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東大など、世界最高の冷却性能を示す固体冷媒を開発

2024年01月12日 06時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学とアイシンなどの共同研究チームは、圧力印加による断熱冷却(および断熱加熱温度)が世界最高の固体冷媒を開発した。地球温暖化の原因となるなど環境に悪影響を与え得るガス冷媒に替わる、高性能な固体冷媒の実現が期待される。

東京大学とアイシンなどの共同研究チームは、圧力印加による断熱冷却(および断熱加熱温度)が世界最高の固体冷媒を開発した。地球温暖化の原因となるなど環境に悪影響を与え得るガス冷媒に替わる、高性能な固体冷媒の実現が期待される。 研究チームは今回、圧力を印加したり開放したりすることで、温度が上昇および下降する効果(「バロカロリック効果」と呼ぶ)を示す固体冷媒「ルビジウムシアノ架橋マンガン-鉄-コバルト無機化合物(RbMnFeCoプルシアンブルー)」を開発。同冷媒が、340メガパスカル(MPa)で74度(57℃から-17℃)、560MPaで85度(88℃から3℃)という大きな可逆的断熱温度変化を示すことを見い出した。さらに、440MPaの圧力による44度の温度変化を100回以上繰り返しても性能が劣化しないこともわかった。 同チームによると、固体冷媒を用いた冷却システムへの実装という観点からは、(1)高い熱伝導率、(2)低い動作圧力、(3)室温を越える広い温度窓の3点が不可欠であり、RbMnFeCoプルシアンブルーはこれらを満たすと同時に、材料コストもリーズナブルであるという。研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2023年12月27日付けで掲載された

(中條)

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