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中小企業にソフトウェアの新しい供給方法を――ソフトバンクBBに聞く、「TEKI-PAKI」の狙い

2007年02月14日 20時20分更新

文● アスキービジネス編集部

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ソフトバンクBBは、1月15日、中小企業向けの新サービス「TEKI-PAKI」(テキパキ)を発表し、第1弾として、ウイルス対策サービスを開始した(=関連記事)。アプリケーションサーバの運用管理を代行するASPとライセンス管理を組み合わせたサービスで、今後、さまざまな業務アプリケーションをラインナップしていく。
今回は、MDサービス統括部 統括部長の原山健一氏と同サービスマーケティング部サービス企画部リーダーのもたい洋子氏にサービス開始の狙いと今後の展開を聞いた。


煩雑なライセンス管理の手間と運用コストを削減
中小企業に大きなメリット


――そもそも、なぜこのようなサービスを開始されたのか、経緯を教えてください。

ソフトバンクBBが開始した「TEKI-PAKI」(写真は同社のサービスサイト)

ソフトバンクBBが開始した「TEKI-PAKI」(写真は同社のサービスサイト)

もたい

もたい

洋子氏(以下、もたい氏):ソフトバンクBBは、流通業として、メーカーから仕入れたソフトを販売代理店を通してエンドユーザーに供給する業務を行なっています。当然、企業向けのライセンス製品も扱っているのですが、企業向け製品の受発注は手間がかかることが多く、営業効率の面で負担にもなっていました。

 そこで、「一連の流れをシステム化し、受発注の効率を上げられないか」というのがサービスの発想のひとつになっています。「TEKI-PAKI」と名づけましたが、これはユーザー企業のIT担当者にとって「本業をテキパキこなしていただけるように、余分な業務は引き受けます」ということ、販売代理店にとって「受発注の手間を軽減できます」という2つのメッセージが込められています。

――ユーザー企業にとっては具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

もたい氏:「運用上の手間を省く」というのがひとつのメリットですね。第1弾のウイルス対策を例にすると、管理サーバを当社で預かるため、社内にサーバを設置する必要がありません。

 2つ目は、先に挙げた手続き上のメリットです。年間ライセンスの製品は、毎年、更新の手続きを行なう必要があります。TEKI-PAKIは月ごとの契約ですが、解約を申し入れるまでは自動更新となっており、更新の手続きが不要です。

 また、今後はさまざまなアプリケーションの提供を予定しています。複数のメーカーの製品を導入すると、問い合わせ窓口が分散してしまうデメリットがありましたが、TEKI-PAKIではサポートや課金の窓口も集約したいと考えています。ユーザー登録が一度で済み、問い合わせ先も1カ所にできる――これが3つ目のメリットとなります。

――ITの管理者が少ない中小企業にとっては、大きな負担軽減につながるサービスですね。

もたい氏:たとえばウイルス対策にかかる年間コストのうち、製品の導入費用は約3割で、残り7割は運用費用だといわれています。これは人件費を含みますので、普段は見えづらい部分ですが、実際には相当のコストがかかっているんですね。こうした運用コストを削減できる点が中小企業には大きなメリットになるでしょう。

 また、メインは中小企業ですが、小規模な拠点や一時的に人員が増える部門など、大企業でも目的によっては使えるサービスではないでしょうか。

――具体的にはどれぐらいの規模の企業をターゲットにしているのですか?

ソフトバンクBB コマース&サービス統括MDサービス統括部統括部長 兼 MD統括部ソフトウェア担当統括 原山健一氏

ソフトバンクBB コマース&サービス統括MDサービス統括部統括部長 兼 MD統括部ソフトウェア担当統括 原山健一氏

原山健一氏(以下、原山氏):主に従業員数300名以下の企業です。ただ、ターゲットというより、サービスの用途に適した規模が300名以下だと考えています。人数によらず、自社のIT戦略に基づくポリシーを策定している企業であれば、より柔軟なシステムがマッチするかもしれません。逆に規模が大きくても、必要十分なレベルのセキュリティ、コンプライアンスを満たしていればいいという企業もあるでしょう。

 当社では、コンシューマ向けのパッケージからエンタープライズ向け製品まで、フルラインナップで扱っていますので、自社にもっとも適合する製品をユーザーが幅広い選択肢の中から選べるようにしたいと考えています。

――位置付けとしては、ソフトの新しいライセンス形態のひとつ、ということですね。

原山氏:2007年問題が話題ですが、社員数が急激に減る、あるいは新規事業の立ち上げなどで急激に社員が増えることが昨今の企業ではままあります。こうしたケースでは、ライセンスを購入した直後に不足した分を再度発注する手間が発生したり、逆にライセンスが余って無駄になることがありました。

 また、必要なだけパッケージ版で店頭で購入するケースも耳にしますが、そうすると今度は更新のタイミングがバラバラになり、更新手続きが煩雑になってしまいます。こうしたライセンス管理の手間を軽減したい企業に、選んでいただけるサービスだと思います。

――ライセンスを追加する手続きはどのようになっているのでしょうか。

もたい氏:実際の受発注はソフトバンクBBの直販ではなく、販売代理店を通じての決済となります。ユーザー企業は、専用のWebページからを申請を出し、代理店がそれを承認した後にプログラムのダウンロード先が案内される流れです。同様に、代理店向けにも専用のWebページを開設しており、ユーザー企業からの発注状況を確認して受注承認を行なうシステムを構築しています。

――販売については完全に代理店経由なんですね。

原山氏:ええ。対象となるのは企業ですので、最終的には個人ユーザーと違って、ソフトだけで完結するものではないと考えています。たとえばパソコンそのものが壊れた場合の対応など、IT導入にはASPサービスだけでなく、本業のビジネスに即したサポートが必要なはずです。

 われわれは20年以上、ソフトの流通に取り組んできた中で、日本全国に販売代理店、システムインテグレータといったパートナーを持っています。売り切って終わりではなく、TEKI-PAKIを基盤としてさらにユーザーを支援する流れを、パートナーと一緒に作っていきたいと考えています。

【次ページ】“SaaS=Webサービスではない”

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