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光でGKP量子ビットを生成、大規模誤り耐性型量子計算へ前進

2024年01月23日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学、情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所などの国際研究チームは、誤り耐性型量子コンピューター構築に有望とされる「GKP(Gottesman-Kitaev-Preskill)量子ビット」を、光で生成することに成功した。同チームが以前に開発した既存の大規模光量子プロセッサーと組み合わせることで、大規模な誤り耐性型光量子コンピューターの実現につながることが期待される。

東京大学、情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所などの国際研究チームは、誤り耐性型量子コンピューター構築に有望とされる「GKP(Gottesman-Kitaev-Preskill)量子ビット」を、光で生成することに成功した。同チームが以前に開発した既存の大規模光量子プロセッサーと組み合わせることで、大規模な誤り耐性型光量子コンピューターの実現につながることが期待される。 研究チームは今回、東京大学とNICTが共同開発した超伝導性を用いた光子検出器を用いることで、光におけるGKP量子ビットを世界で初めて生成した。位相が反転した古典的なレーザー光を重ね合わせることで「シュレディンガーの猫状態」を最初に生成し、線形光学素子を用いてその構造を整形することでGKP状態を実現。さらに、この方法を反復することで、GKP状態の質を高められることを示した。 誤り耐性を持つ量子コンピューターを実現するには、通常は非常に多数の物理量子ビットを用いて、それらを1つの論理量子ビットとして構成する。この方法では必要な物理量子ビットの数が膨大になることが、実用的な量子コンピューター実現の最大の障壁となっている。これに対し、GKP量子ビットは、冗長性を持つ構造を作ることで、1つの物理量子ビットを用いて1つの論理量子ビットを実現できるが、非線形性が強いため、光では実現できていなかった。 研究論文は、学術誌サイエンス(Science)に2024年1月18日付けで掲載された

(中條)

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