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リチウムイオン電池超え、次世代二次電池の正極材料=京大など

2024年01月25日 06時39分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学、トヨタ自動車などの共同研究チームは、次世代の二次電池として期待されている、全固体フッ化物イオン二次電池用の新規インターカレーション正極材料の開発に成功。高い容量、優れたサイクル特性および出力特性を示すことを見出した。

京都大学、トヨタ自動車などの共同研究チームは、次世代の二次電池として期待されている、全固体フッ化物イオン二次電池用の新規インターカレーション正極材料の開発に成功。高い容量、優れたサイクル特性および出力特性を示すことを見出した。 本研究チームは今回、ルドルスデン=ポッパー型ペロブスカイト構造を有するLa1.2 Sr1.8 Mn2 O7-δ F2酸フッ化物が、結晶構造から予想されるよりも遥かに多くのフッ化物イオン(F-)を可逆的に挿入可能であり、既存のリチウムイオン二次電池正極材料を超える、1グラム当たり200ミリアンペア時(mAh/g)という高い可逆容量を示すことを見出した。 同チームはさらに、大型放射光施設「スプリング(SPring)-8」におけるX線回折、X線吸収分光法、共鳴非弾性X線散乱法などで、充放電機構を多角的に解析。La1.2 Sr1.8 Mn2 O7-δ F2正極は充電時に構造内で酸素分子結合を形成することで、結晶構造から予想されるよりも遥かに多くのフッ化物イオンを可逆的に挿入可能にしていることを明らかにし、これらが高容量、高サイクル特性、高出力特性につながっていることを示した。 フッ化物イオンをキャリアとして用いる全固体フッ化物イオン二次電池は、高エネルギー密度、高出力が見込める二次電池として注目を集めている。だが、これまで正極材料として開発されてきた金属や金属フッ化物には、充放電時におけるイオン・電子伝導度の急激な低下や大きな体積変化のため、サイクル特性や出力特性が乏しくなるという課題があった。研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に2024年1月9日付けでオンライン掲載された

(中條)

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