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ad:tech TokyoでGoogleが語った広告の未来

2010年10月29日 23時12分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

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 デジタルマーケティングの国際カンファレンスad:tech Tokyo 2010(アドテック東京、主催=dmg events)が、10月28~29日にかけて、東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京で開催された。初日となる28日には、昨年の3000人を上回る4976人(主催者発表)が会場に訪れる盛況ぶりだった。

初日だけで4976人が来場したad:tech Tokyo 2010の会場。写真はオープニングの様子

 オープニングキーノートを飾ったのは、米グーグルのアジア太平洋地域担当マーケティングディレクターであるマーヴィン・チョウ氏。チョウ氏は「2020年のデジタル」と題して、グーグルが考えるデジタル広告市場の展望を語った。

 現在の世界の広告市場は5500億ドル(約44兆円)。このうちデジタル広告が占める割合はわずか15%以下にすぎない。これに対してチョウ氏は、2020年には広告市場が倍の1兆ドルに拡大し、うち50%以上をデジタル広告が占めるようになるとの予測を示し、「デジタル広告の市場には大きなチャンスがある。これからのマーケティング活動はぜひデジタルで考えてほしい」と呼びかけた。

米グーグルのマーヴィン・チョウ氏。ナイキ、リーボックなどでマーケティングを担当したのちにグーグルに入社。アジア太平洋地域のマーケティングを統括している

「テクノロジー」「収益性」「社会」の3つが起爆剤に

 10年後に現在の広告市場全体に匹敵する、5000億ドル規模のデジタル広告市場が生まれる――。そんなマーヴィン氏の予測が現実になるには、3つの起爆剤が必要だという。

 1つは「テクノロジー」の進化。中でもチョウ氏が繰り返し強調したのが、グーグルが推進するクラウドコンピューティングへの移行だ。「PC中心の時代は終焉を迎えた。クラウドコンピューティングこそが新たなインターネットを生み、すべてのデータ、コンテンツ、情報はクラウドに保存されるようになる。新しいサービスはクラウドから生まれてくる」。

 チョウ氏は特に、「PCの8倍のスピードで普及が進んでいる」というモバイルWebとクラウドの組み合わせがカギを握ると見る。グーグルが開発中のリアルタイム機械通訳アプリや、携帯電話で撮影した写真から商品名などを検索するサービス「Google Goggles」のデモも披露され、「たとえば、商品の写真を撮ってすぐに検索してネットで買えるようになればQRコードは要らなくなる。多くのマッケターがこうしたテクノロジーを近い将来、マーケティングに使えるようになる」という。

 2つ目の起爆剤は「収益性」だ。いくら優れたテクノロジーがあっても、広告主が実際に売上げを伸ばし、広告代理店が収益を出せる仕組みがなければ、デジタル広告市場の成長にはつながらない。

 チョウ氏は「成功の方程式は簡単だ」と話す。「かつて電話帳で見込み客を開拓していた企業が検索連動型広告に移行したように、リターンがコストを上回ることを証明できれば人々は新しい方法を採用する」。

 すでにグーグルは、Google Analytics、Google Insightなど費用対効果を明確にするためのさまざまな効果測定ツールを提供している。さらに検索連動型広告で成功した効果測定のモデルを、今後はディスプレイ広告の世界でも展開したいという。「我々はもう一度ディスプレイ広告を魅力的なものにし、ディスプレイ広告を復活させたいと考えている」。

社会に受け入れられるかどうか

 最後の起爆剤である「社会」は、チョウ氏が「もっとも重要」だと強調する要素だ。「どんなにすばらしいテクノロジーを使っていても、いくら収益性に優れていても、人々がそれを受け入れるかどうかが、デジタルマーケティングの将来を決める」。

 チョウ氏はYouTubeが当初、著作権侵害などの問題に悩まされつつものちに成功を収めた例を引き合いに出し、「もっとも重要なのは人々に愛されるブランドになれるかどうかだ」と指摘する。「テクノロジーに対する信頼を侵してはいけない。新しいサービスを始めるときには十分にユーザーの声に耳を傾け、受け入れてもらえるラインを見極めてほしい」。

 チョウ氏は最後に、「10年後のすべての答えを持っている人は誰もいない。グーグルもすべての答えを持ってはいない。だが、デジタルマーケティングは今後、間違いなくブランドと消費者1人ひとりの関係を根本的に変えていくだろう。未知を恐れず、遅れることがないようにしっかりついてきてほしい」と呼びかけ、講演を締めくくった。

 ad:tech Tokyo 2010ではこのほか、シティバンクのCMOであるケィレブ・ハント氏による基調講演や、吉本興業の大﨑 洋社長・フジテレビの大多 亮執行役員・電通の岸 勇希氏によるパネルディスカッションなどが開かれた。詳細は追ってレポートする予定だ。

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