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CITY CIRCUIT TOKYO BAY、国内最大級の都市型EVカートサーキット

2024年03月06日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP

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 2023年12月、東京都江東区青海に「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」がオープンした。同施設はEV(電動)レーシングカートでの走行が楽しめる都市型サーキットだ。今回は、再開発が進むベイエリアで注目したい「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」の魅力や設立背景に迫る。

東京23区内では唯一の都市型サーキット

 先述のとおり、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」は、EV(電動)レーシングカートでの走行をメインとする東京23区内では唯一の都市型サーキット。青海を舞台にした屋外コースで解放感あるレースを体験できる。

「屋内サーキット」を併設しているのも特徴だ。屋内ではプロジェクションマッピングを用いた演出が行なわれるため、ゲーム感覚でカートの運転が楽しめる。レーシングシミュレーターやVRコーナーも設置される予定だ。

 また、トムスは全日本カート選手権EV部門のプロモーターを担っていることもあり、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」で全日本カート選手権EV部門公式戦を実施する予定。他にも、子供向けのEVカート教室や高齢者向けのシミュレーター教室、特別支援学校向けプログラムの実施なども予定されている。

 トムスのモビリティ事業本部長・井上貴弥氏は「デジタルとリアルを掛け合わせた、新しいモータースポーツエンターテイメントの創出だけでなく、モータースポーツが老若男女問わず開かれたスポーツであることを多くの人に知ってもらうための取り組みを行っていきたい」と話す。

モータースポーツを手軽に楽しめる施設を目指す

「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」の魅力は「モータースポーツを手軽に楽しめること」だ。従来のサーキットは、十分な広さや騒音問題をクリアするために、都心部から離れた郊外に作られることが多かった。しかし、これではアクセスの悪さがネックとなる。

 しかし、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」はお台場のパレットタウン跡地という、国内外問わず多くの観光客が訪れる場所にオープンする。モータースポーツが好きという人はもちろん、「あれって何かな?」と初めて興味を持つ人が必然的に多くなるロケーションだ

 こうした「モータースポーツが好きではないが、どんなものか興味はある」という人でも気軽に楽しめるよう、立地だけでなく、ライトな料金体系の構築や施設のホスピタリティーの充実を図っている。特に女性や子供のユーザビリティーを考慮して設備が整えられているのが特徴。「これまでのサーキット」とは異なる「誰もが楽しめる施設」を目指している

モータースポーツの楽しさを多くの人に知ってもらう

「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」設立の背景について、井上氏は「いかにモータースポーツのファンを増やしていくか、今後のモータースポーツ業界を担う人材を確保していくのかが、業界の課題。そのため、モータースポーツを楽しむためのハードルを下げたいという思いが根底にある」と話す。

 先述のように、現状はサーキットが郊外にしかなく、気軽にレースを見たり、カートに乗ったりできない環境にある。加えてモータースポーツに取り組むにはお金が掛かるのもネックだ。こうした理由から、子どものころにゲームなどでレースには触れていても、次第にモータースポーツへのタッチポイントが少なくなり、興味を失ってしまう。

 しかし、デジタル、テクノロジーを活用することで、新しいモータースポーツの楽しみ方を提供できれば、モータースポーツへのタッチポイントを増やすことができる。つまり、モータースポーツに興味を持つ人、業界に入りたいと思う人の増加が期待できる。

 加えて、都市型にすることでレースへの参加や観戦がしやすくなり、観客が多く入れば収入も増える。「興行」として成立すれば、その収入を元に新しい取り組みを行ったり、参加企業やドライバーへの還元もしやすくなるだろう。

 こうしたモータースポーツ業界の今後を踏まえたトムスのビジョンと、ベイエリアを再開発し、より魅力的なエリアにしたいという東京都の考えがマッチしたことで、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」が誕生したのだ。

新時代のサーキットのモデルケース

 井上氏に今後の展望を伺ったところ、まず年間30万人の入場を目指すとのこと。多くの人が来場すれば、先述のようにモータースポーツへの注目も高まり、カートをきっかけに、より上のカテゴリーのレースに興味を持つ人も増えるだろう。興味を持つ人が増えるほど、未来のドライバーやエンジニアなど、業界の将来を担う人材の確保など、「モータースポーツ業界の発展」にもつながるに違いない。

 また、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」が登場することで、同じような都市型サーキットが国内に次々と生まれる可能性がある。パイオニアというだけでなく、新時代のサーキットのモデルケースとしても大きな注目が集まっている。

 井上氏は「モータースポーツで何ができるのかを実験するための施設でもある。他の企業が何か新しい取り組みをするフィールドとしても活用してもらいたい」と話しており、別企業とのコラボレーションも期待したい。

 世界的にモータースポーツ人気が高まっている中、国内モータースポーツへの注目を高めるためにさまざまな取り組みが行われている。今回の開業も、モータースポーツ業界を盛り上げる一助となるはずだ。「カートに挑戦してみたい」という人は、足を運んでみてはいかがだろうか。

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