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阪大など、細胞老化を抑制する新たな分子メカニズムを解明

2024年01月16日 06時35分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学、奈良県立医科大学などの共同研究グループは、細胞小器官であるミトコンドリアとリソソーム両者のクオリティーコントロールを介して、細胞老化を抑制する新たな分子メカニズムを明らかにした。

大阪大学、奈良県立医科大学などの共同研究グループは、細胞小器官であるミトコンドリアとリソソーム両者のクオリティーコントロールを介して、細胞老化を抑制する新たな分子メカニズムを明らかにした。 近年、細胞老化や様々な加齢関連疾患において、損傷を受けて機能低下したミトコンドリアやリソソームが共に蓄積していることが報告され、細胞老化や様々な加齢関連疾患における共通した特徴であることがわかってきた。しかし、ミトコンドリア、リソソームを制御する共通の機構があるのかどうか、両者のクロストークの分子機構、またその老化における意義は不明であった。 研究チームは今回、オートファジー・リソソームの機能を制御するマスター転写因子「TFEB(Transcription Factor EB)」に着目。ミトコンドリアとリソソームがストレスを受けた際の遺伝子発現変化を解析することで、TFEBがヘキソキナーゼ・ファミリーのひとつ「HKDC1(hexokinase domain containing 1)」の発現を直接制御して、両者のクオリティーコントロールに必須の働きを持つことを発見した。さらに、HKDC1が傷ついたミトコンドリアのオートファジーによる除去および傷ついたリソソームの修復を促進し、細胞を健康に保ち細胞の老化を抑制することを明らかにした。 研究成果は、TFEB-HKDC1経路の調節を介した老化抑制や加齢性疾患の治療法への応用に役立つことが期待される。研究論文は、国際科学誌の「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」に2024年1月3日付けでオンライン公開された

(中條)

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