検証環境は?
今回の検証環境は以下の通りだ。PRO W7600およびPRO W7500の比較対象として、1世代前のPRO W6600を、さらにPRO W7600とベース設計を同一にするRX 7600を準備した。PRO W7600とRX 7600の性能はほぼ同じだが、性能はTBPや動作クロックの高いRX 7600が、わずかに勝ることが予想される。
PRO W7500とPRO W6600はスペックに類似点はあるが、PRO W7500はTBPをわずか70Wまで絞り込んでいるため、パフォーマンスはPRO W6600の方が高いと考えるのが妥当だ。ドライバーはRX 7600がAdrenalin 23.9.1を、それ以外は23.Q3を使用している。また、Secure BootやResizable BAR、コア分離といった機能は一通り有効としている。
【検証環境】 | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 7950X」 (16コア/32スレッド、最大5.7GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」(AIO水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI」 (AMD X670E、BIOS 1602) |
メモリー | Micron「CP2K16G56C46U5」 (16GB×2、DDR5-5200動作) |
ビデオカード | AMD「Radeon PRO W7600」、 AMD「Radeon PRO W7500」、 AMD「Radeon PRO W6600」、 AMD「Radeon RX 7600リファレンスカード」 |
ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」M (2TB M.2 SSD、PCIe 5.0) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80PLUS Platinum) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2) |
グラフィックパフォーマンスをチェック
今回はプロ向けGPUの検証なのだが、評価の足がかりとして定番「3DMark」から試してみたい。あまりここで細かくやる意味はないので、テストは“Fire Strike”“Time Spy”および“Speed Way”の3本に絞った
同じようなスペックのGPUであっても、TBPが高く設定してある製品の方がスコアーが高くなることが示された。すなわち、PRO W7600とRX 7600ならTBPの高いRX 7600の方がスコアーが高く、PRO W7500とPRO W6600であればPRO W6600の方が高スコアーを出している。
また、PRO W7600とPRO W6600という世代間比較で見た場合は、CU(Compute Unit)数が多くTBPも高いPRO W7600の方が上というごく自然な結果が得られた。
3DMarkはゲームグラフィックのパフォーマンス比較なので、次は3DCG/CAD用のベンチマークツール「SPECviewperf 2020」でプロ向けグラフィックのパフォーマンス比較を行なう。
全体的な力関係は3DMarkと同じだが、snx-04のみPRO W6600のスコアーが突出している。スペック的にはPRO W6600はPRO W7600を上回ることができないが、snx-04とPRO W7600はドライバーの摺り合わせが、まだ良くないのかもしれない。こういう部分がゲームグラフィックのベンチマークとは違うところといえる。
レイトレーシングのパフォーマンスは?
続いてはCGレンダリング系のテストで検証しよう。手始めについ先日リリースされた「CINEBENCH 2024」に実装されているGPUテストを使用する。MAXXONのCGレンダラー「Redshift」が組み込まれており、これを利用したベンチマークとなる。
このテストではPRO W7600が僅差でRX 7600を上回る結果を見せた。ただVRAM 8GB環境では時々止まってしまう(筆者の経験だと10GB以上でないと完走が安定しない印象)ため、今回の検証では厳密さにやや欠ける結果かもしれない。
続いては「Blender Benchmark」だ。バージョンは“3.6.0”を指定し、実行ユニットにそれぞれのGPUを指定した。
3DMarkのFire Strikeのような大差はついていないが、PRO W7600よりもRX 7600の方がわずかに高スコアーという傾向は変わっていない。ただこのスコアーが1スロット、かつ6ピンケーブルで動くビデオカードで出せるというのが今回レビューするPRO W7600のメリットといえるだろう。同様にPRO W7500はPRO W6600よりも15〜20%程度低いスコアーだが、補助電源なしで動作するというのが最大の魅力といえる。
もうひとつレンダリング系のベンチマークとして「Indigo Benchmark」を試す。
このテストではPRO W7600がさらにRX 7600にほぼ並ぶスコアーを出せているほか、PRO W7500もPRO W6600に肉迫。前者はGPUドライバーのチューニングの差、後者はRDNA 3のアドバンテージが活かされたと考えられる。
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