子供の操作に合わせて光って鳴って動くような玩具が溢れている現在、オモチャの“電子機器化”の流れはいまさら驚くようなものではないのだが、(株)タカラトミーの『リカちゃん テレビでんわ』(関連記事)は純然たるパソコン用アプリケーションの”おもちゃ“という製品だ。
『リカちゃんでんわ』自体は40年近く前から存在するテレフォン・ボイスサービスであるが、この“テレビでんわ”はスタンドアロンのパソコンで動作するようになっている(したがって、利用にはインターネット接続環境は不要)。電話機自体はUSB接続のスピーカー&マイクで、インターネットフォン用のヘッドセットなどとまったく変わらない。リカちゃんテレビでんわにはインターネットフォン機能はないものの、IP電話ソフトなどの環境があれば現実の通話にも利用可能だ。
テレビでんわの機能としては、受話器をとってリカちゃん(画面上で3Dアニメーションする)と「会話」するものなのだが、音声認識エンジンと音声合成エンジンが入っており、最初に登録したユーザー名で呼びかけてくれるほか、チャットではなく音声でも“会話“することができるようになっている。ちなみに、会話中の音声自体は録音されたナチュラルボイスが使われており、登録した名前を呼ぶときのみ合成音声を用いる、という仕組みだ。
基本的な会話はリカちゃんの問いかけに答えることで会話が進み、200本以上の会話シナリオパターンが用意されている。リカちゃんが話すことに対して返答をすれば、そこからキーワードを拾って別の話を始めるなど分岐も用意されており、ミニゲームのようなモードも用意されているなど(おそらく)女児的には飽きさせない工夫もなされている。
とはいえ、パターンが出尽くすというほどではないものの、用意されたシナリオを用いているだけあって、やや会話が単調な印象を受けるのは残念。例えば、リカちゃんが知らない単語をプレイヤーが会話の中で教えるような、人工無能的な展開もあってもよかったのではなかろうか(いつのまにかリカちゃんが変な単語を覚えるというのは女玩として問題ありかもしれないが)。
また、オマケ的な機能として、親などが伝言を録音しておいて子供が再生できるという“留守番電話機能”なども付いていたりするのだが、なによりアプリケーションなので語彙や会話機能は今後のアップデートで増やすことができるという可能性にも期待したい。
パソコン用アプリいうこともあって、パソコンとの会話をきちんと取り入れた“おもちゃ”というのは珍しい。音声認識を用いた“おもちゃ”としては『ファービー』(実は認識してなかったけど)を始めとしていくつかあるものの、やはり玩具に入るハードウェアでは“実用的“な認識性能という点はいまひとつだった。この『リカちゃん テレビでんわ』は、パソコンをおもちゃの一部としたことでパソコンのリソースをうまく活用した新しい玩具と言えそうだ。もちろんいわゆる知育ソフトの類などではパソコンを用いているものも多いわけだが、もっとシンプルにパソコンをプラットフォームとしたオモチャというのも、もっと普及しそうな予感がする。
リカちゃん テレビでんわの主な動作環境 | |
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製品名 | リカちゃん テレビでんわ |
対応OS | Windows XP 日本語版(SP2以降) |
CPU | Pentium III-800MHz以上(1GHz以上を推奨) |
メモリー | 128MB以上(256MB以上を推奨) |
HDD | 1.5GB以上 |
サウンド | 44kHz/16bitPCMサウンド再生(Direct X対応を推奨) |
光ドライブ | DVD-ROM |
USB | 1ポート |