1形式 |
ディスプレー | 3.5インチワイドTFT(16:9、約23万画素) |
記録メディア | 内蔵 約31MBフラッシュメモリー、メモリースティックDuo/Pro Duo/Pro-HG Duo |
インターフェース | 専用インターフェース(USB、AV出力、DC入力) |
電源 | リチウムイオン充電池(NP-BD1) |
撮影可能枚数 | 約250枚 |
本体サイズ | 93.5(W)×20.4(D)×59.3(H)mm |
重さ | 約160g(本体のみ)/約186g(撮影時重量) |