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迷走神経への光刺激で膵臓のβ細胞を再生=東北大など

2023年11月13日 16時38分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学、東京医科歯科大学、名古屋大学、東北医科薬科大学の研究グループは、膵臓につながる迷走神経に光で刺激を加えることで、膵臓のβ細胞を増やすことが可能であることを、マウスを使った実験で初めて実証した。インスリンを作れる唯一の細胞であるβ細胞を再生させることで、糖尿病を予防、治療する方法の開発につながると期待できる。

東北大学、東京医科歯科大学、名古屋大学、東北医科薬科大学の研究グループは、膵臓につながる迷走神経に光で刺激を加えることで、膵臓のβ細胞を増やすことが可能であることを、マウスを使った実験で初めて実証した。インスリンを作れる唯一の細胞であるβ細胞を再生させることで、糖尿病を予防、治療する方法の開発につながると期待できる。 研究グループはまず、青い光を当てると迷走神経が活性化するように遺伝子を改変したマウスを作製。そのマウスの膵臓に、近赤外光が当たると青い光を発するランタノイド粒子を注射し、体外から近赤外光を当てると、膵臓が青く光り、膵臓の迷走神経が活性化するマウスを完成させた。 このマウスに意図したタイミングに限って近赤外光を当て、膵臓の迷走神経を刺激したところ、糖分を与えたときの血中インスリン量が明らかに増加し、β細胞の働きが改善していることが分かった。さらに、2週間ほど光刺激を続けたところ、β細胞の数を2倍以上に増やすことに成功した。以上の結果から、膵臓の迷走神経への刺激が、質と量の両面からβ細胞を活発にし、血中のインスリン量を増加させたと考えられる。 糖尿病の多くは、β細胞の減少や、働きの低下によってインスリン分泌量が減少し、血糖値が上昇して発症する。今回の研究結果は、膵臓の迷走神経を刺激することで、マウスの糖尿病を治療することに初めて成功したことを示している。 研究成果は11月9日、ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング(Nature Biomedical Engineering)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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