このページの本文へ

AI処理を高速・超低電力で実行する新技術を実証=東北大

2023年12月18日 17時20分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東北大学の研究チームは、高速・超低電力で演算が可能なスピントロニクス技術を用いた確率論的コンピューターを用いて、人工知能(AI)処理を実行する新技術を開発。「順伝播型ニューラルネットワーク」の動作を実証した。

東北大学の研究チームは、高速・超低電力で演算が可能なスピントロニクス技術を用いた確率論的コンピューターを用いて、人工知能(AI)処理を実行する新技術を開発。「順伝播型ニューラルネットワーク」の動作を実証した。 確率論的コンピューターは、短時間で出力信号が0と1の間で確率的に変化する確率ビットを基本単位として演算を実行するコンピューターである。確率ビットは、量子コンピューターの基本単位である量子ビットとは本質的に異なるが、一定の類似性があることから、新概念コンピューターの一つとして注目されている。 東北大学とカリフォルニア大学サンタバーバラ校の共同研究チームは昨年、実験結果に基づき、確率論的コンピューターが汎用的なコンピューターと比べて演算速度を約5桁向上、消費電力を約1桁低減できることを示した。研究チームは今回、順伝播型ニューラルネットワークに基づく計算を実行するための新技術を開発し、行動履歴や生活習慣と病気の発症の因果関係を確率的に解析するAI計算のデモ実験などに成功。併せて、確率論的コンピューターの動作速度をこれまでより3桁向上する新素子技術を開発した。 AIの発展に向けて、コンピューターの演算能力の向上と省エネ化の両立が喫緊の課題となっている。その解決策の一つとなり得るスピントロニクス確率論的コンピューターにおいて今回、現行AIと高い整合性を有した技術が確立されたことから、社会実装に向けた研究開発の進展が期待される。研究成果は、2023年12月9~13日にサンフランシスコで開催された学術会議「国際電子デバイス会議(International Electron Devices Meeting: IEDM)」で発表された。

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ