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大腸がんにおける免疫寛容を引き起こす仕組み=九大など解明

2024年04月17日 06時45分更新

文● MIT Technology Review Japan

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九州大学、大阪大学、東京医科歯科大学、国立がん研究センターなどの共同研究チームは、早期大腸がんにおける「空間的転写産物解析(ST-seq)」と「シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)」を統合解析することで、がんと腺腫の境界部において、腫瘍細胞の増殖/免疫抑制に関与する細胞集団を特定し、細胞間の相互作用機構を解明した。

九州大学、大阪大学、東京医科歯科大学、国立がん研究センターなどの共同研究チームは、早期大腸がんにおける「空間的転写産物解析(ST-seq)」と「シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)」を統合解析することで、がんと腺腫の境界部において、腫瘍細胞の増殖/免疫抑制に関与する細胞集団を特定し、細胞間の相互作用機構を解明した。 研究チームは、アジア人早期大腸がん患者(5名)と進行大腸がん患者1名の空間的転写産物解析と、公共データベースにおけるアジア人大腸がん患者23名のシングルセルRNAシーケンスデータを用いて、深層生成モデルを活用した統合解析を実施。腫瘍細胞は、免疫寛容(免疫が自己を攻撃しないようにすること)に関わる制御性T細胞と同一の組織内部位に位置しており、がんの進行、細胞移動など様々な機能に関与する「Midkine (MDK)」という分子を介したシグナル経路が関与していることを解明した。 同チームはさらに、MDKは大腸がん早期から発現を認め、MDKシグナル経路が、大腸がんにおける臨床的予後に関与することを明らかにした。これらの知見は、早期大腸がんの診断だけでなく、散発性大腸がんに対する免疫療法の新たな治療標的の開発に役立つことが期待される。研究論文は、イーバイオメディシン(eBioMedicine)に2024年4月9日付けでオンライン掲載された

(中條)

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