このページの本文へ

薬剤設計を支援する解釈性の高いAI予測手法を開発=東工大

2024年04月11日 08時38分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東京工業大学の研究チームは、創薬における低分子化合物の物性や活性を予測する、新たな人工知能(AI)予測手法を開発した。異なる分子グラフ表現を組み合わせてAIの予測結果に高い解釈性を付与することで、予測の理由が考えやすくなったという。

東京工業大学の研究チームは、創薬における低分子化合物の物性や活性を予測する、新たな人工知能(AI)予測手法を開発した。異なる分子グラフ表現を組み合わせてAIの予測結果に高い解釈性を付与することで、予測の理由が考えやすくなったという。 研究チームは今回、低分子化合物の性質の予測と解釈をするAI手法を開発するにあたり、化合物の構造式をグラフで表現して処理するグラフ・ニューラルネットワークに着目。原子と結合の関係を表現する一般的なグラフと、化合物の複数の原子や結合(部分構造)を1つのノードに縮約するグラフ表現を用いた。 次に、グラフ表現の入力から学習を実行する、グラフ・ニューラルネットワークによる教師あり機械学習手法「MMGX(Multiple Molecular Graph eXplainable discovery)」を開発。原子グラフと縮約されたグラフを組み合わせて情報を抽出する仕組みを採用することで、化合物の物性や活性を高精度に予測するだけでなく、「どの部分構造に着目してその予測結果としたのか」という情報を得られるようにした。 近年の深層学習技術の発展により、既知の実験データを活用して未知の物質の性質を予測する研究が活発になっており、予測精度も向上している。だが、その予測に至った理由を得るための情報は乏しく、予測結果の妥当性の判断は熟練した専門家の知識と経験に委ねられる傾向にあった。 研究論文は、コミュニケーションズ・ケミストリー(Communications Chemistry)に2024年4月5日付けでオンライン公開された。

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ